エンジニアのためのイベント映像活用方法

第6回 仮想イベントで実際の作業をシミュレーションする

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休憩時間にすること

SDカードの録画可能時間の残りが少ないようなら,このタイミングで交換しましょう。

イベントの進行状況次第では,10分程度の休憩時間が5分に短縮されてしまう場合もあるため,あらかじめ「長めの休憩時間に交換する!」という計画を立てて置くのが無難です。

今回の場合だと「昼食休憩」「休憩(おやつタイム⁠⁠」の辺りを交換タイミングとして考えるのが良いでしょう。

また,休憩時間で気にしておくのは,⁠誰かが機材のところに残っていること」をキープすることです。

休憩時間には多数の参加者が行き来します。⁠意図せずに機材に触れてしまい,三脚を倒してしまった」などの事故が発生しないように,誰かがそばにいる状態を維持しましょう。

また,休憩時間にUstream配信については,次の方法が考えられます。

  1. そのまま映像を流しておき,音声をミュート(消音)する
  2. 一旦配信を止め,Ustreamのスライドショーを流す

1の場合はUstream Broadcasterの機能や,第3回の連載で紹介したCamTwistの機能を使って,次の講演開始時間を告知できると良いですね。

2の場合は,これも第3回で紹介したUstreamのスライドショー機能でスポンサー企業のロゴなどを流せると良いと思います。

この辺りの作業をいつ,どのように実施するのかについて,イベントのタイムテーブルとは別に配信班用のタイムテーブルを用意しておくと,慌てずに作業できるはずです。

2会場での配信,1会場での配信

このイベントの基調講演やLT(Lightning Talks)の時間帯にはメイントラックでしかセッションが行なわず,サブトラックのB会場は空いた状態です。

このまま空けておいても良いのですが,B会場で「A会場のUstreamを流す」というのも施設の有効活用のひとつの手になります。

A会場が満員で入れない場合の受け皿としても使えますし,⁠イベント会場に来ているのに,ひたすらコードを書いている」という「よくいる人達」のための場所としても提供できます。

このために,配信の設計段階で「B会場でUstreamを再生するPC」を1台計上しておくと良いですね。

LTでの対応

LTの場合は,5分間隔程度で発表者が何度も入れ替わります。このタイミングで録画のON/OFFを繰り返すと,ミスが生じる確率が上がってしまいます。

LTの場合は,時間枠全体で1セットのON/OFFでやるべきでしょう。LTの発表者入れ替え時の慌ただしさも映像的にはちょっと面白くなります(発表者はそれどころでは無いのですが⁠⁠。

LTでの録画のスタート・ストップのタイミング

LTでの録画のスタート・ストップのタイミング

それからもうひとつ重要な点があります。

LTでは時間切れの合図をする「ドラ娘」さんが登場することがあります。

この場合,例えば5分間制限のLTであれば,4分50秒くらいでカメラをドラ娘さんへ向けて,⁠来るぞ来るぞ来るぞ!」という雰囲気が伝えられるので楽しいと思います。

クロージング

クロージングもキッチリ録画しておきましょう。

挨拶だけであっさり終わるイベントもありますし,クロージングビデオをその場で編集して流すという凝った仕掛けをするイベントもあります。

なんにせよ,数ヶ月に渡って準備してきたイベントスタッフの苦労が昇華する一瞬です。もしかすると,参加者には特別に楽しい映像ではないかも知れませんが,スタッフにとっては良い思い出の映像になると思い,私はクロージングも撮影するようにしています。

撤収作業

イベントが終了したら,撤収作業です。

他のスタッフが会場設備の片付けをしている間に,配信機材や配線ケーブル類を片付けをしなければなりません。

設営時よりは時間的余裕があるとは思いますが,場合によっては会場明け渡しの時刻まで時間が無い場合もありますので,慌てず壊さず,しかし,的確に片付けを進めていきます。

この時,多数のケーブル類も片付けなければならないと思いますが,これらには事前にケーブルバンドを付けておくと,取りまとめが楽になります。

また,会場設備のケーブルや,他の人から借りたケーブルと混在しないように,所有者の名前を入れておくのもワンポイントテクニックです。撤収時には「これ,誰のケーブルだっけ!?」という混乱が発生しがちなのです。

ケーブルバンドと名前タグ

ケーブルバンドと名前タグ

「あとでキレイに巻けばいいや」と思いがちなのですが,これは「あとで読む」タグを付けたブックマークを実際には読まない(私だけかも知れませんが)ことも多いように,後からケーブルを片付けない可能性もあるため,なるべく最初の段階でキレイにしておきたいところです。

また,SDカードなどのメディアは紛失しやすいので注意しましょう。私は真っ先に整理してカバンの中に入れるようにしています。

後日作業

イベントは無事に終了しましたが,まだ配信班の仕事は残っています。録画したデータを閲覧しやすくするための作業です。

Ustreamの録画を使う場合は,発表と録画データのURLが対比できるようにリスト化しましょう。そのリストを使って,イベントのタイムテーブルなどから録画データへリンクするようにしておくと,イベントの参加者がもう一度発表を観たい時に参照しやすくなりますし,後からイベントのことを知った人もすぐに映像までたどり着くことができるようになります。

また,今回の計画ではビデオカメラの録画をメインとして使うことにしています。録画データをそのままビデオ共有サイトへアップしても良いのですが,少しだけ映像の編集をすることにします。映像の編集に関しては次回に解説します。

まとめ

今回は,仮想のイベントから,当日の配信班の動きをシミュレーションしてみました。

そこからいくつかのポイントや「作成しておくと良い資料」が出てきましたので,次にまとめておきます。

  • 大きめのイベントでは,配信についてのシミュレーションをしておく
  • シミュレーションの結果を踏まえ,次の資料を作成しておくのがお勧め
  • 配信の設計
  • 必要機材のリスト(機材の確保)
  • 配信班のシナリオ
  • 配信班のタイムテーブル
  • イベントが始まったら,配信映像をモニタしつつ,録画のスタート・ストップを確実に行う
  • イベントが終了しても,少しだけ(?)仕事が残っていますので,気を抜き過ぎずに作業する

次回は先述したとおり,⁠後日作業」での「映像の編集」について解説したいと思います。

著者プロフィール

鈴木則夫(すずきのりお)

株式会社クロコス所属ではあるものの,本連載と業務とは特に関係がない。

個人的な興味として,勉強会やカンファレンスのUstream配信を行なってきており,ときおり「KaigiFreaks(配信班)」の名の元に活動している。

「suzuki」というアカウントを取得するのが好き。

Web日記:http://suzuki.tdiary.net/
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