LINE テクノロジー&エンジニアリング大全

Webエンジニアの新しい道 ~LINE Blockchain Labが拓くブロックチェーンの世界

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

仮想マシンにEVMではなくWASM Runtime / WASM VMをLINEが選んだ理由

――LINE BlockchainやLINE Blockchain Developersで採用する技術は,どのように決まるのでしょうか。

高橋:まず使いたい技術を調査し,それをドキュメントにまとめてエンジニア間でシェアします。その上で,取り上げた技術をLINE Blockchainで適用するとどうなるのかなどをディスカッションし,採用するかどうかを最終的に判断します。

最終的な判断はリーダーとなりますが,どちらかというと議論を通して技術を選定することが多い印象です。たとえば仮想マシンで言えば,イーサリアムのEVMをLINE Blockchain上で扱う方針もありましたが,最終的にWASM Runtimeにすることを決めました。

高瀬:最終的には実際に利用する人たちが使いやすいと考えるかどうかが大事になると思いますが,そうした軸を正しく捉えることすら難しいのが現状ではないかと感じています。

世間ではEVMでスマートコントラクトを開発しているので,その流れに沿ってEVMを採用すれば,確かに現状では利用する人たちにとって使いやすいと思います。ただEVMにもいろいろな課題が見えてきているほか,イーサリアムの中でもEVMの歴史に引きずられるのではなく,WebAssembly RuntimeであるVMを利用していくべきといった動きもあります。こうした状況まで踏まえると,将来に渡ってEVMが最適であるとは言い切れません。このように1本の軸を通して判断するのは難しいですし,何らかのルールに基づいて決められる領域ではないと感じています。我々は,より一般的でありながらBlockchainとの親和性もあるWASMに注目し,将来性も見てWASM RuntimeをVMとして使用することにしました。

LINE Blockchain MainnetでWASMを利用する場合のアーキテクチャ

LINE Blockchain MainnetでWASMを利用する場合のアーキテクチャ

LINE Blockchain Labはエンジニアとしての好奇心が満たせる職場

――現時点でエンジニアとしてブロックチェーンの領域に飛び込むことで,どういったメリットが得られると考えていますか。

高橋:誰でも先駆者になれる可能性があることだと考えています。僕は最初Javaのエンジニアとしてキャリアをスタートさせましたが,Javaのスペシャリストはすでにたくさんいて,そうした人たちに追い付くのは簡単ではありません。ただブロックチェーンであれば,しっかり知識やスキルを身に付けることで先駆者になれる可能性があります。またブロックチェーンは研究開発のスピードが速く,キャッチアップすべきことが多いためにエンジニアとして飽きることがないことも魅力ではないでしょうか。

高瀬:それまでに身に付けたスキルを生かせることも,ブロックチェーンの領域にチャレンジする理由になると思います。ブロックチェーンの世界は極めて広いため,エンジニアとして蓄積した経験やノウハウを生かせる領域をきっと見つけられると思います。

画像

今まで自分でやってきたことをブロックチェーンの世界に持ち込んで新しいことにチャレンジしたい,あるいは今の自分のスキルとブロックチェーンを組み合わせて取り組みたいことがあれば,実際にブロックチェーンの世界に飛び込むといろんな面白いことに挑戦できると考えています。たとえばWebエンジニアであれば,基盤技術やデータベース,分散システムの仕組みなどに対する知識やノウハウをブロックチェーン上で生かすといったことが考えられるでしょう。

――その後のエンジニアとしてのキャリアを考えたとき,ブロックチェーンに携わることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

高瀬:OSSから知見を得たり,OSSのコミュニティに対してこのようにすべきだと提案するといった機会がたくさんあります。そのため,OSSに関しての実績を積み,知見を蓄えられることは大きなメリットではないでしょうか。

実際,LINEではLINE Blockchainの周辺技術を将来的にOSS化したいという方針があるため,OSSの管理などより幅広い領域について学ぶことができるのではないでしょうか。

――どういった人とLINE Blockchain Labで一緒に働きたいですか。

高瀬:来ていただきたいのは,特定の領域に強みを持つエンジニアです。異なる専門領域を持つエンジニアが集まり,議論をしたり意見を交わしたりすることができれば非常に楽しく仕事を進められるでしょうし,お互いに切磋琢磨できるのではないかと考えています。

高橋:ブロックチェーンはデファクトスタンダードのようなものがない領域なので,ブロックチェーンの新しい技術に興味を持ち,自分で調べて発信する,あるいは実装するといったことができる人と働きたいですね。

高瀬:LINE Blockchain Labには調べたことを発表する場が設けられていて,発表する番が回ってきたときは「発表があるので,今週は調査に専念します」と言えるんです。こうした取り組みにより,自分の好奇心が満たせることに魅力を感じるのであれば,いい職場ではないでしょうか。

高橋:直近で言えば,WebAssemblyのRuntime開発に強みを持っている方にぜひ来ていただきたいなと思っています。我こそはと思う方は,ぜひご連絡いただきたいです。

――本日はありがとうございました。

画像

著者プロフィール

川添貴生(かわぞえたかお)

株式会社インサイトイメージ代表取締役。企業サイトの構築及び運用支援のほか、エンタープライズ領域を中心に執筆活動を展開している。

メール:mail@insightimage.jp


馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

Twitte ID:tomihisa(http://twitter.com/tomihisa/