LINE テクノロジー&エンジニアリング大全

LINEの大規模ストレージの現在と未来

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インタビュイー

LINE Z Part チーム シニアソフトウェアエンジニア
ルカデテナ ハビエル アキラ
LINE Z Part チーム シニアソフトウェアエンジニア 鶴原翔夢

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LINEアプリにおける大規模トラフィックを支えるストレージ
(LINE DEVELOPER DAY 2020)
URL:https://linedevday.linecorp.com/2020/ja/sessions/6595

毎秒数十億件のユーザリクエストに対応するLINEのストレージ環境では,Key-Value Store(KVS)が積極的に活用されています。⁠LINE DEVELOPER DAY 2020」では,LINE Z Part チーム シニアソフトウェアエンジニアであるルカデテナ ハビエル アキラ氏が「LINEアプリにおける大規模トラフィックを支えるストレージ」と題して講演し,LINEで使われるストレージ技術を詳しく解説しました。このLINEのストレージ環境の変遷や将来について,ルカデテナ ハビエル アキラ氏,そして鶴原氏に詳しくお話を伺います。

LINEの強みはテクノロジーの内部までエンジニアが理解していること

――LINEのストレージ開発で意識していることを教えてください。

ハビエル:開発時にとくに気にしているのはパフォーマンスです。それに加えてコンシステンシー(整合性)も意識しているところになります。またLINEではRedisをストレージの1つとして使っていて,巨大なクラスタを構成しています。そのクラスタ内でデータの一貫性を保つことも重要な点です。

何らかの課題があり,その解決策を検討する際には,それぞれのソリューションのメリット・デメリットやビジネス上のニーズを考えながら判断することも重要だと認識しています。

――ストレージで使うソリューションを選定する際に,気をつけていることを教えてください。

ハビエル:現在はさまざまなテクノロジーがあり,新しいものが続々と登場しているほか,既存のプロダクトの改善も進められています。これらのテクノロジーの中には,LINEが抱えている課題を解決できるものも少なくないでしょう。

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そうした中で我々が意識しているのは,テクノロジーの内部まで理解することです。LINEでは,ストレージとして利用しているRedis,そしてHBaseの専用チームがあり,それぞれのテクノロジーの内部に至るまで把握しています。我々の強みはテクノロジーにあるのではなく,その詳細を理解しているチームのエンジニアだと考えています。

新しいテクノロジーを利用することも当然視野に入っていますが,一方でLINEはグローバルで約2億人が使っているサービスであり,もしテクノロジーの選定に失敗すれば大きな問題に発展します。このようにテクノロジーの新規採用には大きなリスクが伴います。

一方,現状で利用しているテクノロジーは安定していて,またコミュニティの活動も活発です。さらに先に話したとおり,専属のエンジニアが所属するチームもあるため,今後もRedisとHBaseを使い続けます。ただ,新たなストレージを探し続けていることも事実です。

――LINEのストレージ環境は,これまでどのような変遷を辿ってきたのでしょうか。

鶴原:LINEがサービスを開始した当初は,スピードを重視して立ち上げたこともあり,当初はRedisだけを利用していました。これはパフォーマンスを重視した結果だったわけですが,一方でデータを永続化するレイヤのデータベースがないという課題がありました。

サービスが拡大するに従い,この状態では問題があるということで,Redisに加えてHBaseを利用するようになり,徐々にRedisからHBaseへとプライマリーデータを移行しました。

ハビエル:HBaseの選定では,MongoDBやCassandraなどいくつかのストレージをテストしたと聞いています。その際,最もパフォーマンスが良かったこと,また安定性が優れていたことから,HBaseが使われることになりました。もし同じ検証を現時点で行えば,また違った結果になったかもしれません。

LINEストレージの変遷

LINEストレージの変遷

LINEストレージの変遷

LINEストレージの変遷

著者プロフィール

川添貴生(かわぞえたかお)

株式会社インサイトイメージ代表取締役。企業サイトの構築及び運用支援のほか、エンタープライズ領域を中心に執筆活動を展開している。

メール:mail@insightimage.jp


馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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