うまくいくチーム開発のツール戦略

第15回ドキュメントにかかわる時間を効率化すれば生産性はもっと上がる!(前編)

企業のコミュニケーションは変革を迫られている

IT技術の進歩によって、コミュニケーションの手段が急速に変わってきています。SNSは、友人、知人との間だけでなく、企業内でのコミュニケーションや、企業と個人、たとえば人材採用の場面でも、メールに代わる手段として使われ始めています。企業の情報発信の場も、Webに代わってFacebookやInstagramに作られるケースが増えてきました。また、クラウド化するファイル共有サービスは、個人のコンテンツを保存するだけでなく、業務で手軽にファイルを共有する手段としても使われています。

こうしたコミュニケーションやデータのあり方を変えるデジタルトランスフォーメーションの流れは、書店業界にAmazonが、旅行業界にAirbnbが進出してきたように、ビジネスの様相を大きく変えてしまいます。その潮流にいち早く気づき、適応していかなければ他社との競争に勝つことはできません。ビジネスの変化のスピードに後れをとることのないよう、今こそ業務を見なおし、改革をすべきではないでしょうか?

IDCの調査によると、日本のビジネスワーカーは、メールなどのドキュメントに関するさまざまな課題の対処に多くの時間を費やしている反面、オフィス生産性ツールに依存する割合はほかの国よりも低いという結果が出ています[1]⁠。本稿で紹介するコンテンツ管理システムAlfrescoのユーザ会では、多くのユーザがメールの多さを指摘しており、あるユーザは1日に受ける量のうち、8割が社内のメールだったりするようです。また、いまだに承認、決済をハンコで行っている会社が多く、しかもそうした決済のフォローアップもメールだったりするので、さらにメールが増えるという悩みが聞かれました。

今回はチーム開発の話とは少し違いますが、より大きな視点で業務改善につながる、コンテンツ管理についてのツール戦略を紹介します。

仕事のスタイルを変えるAlfresco

日常業務を効率化し、検索などのドキュメントにかかる時間からビジネスワーカーを解放するのが、今回紹介する「Alfresco」という製品です。Alfrescoは、コミュニケーションとコラボレーションをオープンソースの技術によって改革し、ビジネスを有利に進めるための手段を提供します。Alfrescoには、Alfresco Content ServicesというECM(Enterprise Content Management)製品と、Alfresco Process ServicesというBPM(Business Process Management)製品があり、これらを統合した新しいビジネスプラットフォームとしてAlfresco Digital Business Platformがリリースされています。タスクが中心のプロセスにも、ドキュメントが中心のプロセスにも対応し、セキュリティやコンプライアンスを強化しながら、迅速にシステムを構築できる可用性の高いソリューションです。

Alfrescoには次の3つの特徴があります。

  • シンプル
  • スマート
  • オープン

それぞれを少し詳しく見ていきましょう。

シンプル

Web UIのAlfresco Shareは、シンプルなデザインながらAlfrescoの機能を十分に利用でき、ユーザは直感的に操作できます。ブラウジングしながらコンテンツを見つけられるようにするため、サムネイル表示をはじめ、さまざまな表示方法でブラウジングをサポートします図1⁠。

図1 ギャラリービュー
図1 ギャラリービュー

また、オーディオ、ビデオを含む、多くのファイルフォーマットのプレビューが可能なので、管理されているコンテンツをローカルのPCなどにダウンロードせずにブラウザ内で確認できます図2⁠。

図2 ドキュメントのプレビュー
図2 ドキュメントのプレビュー

Alfrescoはブラウザでのアクセスのほかに、CIFS、WebDAV、IMAPを通して利用できるので、WindowsのエクスプローラやMacのFinderからも利用できますし、メールクライアントからAlfrescoをブラウジングすることもできます。また、オプションとしてAlfresco ContentConnector for MS Outlookを利用することで、OutlookからAlfrescoを操作し、ブラウジングだけでなく、検索やプレビューを行ったり、メールをアーカイブするといったこともできます。ユーザの用途に応じてさまざまなアクセス方法を選択できます。

Alfrescoでは、ビジネスに関わるさまざまなユーザが、いつでも、どこからでも、多様な手段によって最新の情報を共有できます。業界唯一のCloud Syncは、Alfresco in the cloudとオンプレミスのAlfresco Content Servicesの間で同期を行うことで、すべてのユーザが最新のバージョンをいつでも共有できます。

管理者は、外部のユーザとどのようなコンテンツを共有しているのかを一目で把握できるので、クラウド系のストレージサービスに比べてセキュリティに対するガバナンスを高めることができます。また、オンプレミスとクラウドの間はワークフローを利用できるので、コンテンツを共有しながら、外部も巻き込んだプロセス(レビューや承認など)のステータスを把握できます図3、4⁠。

図3 Cloud Sync機能
図3 Cloud Sync機能
図4 Cloud Syncを使った社内/社外の共有のイメージ
図4 Cloud Syncを使った社内/社外の共有のイメージ

いかがでしょうか。後編では、Alfrescoの特徴である「スマート」「オープン」について迫ります。

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「Top new business APAC」を受賞。
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米国Atlassianから、2年連続で「Top new business APAC」を受賞。Atlassianセールスパートナーとしてアジアパシフィックで1位の証

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