コレクターが独断で選ぶ! 偏愛キーボード図鑑

第1回Dvorak/Colemak配列に切り替えられる―TypeMatrix

本記事の内容はSoftware Design掲載当時の内容であり、現在では変わっている場合があります。

はじめに

Software Design2012年7月号のEmacs/Vim特集の際にキーボード紹介の記事を書かせていただいた御縁で今回から、筆者所有のキーボードをいくつか紹介させていただくこととなりました。どうぞよろしくお願いします。

できる限り現在でも購入が可能なものを中心に紹介していく予定です。第1回は、特殊なキーボード配列であるDvorak配列、Colemak配列[1]を利用できる「TypeMatrix」を紹介します。

TypeMatrix

TypeMatrixはアメリカのTypeMatrix社が販売しているエルゴノミクスキーボードです。英語キーボードですので、OSのキーボード設定を英語に変更する必要があります。主な種類は次の3つがあります。

  • TypeMatrix 2020(PS/2接続写真1⁠)

    写真1 TypeMatrix 2020
    写真1 TypeMatrix 2020
  • TypeMatrix 2030(旧バージョン、PS/2接続写真2⁠)

    写真2 TypeMatrix 2030(旧バージョン)
    写真2 TypeMatrix 2030(旧バージョン)
  • TypeMatrix 2030(現行バージョン、USB接続写真3⁠)

    写真3 TypeMatrix 2030(現行バージョン)
    写真3 TypeMatrix 2030(現行バージョン)

2020はQwertyのみ印字したバージョンとQwertyとDvorak両方を印字したバージョンの2種類が存在します。2030は印字なし/Qwerty印字/Dvorak印字/BÉPO印字[2]の4種類が存在します。

また、TypeMatrix2030専用のキーボードカバーもあります写真4⁠。色と印字されている配列が異なるタイプが複数種類あります。印字されている配列はDvorakだけでなく、ColemakやWorkmanのようなマイナーな配列もあります。

写真4 TypeMatrix 2030(Dvorakカバー装着)
写真4 TypeMatrix 2030(Dvorakカバー装着)

入手方法

TypeMatrix社の本家Webページより購入ができます。価格は2020が$60、2030が$110、2030用キーボードカバーが$20です。なお、2020は本家Webページでは販売しておらず、現在のところ、eBayを通しての販売となっているようです。

特徴

  • 薄型で軽量
  • 格子状のキーボード配列
  • パンタグラフ機構
  • 中央にある大きなエンターキーとバックスペースキー
  • Dvorak/Colemakにワンタッチで切り替え可能

薄型・軽量で、持ち運びも楽です。横幅は普通のテンキーレスキーボードより短いので、マウスの位置も近くなります。

キーボード配列は格子状配列を採用しています。格子状配列は慣れると指を上下にスライドさせるだけでよく、スムーズにキーを打てます。

キースイッチはパンタグラフ機構を採用しており、ノートPCと似た打鍵感です。打鍵音も静かで、2030の場合、専用のキーボードカバーを付けると打鍵音はほとんど気にならなくなります。

また、キーボードの機能として、キーボード配列を102キー配列、106キー配列、Dvorak配列、Colemak配列に変更する機能があります[3]⁠。たとえOSのキーボード設定が日本語キーボードのままでも、TypeMatrixを106キー配列にすれば、OSのキーボード設定を英語キーボードに変更することなく、すべての文字/記号を入力できます。

次に、Dvorak配列とColemak配列についてもう少し説明します。

Dvorak配列

Dvorak配列は図1のようなキーボード配列です。英文の入力に最適化された配列で、英文をよく入力する場合、良い選択肢となります。

図1 Dvorak配列
図1 Dvorak配列
写真5 Dvorak配列時のLED点灯
写真5 Dvorak配列時のLED点灯

2020、2030の旧/現行バージョンすべてで切り替え可能です。2020は[Fn][F7]で、2030の旧バージョンは[Fn][F3]で、現行バージョンは[Fn][F1]で切り替えられます。Dvorak配列に変更するとLEDが点灯します写真5⁠。

Colemak配列

Colemak配列は図2のようなキーボード配列です。2030の現行バージョンでのみ切り替えが可能で、⁠Fn][F5]で切り替えられます。

図2 Colemak配列
図2 Colemak配列

Colemak配列は、2000年代になって登場した比較的新しいキーボード配列で次の特徴があります。

  • エルゴノミックで快適に打鍵可能
  • Qwerty配列から移行しやすい
  • 入力のほとんどを強い指で行え、同じ指の打鍵率が低い

英文を入力する際、Qwerty配列と比べて指の移動が少なくなるように設計されています。また、Qwerty配列からの移行コストも低いです。たとえば、キーの位置は[e⁠⁠、⁠p⁠⁠、⁠y]を除いて最大で2キー分しか移動しておらず、また、一番下の段は、⁠n][k]に変わっているだけです[4]⁠。

さらに、英文で比較的よく入力する文字は中指や人差し指といった比較的強い指で入力するように設計されているため、指にやさしいです。たとえば、⁠l][s]は、Qwerty配列では薬指、Dvorak配列では小指でしたが、Colemak配列では中指と人差し指で入力します[5]⁠。

もし新しいキーボード配列に挑戦しようと考えているならば、Dvorak配列だけでなく、Colemak配列も選択肢に入れると良いかもしれません。

まとめ

TypeMatrixはキーボードの設定でDvorak/Colemak配列に変更できる数少ないキーボードの1つです。とくにColemak配列に対応しているキーボードはこのTypeMatrixが唯一と言っても良いかもしれません。特殊な配列の練習用に1つ購入してみては如何でしょうか。

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