この連載はOSSコンソーシアム データベース部会のメンバーがオープンソースデータベースの毎月の出来事をお伝えしています。
[MySQL]2021年11月の主な出来事
2021年11月のMySQLの製品リリースはありませんでした。MySQLのマネージドサービスMySQL Database Serviceでは,
MySQL Database ServiceとHeatWaveの導入事例
2021年11月中旬には3つのオンラインイベントで,
Oracle Cloud Days 2021でのお客様講演
日本オラクルが主催したイベントでは以下の3つの講演でMySQL Database ServiceおよびHeatWaveの事例講演がありました。このイベントにおける講演はイベントサイトにて動画が視聴可能になっていますのでぜひご確認ください。
- 1.トヨタ自動車株式会社でのHeatWave検証事例
コネクティッドカーの普及とつながることによる利便性の向上を推進し,
新しいモビリティ社会の創造を推進する同社において, 新たなAIアルゴリズム開発の中で求められる機械学習の前処理を効率化する基盤としてMySQL HeatWaveが候補として取り上げられました。検証としては他社の分析基盤やRedisとの性能比較が行われ, 多くのテストにおいてHeatWaveが高い費用対効果を有していることが確認されたと報告されていました。 - 2.株式会社りらくにおけるAWSからのマイグレーション事例
全国で600店舗を超えるリラクゼーション店を展開する株式会社りらくでは,
セラピストや予約情報, 店舗を利用する会員の情報を管理するサブシステムが乱立していました。DBを統合してデータの一元管理することを目的にMySQL Database Serviceを導入し, またETLツールを使わずにデータ分析を高速に実行するためにHeatWaveの採用を決めました。マイグレーションにより関連するシステムのコストは半減し, オンラインシステムの画面表示の高速化され, バッチ処理時間が最大で10分の1に短縮するなどの効果を上げています。 - 3.株式会社ファンコミュニケーションズにおけるマイグレーション事例
300万サイト以上に24時間365日
「アフィリエイト広告」 を提供するサービスプロバイダであるファンコミュニケーションズでは, 基幹システムをAWS RDS for OracleからOCIのAutonomous Databaseに, 分析システムをAWS AuroraからMySQL HeatWaveにマイグレーションし, 元の環境で課題となっていた性能不足を解消。さらに運用負荷の軽減を実現しました。HeatWaveを利用することでこれまで性能が課題となり実行できなかったSQLも数秒以内で返ってくる環境を利用でき, コストの面でも予算内に収まる点を評価されていました。
db tech showcase 2021でのMySQL導入事例講演
データベースエンジニアの祭典ともいえるdb tech showcaseでは,
ASEAN Cloud Connectでのお客様講演
Oracle Cloud Infrastructureの33番目のリージョンとしてシンガポール・
シンガポールリージョンの開設を記念したイベントとしてASEAN Cloud Connectが開催され,
[PostgreSQL]2021年11月の主な出来事
11月は主要なイベントであるPostgreSQL Conference Japan 2021とdb tech showcase 2021が開催されましたので,
PostgreSQL Conference Japan 2021がオンサイト開催
11月12日に日本PostgreSQLユーザ会
- 商用運用ができる実践的PostgreSQL技術者の育成
PostgreSQLエンタープライズ・
コンソーシアム (PGECons) メンバである富士通Japan, 多田明弘さんによる発表です。PGEConsの技術部会の活動としてPostgreSQL自習書を作成して公開しています。PGEConsがアンケート調査をした結果, PostgreSQLをもっとミッションクリティカルな領域に採用するための課題として, エンジニア不足が大きな比率を占めていることを受けて取り組んだ結果です。そして, 自習する際のスタートラインとして, データベースをゼロから学ぶのではなくて, 別の商用DBMSをある程度知っているエンジニアをターゲットとしました。 このセッションではこの自習書に記載されているノウハウの例も紹介されました。遭遇しそうな技術トラブルの対処ノウハウを,
異種DBMSでよく使う用語やノウハウと対比をすることで, 簡潔でわかりやすくなることが示されています。 - Citusを使って分散列指向データベースを作ってみよう
日本ヒューレット・
パッカード合同会社, 篠田典良さんの発表です。 「Citus」 という名称は, AzureのHyperscaleを実現するものとして認知されている方も多いでしょう。もちろんそれは正しいのですが, Azureでサービスとして提供されるものだけではなく, オープンソースとしても公開されていることをこのセッションで知ることができました。したがって, 自分たちでオンプレミス環境にて構築したPostgreSQLクラスタ環境にもCitusを導入することができるのです。もちろん必要な規模のサーバ環境を用意したり, 環境構築作業を実施する必要があるので, クラウドサービスを利用した方が手っ取り早いのはたしかでしょう。 このセッションでは,
Citusのインスタンス構成やテーブル構成がどのようになるのかの説明から, 環境構築やテーブル作成, パーティション作成のコマンド操作などを具体例を示して解説されました。実際にCitusを使って見る際に, 今回の説明はたいへんに参考になりそうです。 - Google CloudにおけるPostgreSQLの使い方
Google Cloud 江川大地さんによる発表です。DBサーバにマネージドサービスを利用することで,
DBサーバを構築, 運用する際のインストールやバージョンアップなどいろんな作業を, クラウドベンダにオフロードして (肩代わりしてもらって) 手間を減らすことができることが大きなメリットになります。このセッションは, Google Cloudで提供されるマネージドデータベースサービスのCloud SQLとCloud Spannerについての, PostgreSQL視点からの解説です。 Cloud SQLでは普通のPostgreSQLが利用できますが,
Google Cloudが提供する各種サービス, 例えばBigQueryなどとの親和性が特徴です。 Cloud Spannerは,
大規模分散処理を実現するGoogle独自のリレーショナルデータベースであり, 基本的にPostgreSQLとは別物です。このCloud SpannerにPostgreSQL互換のインタフェースが提供されました。これによってPostgreSQLで使い慣れたツールやノウハウを活用しながら, 高い高可用性を実現できるというのがアピールポイントです。今回のセッションではこれを 「Cloud Spannerの民主化」 と呼んでいました。