パッケージを絞る
FedoraCoreのパッケージはデスクトップPCを前提にしているため、組込みボードでは不要なパッケージが数多くあります。組込みボードで不要なパッケージについては、最終的には正確に内容を精査していかなければなりませんが、今回は精査をせずにパッケージ名から明らかに不要と思われるパッケージを削減します。
T-SH7706LSRはビデオカードが搭載されていないので、GUI関連のパッケージは不要です。また制御用途のため、ハードウェア機能とは直接関係ありませんが、多言語関連のパッケージも削減対象にします。
GUI関連のパッケージは以下の項目を元に抽出します。
- GNOME/gtk関連
- KDE/Qt関連
- X関連
- 明らかにGUIと思われるパッケージ
gnomeと名称のついたものは以下のとおりです。
gtkと名称のついたものは以下のとおりです。
ただし、以下についてはシャットダウン時に必要なので削減対象から外します。
- gtk2-2.10.11-7.fc7.sh3.rpm
kdeと名称のついたものは以下のとおりです。
qtと名称のついたものは以下のとおりです。
このような単純な抽出でも、かなりのパッケージの数が削減できます。
X関連として、xで始まる名称のものが削減対象となりますが、X関連ライブラリはシャットダウン時に使用されるので削減対象から外します。
さらに、明らかにGUIと思われるパッケージは以下のとおりです。
多言語関連のパッケージは各種言語別に用意されているので、明らかにわかります。
以上のように、名称だけで選んでもかなりの数のパッケージが削減できます。削減したパッケージで、前回に解説した要領でシングルユーザまで起動します。
リアルタイムクロックの追加
シングルユーザの場合はログイン機構を使わないのでリアルタイムクロックが不要でしたが、マルチユーザモードではユーザ管理に時刻を使用します。そのため、リアルタイムクロックがないとログイン機構が混乱をして正常にログインをすることができません。
T-SH7706LSRでリアルタイムクロックを常時動作させるには、初期スクリプト内でNTPサーバにアクセスして時刻を取得する方法と、電池によるバックアップの2種類があります。常時ネット接続環境にある場合は、起動時にNTPサーバにアクセスして時刻を取得します。具体的な方法については第7回の記事を参照してください。
常時ネット接続できない環境の場合は図1のように基板に電池ホルダを追加して、市販のCR2032電池を取り付けて時刻設定をします。
電子工作ができない方は、新規にTACより電池ホルダ付きオプションで購入してください。電子工作をする場合は以下のサイトで電池ホルダを購入し、半田付けで電池ホルダを取り付けます。
- BCR型コイン電池ホルダー
- URL:http://www.marutsu.co.jp/shohin_39993/
起動設定の修正
udevはデバイスファイルを自動で管理するシステムでPCでのディストリビューションでは欠かせないですが、組込みボードではPCほどデバイスの不定性がないので、udevを外してデバイスファイル固定で扱ってもかまいません。起動時間が気にならなければudevを外さなくてもいいと思います。
udevを外すには /etc/rc.sysinitファイルを編集し、エディタで「udev」を検索し、以下のようにコメントにしてudev起動を無効にします。
起動時にはモジュール検索をするようになっていて、エラー表示が出るので、気になるようならば以下のコマンドでモジュール検索でエラーにならないようにします。
マルチユーザの設定
アカウント作成とパスワード設定
FedoraCore7ではスーパーユーザでログインできないようになっており、スーパーユーザ権限が必要な場合は一般ユーザーからsudoコマンドを用います。
sudoコマンドが使えなかった場合はsuコマンドでスーパーユーザに入ります。そのため、この場合は適当な一般ユーザのアカウントを作成する必要があります。今回は guest という名称で以下のようにアカウントを作成します。
次にスーパーユーザと作成した一般ユーザのパスワードを設定します。
マルチユーザの確認
マルチユーザーの確認はシングルユーザーモードでloginコマンドを実行し、以下のように一般ユーザにログインできて、スーパーユーザにもなれることを確認します。
ランレベルの変更
ランレベルをシングルユーザの1番からマルチユーザの3番に変更しなければいけないので、/etc/inittabをリスト1のように変更します。
ランレベル変更は、リスト1の19行目を変更します。
ついでに、デフォルトでは複数の端末が起動するようになっていますが、46行目だけ残して、あとのgettysを削除してリスト1のように変更します。
以上の設定でLinuxを再起動すると、通常のマルチユーザモードでFedora Core 7が起動します。
次回は
次回はFedora Coreでのネットワークサーバ設定について解説します。