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第3回エルゴノミクスキーボードの雄―KINESISコンタード&Maltron dual hand 3D

本記事の内容はSoftware Design掲載当時の内容であり、現在では変わっている場合があります。

はじめに

今回はキーボード配列を自由自在に変更できるプログラマブルキーボードの1例として、KINESISコンタードキーボードを紹介します。また、プログラマブルキーボードではありませんが、KINESISコンタードキーボードと似た形状を持つMaltron dual hand 3Dキーボードも取り上げます。

KINESISコンタードキーボード

アメリカのKINESIS社の有名なエルゴノミクスキーボードです。現在は、接続がUSBのAdvantageシリーズが販売されており、通常のバージョンのほかにProfessionalバージョン写真1⁠、Dvorak配列の印字をキートップにしたバージョン、採用しているキースイッチが異なるlinear feelバージョン写真2などの種類が存在します。

写真1 KINESISコンタードキーボード(Advantage pro)
写真1 KINESISコンタードキーボード(Advantage pro)
写真2 KINESISコンタードキーボード(Advantage)
写真2 KINESISコンタードキーボード(Advantage)

Professionalバージョンには、いくつかの付加機能のほかにボタンが1つの専用フットスイッチが付属します写真3⁠。ボタンが3つのフットスイッチも別途販売されています写真4⁠。

写真3 コンタード専用フットペダル(シングル)
写真3 コンタード専用フットペダル(シングル)
写真4 コンタード専用フットペダル(トリプル)
写真4 コンタード専用フットペダル(トリプル)

特徴

KINESISコンタードキーボードは大まかに次のような特徴があります。

  • お碗型かつ親指を有効に使える形状
  • 格子状のキー配列
  • プログラマブル機能
  • メカニカルスイッチを採用

お碗型の形状と格子配列により腕や手首をほとんど動かさずに打鍵ができます。また、親指で打鍵できるキーが一般的なキーボードよりも多いため、比較的丈夫な親指を有効活用できます。

プログラマブル機能により、あらゆるキーの位置をキーボードの設定で自由自在に変更できます。OS側のキーボード設定は英語配列になっているだけでよく、それ以外はまったく不要です。キー配列の変更自体も特別なソフトウェアを必要としません。PCにキーボードを接続した状態で、programキー+[F12]と押せばリマップモードに入ります。コピー元のキー、コピー先のキーと順番に入力し、もう1度programキー+[F12]を押せばリマップは完了します。さらに、複数のキー入力を1キーで入力するマクロの定義もできます。この設定にも特別なソフトウェアは必要ありません。Professionalバージョンであれば、リマップした配列を第三者が変更できないようにロックすることもできます。

キースイッチには、メカニカルスイッチのCherry茶軸を採用しています。Cherryスイッチは耐久性に優れ、心地良い打鍵感があります。茶軸はキーを押したと認識する前にわずかにひっかかりがあることが特徴です。linear feelバージョンはCherryの赤軸となります。赤軸は茶軸と異なり、認識直前にひっかかりはなく深く押せば押すほど線形に反発が強くなることが特徴です。

入手方法

KINESIS製品には、日本代理店が存在します。KINESIS社から直輸入するよりも安く、年に何度かセールを行っており、そのときは数%ほど値引きした価格で買えます。Amazonからも購入できます。値段はどちらの場合でもおよそ3万円ほどです。

なお、コンタードキーボードのlinear feelバージョンは、代理店にメールで問い合わせをすると取り寄せてもらえます

Maltron dual hand 3Dキーボード

Maltron社が販売する歴史のあるエルゴノミクスキーボードです写真5⁠。レイアウトがDvorak配列のタイプや、トラックボールが備わっているタイプ、備わっていないタイプなど、さまざまな種類があります。

写真5 Maltron dual hand 3Dキーボード
写真5 Maltron dual hand 3Dキーボード

特徴

MaltronはKINESISと形状が非常によく似た英字キーボードですが、次のような違いがあります写真6⁠。

  • ファンクションキーがゴム製ではなく普通のキーである
  • テンキーが中央に独立して存在する
  • キーボード配列がわずかに異なる
  • トラックボールが備わっている
  • プログラマブル機能がない
  • 親指のキーが窪んだ位置にある
写真6 MaltronとKINESISの比較
写真6 MaltronとKINESISの比較

トラックボールは小さめですのでホームポジションからは遠く感じます。親指のキーのある場所が窪んでいるため、これもKINESISに慣れていると遠く感じます。全体的に手が大きい方向けという印象です。

そのほかに、MaltronもCherryのメカニカルスイッチを採用していますが、こちらは黒軸です。黒軸は基本的に赤軸と同じですが、赤軸よりも反発が強いことが特徴です。

入手方法

日本代理店が存在しますが、値段がかなり高く12万円以上します。本家のWebショップでは435ユーロで販売しているようですが、日本にも発送してもらえるかどうかは不明です。また、(まれ)にebayに出品されていることがあります。筆者はebay経由で入手しました。落札価格はおよそ500ドルでした。


今回は、プログラマブルキーボード2種を紹介しました。Maltronは多少手が大きい人向けではありますが、両者ともに実績のある有名なエルゴノミクスキーボードで、腱鞘炎に悩んでいるのであれば、導入を勧めることのできるキーボードです。今回は大きく取り上げませんでしたが、Cherryのメカニカルスイッチを採用しているという特徴もあります。Cherryのスイッチについては今後紹介する予定です。

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