世の中のデジタルシフト・オンラインシフトで高まるITエンジニアの存在意義と存在価値
2020年、世界は新型コロナウィルス(COVID-19)の登場で、情勢も環境も一変しました。中でも、人と人との接触が感染拡大の原因ということで、いかに人と会わず、そして、それまでと同様に日常社会を継続するかが、人類にとって、全員が同じ方向を向いて取り組む課題となりました。
国ごとの法律やルール、また、文化・慣習による差異はある中で、共通して考えられたのが、人間社会の急速なデジタル化・オンライン化です。それは、利用する人々の価値観の変化も必要ですが、その前に社会を支える部分のデジタルシフト、オンラインシフトが求められ、結果、2020年は、これまでも非常に重要な役割を担っていたITエンジニアの存在意義と存在価値が一層高まった1年でもありました。
日本のITエンジニアを取り巻く状況
さて、ここ日本でのITエンジニアを取り巻く状況はどのようになっているのでしょうか。1つの指標として、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)社会基盤センターが発行する『IT人材白書2020』を参照してみると、2015~2019年の、アンケート対象企業約900社の回答から、2015年度→2019年度の、量に対する過不足感、質に対する過不足感のうち、大幅に不足+やや不足を合わせると、それぞれ、84.2%→89%、89.3%→90.5%と、企業にとってITエンジニアが「不足している」という状況になっています。
一方で、サービス事業者、開発事業者ともに、ソフトウェア開発・サービス開発に関しては、総務省が発行する『令和2年 情報通信白書』における情報サービス業の売上高は2016年以降増加し、2018年度で18兆5,334億円となり、市場の成長が続いています。さらに、直近では、国内ではヤフーとLINEの経営統合が完了したり、メルカリをはじめとした企業がグローバル展開を強化するなど、このITエンジニアが必要となる流れは大手IT企業を中心に、一層顕著になっていくと予想されています。
人材枯渇とそれを解決する施策
ITエンジニアのニーズと、質・量を満たすITエンジニアの確保は、大手に限らず、中小、さらには2020年加速した各産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の観点からも、どの組織においても最重要課題となります。
これらに関して言えば、大手企業のように、一定数の人数の確保に加えて、新卒採用からの育成など、企業側に受け入れる余裕があれば、さまざまな解決策がありますが、IT関連の中小企業はもとより、もともとIT化が進んでいない産業の大手企業などでは、採用・育成ともに簡単に行えるものではありません。
そうした中で、今、注目を集めるのが外国籍のITエンジニアの採用を想定したエンジニアチームづくりです。この動きはここ数年に限ったものではなく、たとえば、日本から東南アジアへの支社設立、さらには外国籍のITエンジニアの採用は進んでおり、厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況について」( 2018)の報告で、2017年度で50,000人を超える外国籍エンジニアが国内の情報通信業に関わっていると発表されています。
単純に国内のITエンジニアニーズの増加、また、そもそもの人口減、少子高齢化だけが理由ではなく、外国籍の人材から見て、日本の歴史や文化への興味など、複数要因も、日本への外国籍ITエンジニアの流入に影響を与えています。
2020年3月に、ヒューマンリソシア株式会社が発表した「92カ国をデータで見るITエンジニアレポートvol.1」によれば、世界92カ国のIT技術者数は2,136万5,000人、IT技術者数の増加率は年間約3.35%と推計されています。
こうしたデータを合わせると、今後、日本市場においてITエンジニアを獲得し、デジタル・オンラインを活用したビジネスの成長を目指すには、外国籍エンジニアの活用が不可欠と言えます。
今、必要なエンジニアのスキルセット・マインドセット
AI時代に向けて必要なスキル、普遍的なスキル
では、改めて、ITエンジニアの素養、また、世の中のトレンドについて見てみましょう。
まず、GitHubが発表する、この1年の利用動向などをまとめた年次レポート「The 2020 State of the Octoverse」を参照します。
The 2020 State of the Octoverse
https://octoverse.github.com/
GitHubは、オープンソースソフトウェアを中心に、さまざまなアクティブなプロジェクトの開発に活用されているため、実際のITエンジニアの開発状況を見ることができます。
この資料を集計した2019年10月~2020年9月までの1年間で、GitHubを利用した開発者の総数は5,600万人超、新しく作成されたリポジトリは6,000万超、全ユーザによるコントリビューションの総数は19億超と、データの上からも世界の開発者の傾向を見るには十分な資料と言えます。
こちらの結果から人気のプログラミング言語に注目します。人気上位5つのプログラミング言語は以下のとおりです。
1位:JavaScript
2位:Python
3位:Java
4位:TypeScript
5位:C#
この結果からも、Webのフロントエンドとして利用されることの多いJavaScript(1位) 、TypeScript(4位) 、また、サーバサイドとしてJava(3位)がランクインしているほか、AI時代を反映してPythonが2位にランクアップ、C#はフロントエンドの他、モバイルアプリケーション開発で多く利用されています。また、6位にはPHPが来ていることも踏まえると、今の開発のトレンドは
Web(フロントエンド・サーバサイド)
モバイル開発(スマートフォン)
AIを中心としたエンジン開発
が中心となっているでしょう。また、Java/C#などは、IoT開発への展開もしやすいことが挙げられます。
今、言語からトレンドを説明しましたが、そもそも現場で活躍できるITエンジニアは、プログラミング言語の習得が目的ではなく、プログラミングをした結果、どのような課題解決ができるかが求められます。
その点に関しては、同じくThe 2020 State of the Octoverse傾向(3月以降オープンソースソフトウェアプロジェクトの急増)から見てもわかるように、チームで、かつ、オープンに開発しやすい状況であること、また、その状況に適用したエンジニアであることが、2021年以降のエンジニアにとって求められるスキルセットと言えるでしょう。
さらに日本に限定していくと、経済産業省の発表した「Society 5.0」に記述されている、技術要素であるIoT、ビッグデータ、人工知能(AI) 、ロボットに関わるITエンジニアが求められていくと考えられます。
Society 5.0が目指す経済発展と社会的課題の解決において、AI、ロボット、IoTなどの技術がますます重要になっていく
参考: 内閣府資料
多様性(言語、文化)をふまえたマインド
まず技術的側面から見たITエンジニアに必要なスキルセットを紹介しました。次に、技術的ではない、感情面、日常的な部分から見たITエンジニアに求められるマインドセットについて考察します。
2020年はなんと言ってもコロナ禍で、とくに日本では遅れていたと言われるテレワーク・リモートワークの活用が一気に進みました。
ここで顕在化したのが、これまで対面でのリアルタイム(同期)でのコミュニケーションで慣れていた意思疎通が通用しなくなり、オンライン上(非対面) 、さらには各種プロジェクト管理ツールによる非同期コミュニケーションの場が増えたことです。
これは技術的解決だけではなく、今まで慣れ親しんだ感覚を一度ゼロにして、テレワーク・リモートワークによる「新しいコミュニケーション」感覚を受け入れるマインドの切り替えが必要となります。
中でも、テキストコミュニケーションの場合「顔が見えない」「 声が聞こえない」といったことから、相手の感情を読み取りづらくなっています。ですから、その点をふまえたコミュニケーション、そのためのマインドセットは必要です。
さらに、コロナ禍で露呈した国境の断絶については、リモートを活用した、新しい国境の越え方、オンラインによる越境による人材交流が進むはずです。しかし、この点については、対面(リアル)でも非対面(オンライン)でも関係なく、それぞれの国を意識する必要があります。
これは、とくにSNSが普及したころから言われている、インターネットによる社会のフラット化と国を越えたコミュニケーションの難しさにも通ずるものです。
この点については、国連サミット加盟国の全会一致で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals)などでも取り上げられており、多様性を認め合うことは、ITエンジニアだけではなく、これからの地球規模で必要なマインドセットと言えるでしょう。
コロナ禍で見えたエンジニア育成・獲得の課題と可能性
以上、2021年から先に向けて、ITエンジニアに必要なスキルセット・マインドセットを簡単にまとめてみました。
最後に、2021年という時代にフォーカスして、これからの日本企業がどのようにDXを進めていくのか、そのために必要なITエンジニアの育成や獲得のヒント、また、解決策として、ヒューマンリソシアが提供するGITサービスについて紹介します。
まず、ITエンジニアの育成・採用に関して、コロナ禍で見えた大きな課題は次の2つです。
課題1: コロナにより、従来のように、新卒を採用して1から10まで(社会人としての心得、エンジニアとしての就労経験なし)を教えるのは厳しくなった。時間をかけたエンジニアの育成が難しい
課題2: 国内の少子化に伴う人員減、DX化に伴うニーズ増からのエンジニア確保
前述のとおり、外国籍のエンジニアの採用が1つの解決策となります。そのためにはさまざまな方法がありますが、これから紹介するヒューマンリソシア株式会社が提供するGITサービスもその1つです。
GITサービスとは?
GITサービスとは、Global IT Talentサービスの略称で、2021年3月現在、40ヵ国800名を超える即戦力のITエンジニアを正社員として採用し、国内企業に派遣しています。
GITサービス
https://git.resocia.jp/
40ヵ国、800名を超えるITエンジニアのデータ、GITサービスのメリットは以下のとおりになります。
GITサービスが抱える800名を超えるITエンジニアの属性
GITサービスのメリット
2021年3月現在、すでにGITサービスを活用する日本企業は多く、メーカや情報通信サービス、建設、各種サービスなど、非常に多岐にわたった業界で、GITサービスのITエンジニアは活躍しています。
まだ国内をはじめ、新型コロナウィルス対策中ではありますが、ビジネスは動き続けています。コロナが落ち着いてからエンジニア確保を始めると、再び人材不足問題に直面するリスクがあります。
そこで、GITサービスのようなITエンジニア派遣サービスを活用することで、必要に応じた、そして、適切なスキルセット・マインドセットを持ったITエンジニアの獲得が行えます。
また、GITサービスの特徴は単なるITエンジニアリソースの確保だけではありません。海外での実務経験を持つITエンジニアが在籍しているため、海外の開発経験を持ち、それを、日本国内企業へ融合できるという、外国籍エンジニアの活用だから得られる強みがあります。
とくにIT分野に関しては、日本が技術的に突出しているわけではなく、アメリカや中国、欧米諸国など、さまざまな国がしのぎを削っています。それらの国を経験しているITエンジニアがチームに加わることで、開発経験のセレンディピティ、その先にある、新しい価値の創発につながるはずです。
どのような人材がいるのか?
今回は、今の日本企業の動向と、解決策としてのGITサービスの概要を紹介しました。次回から、実際にGITエンジニアやGITサービスを活用している企業にインタビューをしながら、サービスの実際に迫ります。