現場の統計学シリーズ明日からつかえるシンプル統計学
~身近な事例でするする身につく最低限の知識とコツ

この本の概要

「カスタードケーキがチョコパイに勝つには『味の改良』『販促キャンペーンの強化』どちらが有効か?」

「あと500人お客さんを呼び込むにはいくら広告費が必要?」

そんな身近な問題からポイントが楽しくわかる,いちばんやさしい統計学の入門書。難しい理論は扱わず,最小限の知識に絞る代わりに,8割のケースに対応できる知識がだれでもわかりやすく身につきます。手を動かして実践できるExcel操作の解説つきで実用性も抜群です。

こんな方におすすめ

  • とにかくわかりやすい統計の入門書をお探しの方
  • マーケティングデータなどを分析しなければならない営業・マーケティング担当の方

著者の一言

  • 「なぜか,今年は競合よりもケータイの売上が悪い。どうすればいい?」

そんな課題があったとしましょう。あなたなら,どんなアプローチで,この課題の答えを出しますか?

先輩や同僚,取引先の数人に話を聞けば,「お客さんは,競合のデザインが好きらしい」という意見が多数集まるかもしれません。

また,競合のケータイを新規に購入した友人に話を聞けば,「商品のデザインが良くて気に入った」という情報が得られるかもしれません。

しかし,これらの情報を元に,「やはりデザインが鍵!」という結論を出して良いものでしょうか?

もちろん,関係者の直感や,当事者の生の声は大きな判断材料になりますが,それを鵜呑みにしてもいいのでしょうか?

そんなときにこそ統計の出番です。

統計を使い,大量のデータを分析していくと,自分の狭い感覚や観察範囲ではわからない事実が見えてきます。たとえば競合に負けている要因を影響度順などに並べて可視化すると,

  • 「じつは競合の値引きセールの影響だった」
ということがわかったり

  • 「自社の他のセール品と競合していた」
  • 「曜日によって傾向に差があった」
など,新たな要因をより客観的に突き止められたりするのです。

そんなバラ色のことを言っても,「でも統計って難しそう」と思えるかもしれませんが,安心してください。高度な専門知識手法を体得しなくても,統計は十分使えるからです。

もちろん,専門的な手法を多く使いこなせるに越したことはありません。水泳でも,バタ足しかできないよりも,クロールやバタフライ,背泳ぎなども知っているほうが,より楽しく,美しく,速く25メートルを泳げることでしょう。

でも,それらができないからといって「25メートル泳げない」わけではありません。それ以前に,プールに入るのをあきらめていてはもったいないと思いませんか?

本書で紹介している手法は,専門知識が不要,もしくはほとんど要らないものばかりです。難しい数式も極力避けています。しかし,それだけでも,普段の仕事で出くわす問題の8割ぐらいは解決できる基礎は十分身につくことでしょう。

また,「最近クレームが多い原因を分析するのに,どの手法を使えばよいのか」という具合に,身近な例をもとに統計を活用するためのヒントを解説しています。さらに,Excel 2003ですぐに実践できるような解説も入れてあります。本書のサポートページ(以下)ではExcel 2007/2010での操作法も補足しています。

そのため,「理論は覚えたのに,どの分析手法で,どのデータを使ってスタートすればよいかがわからない」ということもなく,スムーズに実務に入っていけるようになることでしょう。

本書が統計を味方につけて,あなたのパフォーマンスを何倍にもパワーアップする手助けになることを願っています。

著者プロフィール

柏木吉基(かしわぎよしき)

日産自動車株式会社 組織開発部 ビジネス改革グループ マネージャー。

1972年神奈川県生まれ。慶応義塾大学理工学部卒業後,日立製作所入社。在職中に欧米両方のビジネススクールにて学び,2003年MBAを取得。Academic Award受賞。2004年日産自動車へ転職。

グローバル組織の中で,数々の経営課題の解決,ビジネス改革プロジェクトのパイロットを務める。経営管理,数値解析,意思決定論を専門に執筆・指導なども行う。

「自分の頭で考え,モノゴトを正しく決めるには」をライフワークのテーマとして“考え中”。

著書に『人は勘定より感情で決める』(技術評論社),『Excelで学ぶ意思決定論』(オーム社)がある。

これまでに世界約120カ国を訪問,国内では旧東海道500キロを踏破した経験を持つ。