現場の統計学シリーズ明日からつかえるシンプル統計学
~身近な事例でするする身につく最低限の知識とコツ
2012年4月11日紙版発売
柏木吉基 著
A5判/176ページ
定価1,958円(本体1,780円+税10%)
ISBN 978-4-7741-5054-3
書籍の概要
この本の概要
「カスタードケーキがチョコパイに勝つには『味の改良』『販促キャンペーンの強化』どちらが有効か?」
「あと500人お客さんを呼び込むにはいくら広告費が必要?」
そんな身近な問題からポイントが楽しくわかる,いちばんやさしい統計学の入門書。難しい理論は扱わず,最小限の知識に絞る代わりに,8割のケースに対応できる知識がだれでもわかりやすく身につきます。手を動かして実践できるExcel操作の解説つきで実用性も抜群です。
こんな方におすすめ
- とにかくわかりやすい統計の入門書をお探しの方
- マーケティングデータなどを分析しなければならない営業・マーケティング担当の方
著者の一言
- 「なぜか,今年は競合よりもケータイの売上が悪い。どうすればいい?」
そんな課題があったとしましょう。あなたなら,どんなアプローチで,この課題の答えを出しますか?
先輩や同僚,取引先の数人に話を聞けば,「お客さんは,競合のデザインが好きらしい」という意見が多数集まるかもしれません。
また,競合のケータイを新規に購入した友人に話を聞けば,「商品のデザインが良くて気に入った」という情報が得られるかもしれません。
しかし,これらの情報を元に,「やはりデザインが鍵!」という結論を出して良いものでしょうか?
もちろん,関係者の直感や,当事者の生の声は大きな判断材料になりますが,それを鵜呑みにしてもいいのでしょうか?
そんなときにこそ統計の出番です。
統計を使い,大量のデータを分析していくと,自分の狭い感覚や観察範囲ではわからない事実が見えてきます。たとえば競合に負けている要因を影響度順などに並べて可視化すると,
- 「じつは競合の値引きセールの影響だった」
- 「自社の他のセール品と競合していた」
- 「曜日によって傾向に差があった」
そんなバラ色のことを言っても,「でも統計って難しそう」と思えるかもしれませんが,安心してください。高度な専門知識手法を体得しなくても,統計は十分使えるからです。
もちろん,専門的な手法を多く使いこなせるに越したことはありません。水泳でも,バタ足しかできないよりも,クロールやバタフライ,背泳ぎなども知っているほうが,より楽しく,美しく,速く25メートルを泳げることでしょう。
でも,それらができないからといって「25メートル泳げない」わけではありません。それ以前に,プールに入るのをあきらめていてはもったいないと思いませんか?
本書で紹介している手法は,専門知識が不要,もしくはほとんど要らないものばかりです。難しい数式も極力避けています。しかし,それだけでも,普段の仕事で出くわす問題の8割ぐらいは解決できる基礎は十分身につくことでしょう。
また,「最近クレームが多い原因を分析するのに,どの手法を使えばよいのか」という具合に,身近な例をもとに統計を活用するためのヒントを解説しています。さらに,Excel 2003ですぐに実践できるような解説も入れてあります。本書のサポートページ(以下)ではExcel 2007/2010での操作法も補足しています。
そのため,「理論は覚えたのに,どの分析手法で,どのデータを使ってスタートすればよいかがわからない」ということもなく,スムーズに実務に入っていけるようになることでしょう。
本書が統計を味方につけて,あなたのパフォーマンスを何倍にもパワーアップする手助けになることを願っています。
目次
第1章 もしも「統計」の知識がどれだけ実用的かを統計で測ってみたら
- そもそも統計ってどんなもの?
- 統計が仕事に役立つ3つの場面
- まずはこれがわかれば十分
- 大手メーカーのマネージャ62人にアンケートしてわかった「現場で必要な統計知識」とは
- コラム 高度な統計手法が必ずしも使われない5つの理由
第2章 “平均”に隠れた有望な市場とは? ~平均・中央値・最大/最小値・標準偏差・ヒストグラム・散布図
- 大量のデータをシンプルにまとめる2つの視点
- バラツキをなくして大きさに注目する ~平均
- コラム Excelで平均を出すには
- 極端なデータの影響を避けて真ん中だけに注目する ~中央値
- コラム Excelで中央値を計算するには
- データがどれぐらいの範囲に収まっているかをおさえる ~最大/最小値
- コラム Excelで最大値/最小値を求めるには
- 指標が招く3つの落とし穴
- 標準偏差で数値化する
- コラム Excelで標準偏差を算出するには
- ヒストグラムで視覚化する
- コラム Excelでヒストグラムを描くには
- 散布図で視覚化する
- コラム Excelのグラフ機能で「散布図」を作るには
- 本書で紹介した指標や手法のメリット・デメリット
第3章 値段を変えずに“安く”売るには ~比較とグラフ化
- 「100円は高いのか,安いのか」を判断するには
- 時間で比べる ~デジカメの写真と動画の情報量の違い
- 競合と比べる ~独りよがりは最大のリスク
- 計画で比べる ~組織の論理は予算で動く
- 属性で比べる(地域・商品など) ~データに個性を語らせる
- コラム 比較すべき属性を見つける4つのステップ
- 3つのグラフの強みと弱みとは
- コラム Excelでグラフを作るには
- 「グラフの引き出し」を増やすには
- 4種類のグラフ×4つの切り口早見マトリックス
第4章 カスタードケーキがチョコパイに勝つには「味の改良」「販促キャンペーンの強化」どちらが有効か? ~相関分析
- もしも単独データの分析では行きづまったら
- 相関を理解するための2つのポイント
- コラム Excelで相関を求めるには
- 「平均」では見えないデータの裏側をのぞく
- どんな問題も3つのタイプに分けられる
- 10000円の奨励金を出しても売れない原因を探れ(フロー型課題)
- コラム あえて「弱い相関」にも着目するワケ
- カスタードケーキがチョコパイに勝つには「味の改良」「販促キャンペーンの強化」どちらが有効か?(結果・要因型)
- 社内のブランド教育が“ブランド大好き”につながらないのはなぜ?(データ羅列型)
- コラム 3つ以上のデータ相関を効率的に見るには
第5章 あと500人お客を呼び込むにはいくら広告費が必要? ~単回帰分析
- 相関でわからないことを知るには
- 数式とグラフで表すには ~近似曲線
- どれぐらいの精度ならば“つかえる”のか? ~R2値
- 単回帰分析の3つステップ
- 「1000円かけると,0.0525人増える」から導ける3つのこと
- 「相関」と「単回帰分析」の関係を整理する
- 散布図をうまく単回帰分析につなげるコツ
- コラム 重回帰分析の難しさ
第6章 数字の裏にある意味を考える
- なぜ同じデータから反対の結論が出るのか
- 同じデータで違う結論が出るときの2つの対処法
- 飛びぬけたデータの意味を考える ~外れ値
- データの穴を勝手に埋めない ~人は因果関係をつけたがる
- データの範囲に注意する
- 仮説が真実を遠ざけていないか疑う ~思い込みの落とし穴
- 本当に“使える”結果か見極めるための問いかけ
第7章 より効果的にデータとつきあうには
- 分析上手は「仮説づくり」の達人
- 手元に十分なデータがない/手元のデータでは情報が得られなかったときは
- コラム 属性データを効率よく集めるには
- データを使ったプレゼンのコツ
- コラム 良いプレゼンターの要件(かんたん操作の落とし穴)
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