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第11回電子ブックリーダーアプリで読書をする(2)

前回に引き続き、電子ブックリーダーアプリをご紹介していきます。

Kindleアプリ

まずは、Kindleアプリからご紹介していきます。

E-Inkディスプレイを搭載するKindle paperwhiteは、描画のもたつきにストレスを感じることがありました。Nexus 7で使うKindleアプリは、こうしたことは一切なく気持ちよく使えます。Nexus 7とKindleアプリの組み合わせで使うメリットは、ストレスなく読書ができるハードウェア性能の高さもあげられます。

使い方が異なるホーム画面

アプリ版のホーム画面には、ドロワーUIが採用されており、Android OSらしい作り込みが行われています。たとえば、画面上部のツールバーに、⁠ストアへ移動ボタン」「メニューボタン」があるのは、専用端末と変わりませんが、⁠ホーム画面へ移動のボタン」「前の画面に戻るボタン」⁠検索ボタン」がありません。⁠前の画面に戻るボタン」は、OSにあるのでアプリから省かれており、ホーム画面へ移動や検索ボタンは、ドロワーの中にメニューとして実装されています。専用端末のユーザインターフェースは、まとまりがない印象でしたが、アプリ版は、そうしたこともなく、わかりやすく仕上がっています。

ホーム画面には、本の表紙がタイル状に表示されます。

お気に入りの本の表紙がずらっと並ぶ画面を見ていると悦に入っていられます。モノクロ表示の専用端末では感じなかったことで、カラー表示ができるアプリ版ならではの魅力です。

筆者は、本の表紙がずらった並ぶホーム画面がお気に入り
筆者は、本の表紙がずらった並ぶホーム画面がお気に入り

リーダー部分の使い方は変わりない

ホーム画面は、OSの流儀に沿った造りでしたが、本の読み方には、大きな変化はありません。唯一違うのは、ツールバーの表示に、アプリ版は画面の中央をタップするくらいです(専用端末は、画面の上部をタップします⁠⁠。これは、大きな違いではないので、どちらかを使ったことがあれば、すぐに慣れるはずです。他、辞書引きの操作も大きく変わることはなく、調べたい語彙をなぞるように選択すると、結果がポップアップ表示されます。調べた語彙の全文表示ができるのも変わりがありません。

アプリと専用端末で、本の読み方に大きな違いはありませんが、読んでいる最中に表示される情報には違いがあります。アプリ版には、⁠章を読み終えるまで⁠⁠、⁠本を読み終えるまで」の時間表示がなく、ページ数とどのくらい読み進めたかをパーセントで表示するだけです。

koboアプリ

次は、koboアプリです。これのホーム画面は、専用端末のそれとは、別物と言って良い仕上がりです。

専用端末のほうは、独特のユーザインターフェースを持ち、これが、koboの世界観を創り出していました。しかし、何物にも似ていないせいで、操作方法の学習に時間をかける必要がありました。アプリ版では、こうした部分を嫌ったのか、それとも、Androidらしさを重視したのか、Androidスマホやタブレットを使ったことがあるユーザならば、操作方法の学習に時間をかけることなく使えるつくりです。

koboアプリもリーダー部分の使い勝手に変わりがありません。

辞書引きの操作にコツが必要なところまで、専用端末と変わりないのはご愛敬です。ただ、専用端末にあった日本語辞典が、アプリにはないようで、アプリ版には英語辞書しかありません。使い方によっては、これがネックになるかもしれません。

違う部分もあります。例えば、どの程度の読み進め方かの情報は、数値で常に表示されることはなく、画面の中央をタップして表示されるツールバーの下に、青いバーで表示されます。慣れればなんてことはありませんが、わかりづらくなっています。

koboアプリが他と違うのは、表示設定が行えるところです。

設定には、画面の背景を黒くして文字を白にする「夜間モード」が選択できたり、液晶ディスプレイのバックライトの光量が調整できるようになっています。Nexus 7で本を読んでいると、場面によっては画面が眩しく感じ、文字が読みづらいと感じることがあるので、これらは、うれしい配慮だと感じるとともに、ユーザ目線を持った開発者が関わっているのだと思わされます。

青空文庫を読むのであれば、Koboアプリがオススメ
青空文庫を読むのであれば、Koboアプリがオススメ

Sony Readerアプリ

Sony ReaderアプリもKindleアプリやKoboアプリと同様で、ホーム画面のつくりは専用端末と異なります。リーダーの使い勝手は、専用端末がハードボタンとタッチパネルの両方を使って操作できたのに対して、アプリはタッチパネルのみで操作するので使い勝手が異なります。他、リーダーアプリも、画面の明るさをアプリから調整できる配慮がされています。

リーダーアプリにも、他と同様にストアが統合されている
リーダーアプリにも、他と同様にストアが統合されている

どれも決めてに欠ける

駆け足ですが、主要な電子ブックリーダーアプリをご紹介しました。

koboアプリが、よく作り込まれている印象が残っていますが、使い勝手に関しては、どれかが極端に優れていると言った印象は残っていません。

手持ちのタブレットを使って電子書籍を始めたい場合は、どれを選んで良いか悩むところです。たとえば、Kindleストア、koboストア、リーダーストアの配信数やどこから買い易いか?で選ぶのも良いかもしれません。

また、koboストアは、青空文庫の取扱数が1万1,000冊と多いので、こうした視点で選ぶ方法もあります。電子ブックアプリは、いずれも無料で配布されているので、どれか1つで限定するのではなく、得意分野に応じて使い分ける方法も考えられます。

全11回にわたり、電子ブックの現状をご紹介してきました。

最後のアプリ紹介は駆け足になりましたが、今回でひと区切りとします。また、何か変化があれば、機会を見てご紹介します。

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