前回は、スキルの定義と、キャリア年数や所属組織の違いによるスキルレベルの差をご紹介しました。今回は職種や所属会社による違いや、伸ばすのがおすすめのスキルをご紹介します。
職種による違いは?
今回、以下の5つの職種に分けて調査しました。
- DB担当
- インフラ担当
- アプリケーション担当
- マネージャ
- アーキテクト
まずはDB担当から見ていきましょう。以下のグラフからは、DBスキル的には可不足ないという結果が見てとれます。DBMSのアーキテクチャやバックアップといった、業務上必要な知識は平均以上の値になっています。
次にインフラ担当のグラフを見てみましょう。
オペレーションやバックアップリカバリ、インフラスキル、ドキュメンテーションといった能力は、平均に近い様子が見てとれます。また、DBMSアーキテクチャ、SQL作成、SQLチューニングといった、DBMS固有のところは弱い傾向が見られました。
以降は該当人数が少ないため、参考レベルです。
アプリケーション担当者はインフラスキルが特に低いという結果になりました。DB中心のスキルのため、アプリケーション担当者にはそもそも不利な調査なので当然のことです。
マネージャもITスキルは全般的に低めとなりました。
一方、アーキテクトは高いスコアを出しています。総合力が高い人がアーキテクトを名乗るべきなので、こちらも当然といえます。
所属会社による違いは?
IT業界のエンジニアは、以下のような会社(所属)に分けられます。
- エンドユーザ(情報システム部門)
- SI子会社
- SI会社
- 派遣
- 独立
こういった所属会社によるスキルの差はあるのでしょうか。
まずは情報システム部門です。残念ながら、情報システム部門は、ビジネススキルとSQLのスキルを除き、値が低めでした。ビジネススキルが高いのは納得できますが、SQLのスキルが高いのは自分たちでデータベースを検索する機会があるからでしょうか。
SI子会社は平均値あたりでした。
SI会社は、大幅にではありませんが、平均値を上回っています。
派遣のグラフからは厳しい現実がわかります。派遣の方々からは「スキルアップするチャンスがない」という声を聞きますが、実際にそのような面があるようです。
なお、該当人数が少ないため参考値ですが、独立している人達のスキルは総じて高い値でした。願わくば、このように高いスキルを持って、独立してもやっていけるようになりたいですね。
経験年数以上にSE単価との相関が高いスキルとは?
前回説明しているように、経験年数とスキルの値は関係が深いです。しかし、世の中には経験年数以上の実力を持っている人もいます。経験年数以上にSE単価との相関が高いスキルは興味ありますよね?
そういう人に特有の傾向を探してみました。以下は、ある組織での経験年数とスキルの値、SE単価(実力)とスキルの値を比較したものです。
ここでは深くは説明しませんが、相関の値が高いと関係性が高いと言えます(※)。
「DBエンジニアの場合」という前提ですが、グラフから、経験年数以上に活躍している人は以下の3つのスキルが高い傾向があるといえます。
- インフラスキル
- コミュニケーションスキル
- ドキュメンテーションスキル
これらのスキルを磨くのがおすすめです。
職種や所属会社を変えながらスキルアップするにはどうすればいいのでしょうか? 社外の人たちはどのようにスキルアップしているのでしょうか?
そのようなテーマを、7月21日(土)に開かれるJPOUG(オラクルのユーザグループ)のイベントで深堀してディスカッションします。参加費無料、初心者歓迎です。
次回は、各スキルを強化するためのおすすめの活動(勉強、業務経験など)を見ていきます。お楽しみに!
注:本記事の見解は、筆者自身の見解であって、所属企業の見解を必ずしも反映したものではありません。一部のデータ件数は少ないため、精度が劣る点はご了承ください。