今回はtwiccaというTwitterクライアントアプリを紹介します。twiccaはメモアプリと言い難いかもしれません。しかし、「思いついたことをメモして公開する=ツイートする」という意味では、それも一種のメモアプリと言えるのではないでしょうか。そこで筆者が愛用しているtwiccaを通じて、メモツールとしてのTwitterを考えてみたいと思います。
twicca~個性的かつ高機能なTwitterクライアントアプリ
twiccaはAndroid用Twitterクライアントアプリです。日本語で表示されるため、設定もしやすいです。HT-03A購入以降すぐtwiccaと出会ってのめり込み今では生活の一部となっているため、今回は客観的に語ることが難しいかもしれません。好きになって結婚した妻を客観的に語ることができないようなものでしょうか。筆者にとってtwiccaはHT-03Aのキラーアプリです。
twiccaはマルチアカウント未対応の点を除けば、現時点で最強のTwitterアプリではないでしょうか。使いやすく、デザインもかっこよく美しいUIで、文句のつけどころがありません。しかも、個人で開発されていることがすごいです。連載第2回で紹介したEBtもそうですが、筆者は個人が作る個性的なアプリに惹かれます。そして、個人開発でありながらアップデートも頻繁に行われる親切さです。
一押しの機能はカラーラベルです。これはフォローしているユーザーごとに色を割り当てることができる機能で、フォロー数が増えた際に色分けしておくことで特定のユーザーのツイートを目立たせることができます。現在、9色で分類可能です。たとえば筆者は必ず読みたいユーザーを赤にしていますが、このおかげで赤のユーザーのツイートを読み逃すことはありません。
その他の機能としては、画像プレビュー機能も便利です。ブラウザを開くことなくアプリ内でツイートにリンクされた画像を見ることができます。
また、プラグインによる機能拡張も様々あります。特に翻訳プラグインは外国語のツイートを読んだり、自分のツイートを外国語に翻訳したりするのに役立っています。
お気に入りも活用しています。気になるツイートやURLが含まれたツイートがあった場合、手軽に2タップでお気に入りに追加します。そのツイートは翌朝まとめてパソコンのブラウザで開いて読んでいます。ツイートからのリンク先をその都度HT-03Aのブラウザで開いて読むより、翌朝にまとめる「バッチ処理」の方が効率的だからですね。
twiccaが快適なため、他のクライアントアプリをほとんど試していません。今後も浮気せずにtwiccaを使い続けると思います。ツールに不満が無いときは、あえて代替ツールを試すことは避けるようにしています。「無闇に他のツールに飛びつかない」というのは、生活を複雑にしないために、ライフハック的に心がけているマイ・ルールの一つです。
Twitterでライフログを自動化する
twiccaでツイートした内容は、そのままではどんどんタイムラインに流れて消えてしまいます。それではもったいないため、筆者は自分のツイートを記録しています。ライフログ[1]をTwitterで実践しているようなものですね。
まず利用しているのはtwtr2srcというウェブサービスです。twtr2srcを利用すると、ツイートした内容をメールで指定したアドレスへ送信してくれます。そして、GoogleのブログサービスBloggerのメール投稿機能を活用することで、1日分のツイートを自動で投稿して保存しています。
Bloggerへの自動投稿はTwitterの使い始めからしているため、現在までのすべてのツイートが保存されています。HT-03Aでは、NewsRobというGoogleリーダーアプリ及びBlogger-droidというアプリを使うことで、一日分のツイートをまとめて見ています。ブラウザで見るより手軽で便利です。
もう一つ、twilogというサービスも利用しています。こちらはツイートを自動でブログ形式にまとめてくれるサービスです。様々な分析機能もあるのが便利です。ちなみにtwiccaにはtwilogプラグインがあるので、これを利用しています。
どちらにも共通するのは「自動化」ということです。手動になると途端に面倒になったり、バックアップするというタスクを覚えたり、リマインダーをセットしたりする手間がかかります。twtr2src+Bloggerもtwilogも自動でツイートを保存するので、普段はバックアップを意識することはありません。それがライフログを無理なく続けるポイントだと思います。
また、2ヶ所に保存することで片方のサービスが仮に停止したとしても、すべての記録を一度に失うリスクを避けられます。バックアップとしては大事な点ですね。
これらのログは後日、時間が経過してから振り返ると色々な発見があります。自分がツイートした言葉でも、過去の自分は他人のようになって物事を教えてくれることが多いです。思わぬアイデアを拾うこともあります。あるいは、1年以上のログがたまれば、去年の今日は何をしていたかを把握でき、毎年のやるべきことなどが見えてきたりします。GTDで週次レビューを行うように、自分がツイートした内容を後日まとめてレビューすることはなかなかおもしろい習慣になるはずです。
ソーシャル・メモツールとしてのTwitter
この連載は「Androidメモアプリでライフハック」です。そこで、メモツールとしてのTwitterを考えてみましょう。そうすると、メモをオープンにすることが重要な要素になっていると気づくでしょう。通常、メモアプリにメモする内容は個人的(パーソナル)でクローズドなものですが、Twitterにおいてはメモはオープンに共有されます。ソーシャル・メモツールとでも言えばいいでしょうか。
誰にともなく投げたツイート=メモに対して、思いがけない反応が返ってくるのがTwitterのおもしろいところです。自分のアイデアが他人の力を借りて広がっていくダイナミズム。他の誰かの脳を利用しているようなものです。筆者にとって、Twitterは「第三の脳」になっています[2]。
ただし、Twitterではリアクションを期待せずにどんどんツイートするのがコツです。かなり昔の話で記憶に頼るしかないのですが、所ジョージさんが、言葉をブーメランのようにどんどん投げる、というエッセイを書かれていました。返ってくることを期待せずにどんどん投げるのだと。時々、思いがけず言葉が返ってきてそれがおもしろいんだ、という趣旨でした。Twitterを楽しむポイントはこの辺りにありそうです。呼びかけたのに返信がこない、フォローしたのにフォロー返してくれない。そういったことを気に病むことなく、どんどん呼びかけて呼びかけたことを忘れるくらいどんどんツイートするのがいいですね。そうしていると思いがけず返信がきます。気楽にやっている人はフォローもされやすいでしょう。まさしくシリアル・ポップなTwitter術です。
ちなみに、この連載も思いついた企画を@gihyojpさんへツイートしたのがきっかけです。気楽にポップにやることで形になったんだと思っています。
そして、Twitterは色々なことを考える契機となります。基本140字という断片的な思考を継続し、それを積み重ねるという思考法。そんな断片的な思考では何も生み出さないという考えもあるでしょうが、筆者はTwitter思考もそれはそれで一つの思考法だと考えています。そこから知的生産して未来を生み出していくことは可能ではないかと考え実践する日々です。
常に携帯しているAndroidケータイは、Twitterとの相性が非常に抜群です。ぜひ自分に一番合ったクライアントアプリを見つけてTwitter生活を楽しみましょう。
次回は、その他筆者が気になるメモアプリをいくつか紹介したいと思います。今の時点で考えているのは、トリカゴメモ、mNote、そして瞬間日記です。