モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第44回会議ですぐ使える!ネガティブを[吐き出し切る]安全な方法

前回からの続きです。

チームを一気に未来志向にするためには「参加者の抱えているネガティブな気持ちを吐き出し切らせてあげる」こと。ですが、なかなか吐き出し切れずに多くの会議が失敗。これは「吐き出せない・止まらない」参加者 VS ⁠待てない」主催者 の「気持ちと気持ち」の戦い、心理戦です。つまり言い換えれば①いかに速く吐き出させ、②いかに速く止めるか。この2点に注意することが「安全設計」のポイントにもなります。

ということで、早速その具体的で実践的な内容をご紹介していきます。

①速く吐き出してもらうための安全設計

まずはいかにスムーズに吐き出してもらうか。そのために最低限外せない「①吐き出せない」参加者の気持ちを汲んだ準備は、次の5つです。

  1. 少人数で「スモールスタート」
  2. 会話のルール「否定しない」
  3. 本当の安全確保:「キーマン」からのお墨付き
  4. 歓迎~もてなし~お見送り
  5. 必須入手「参加者リスト」

ポイントは、参加者に「今日はネガティブな発言をしてもいい ⁠安全な場⁠である」ことを会議室に入った瞬間から⁠終わりまで⁠感じさせ続ける配慮です。

1.少人数で「スモールスタート」

最初はとにかく3~4人の少人数に分かれて始めます。 ネガティブな気持ちを吐き出してもらう会議こそ大事なポイント。出席者が20人居たとしたら、4人×5テーブルに分かれて対話を始めます。ご存知の方も多い、まさに「ワールド・カフェ・ダイアログ」の手法です。

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「ワールド・カフェ・ダイアログ」とは、1テーブル3~5人に分かれて20~25分ほど対話をしたら、メンバーを入れ替えて2ラウンド、3ラウンドと繰り返して行きます。

わたしはそんな少人数に分かれたテーブルの間を周りながら、聴いて見て、絵巻物に起こしているわけですが、立ち合うたびに「スモールスタートは本当にいいなあ」と思います。

なぜなら、まさに「席の近さは心の距離感と比例する」のです。少人数のテーブルは心の壁を低くするようで、吐き出すスピードと量が、全員が一同にテーブルを囲む会議に比べて、断然違います。最初は多少ためらいがあっても、エンジンが温まるように次第にみなさんの口がなめらかに動いていきます。

例えば、同じ1時間の会議でも、一度に20人が1つのテーブルについて議論した場合、

  • (会議60分)÷(20人)=1人当たりの発言時間3分

になります。

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これが「ワールド・カフェ・ダイアログ」なら、1テーブル4人で1ラウンド20分の対話を3回行うと

  • (対話60分)={(1ラウンド20分)÷(4人)}×3回=1人当たりの発言時間15分

になります。1時間も会議をしているのに発言時間が3分しかなければ、どうしても会議ならではの発言になりがちです。 当たり障りの無いコメントだったり、 周りを見回した発言だったり、⁠こうあるべきだ」といった優等生な意見だったり。本当の気持ちとは真逆な発言になりやすい。

でも15分もあると、ついつぶやいしてしまうのです。本当の気持ちを。しかもネガほど言いやすい。 そこでふときこえてくるホンネから描けた絵は本当にいい絵です。後から見た人たちの共感度も、とにかく高い。⁠ネガを速く吐き出してもらう」にはとにかく「どれだけ発言したか(量⁠⁠」に比例します。

かつ、発言の「量」が多ければ多いほど、結果的に発言の「質」を上げていきます。いい発言を引き出したければ、まずは一人あたりの発話の機会(量)を増やすして、一人一人の重たい口を軽くすることです。⁠何を言うか(質⁠⁠」よりも「どれだけ発言できるか(量⁠⁠」を考えて設計することが本当に大事です。

「うちの社員は会議で思ったことを気軽に発言することに慣れていない」という会社では、2人一組のペアになってから始めたりします。あくまでも参加者の顔ぶれを見ながら、そのヒトたちにあった「心の壁が低くなる規模感」を大事にしてスタートします。そして口の滑りがよくなってきてから全体会議に入るという流れが効果的です。

ちなみに、⁠1テーブル5人以上」になると、途端に発言をサボる人が出てきます。あくまでもわたしの実感値ですが、⁠1テーブル20人」だとなおさらサボれることは簡単に想像つくと思います。⁠1テーブルに4人」という規模は絶妙に「話さざるをえない」状況をつくりだしているようです。できるなら「4人以下のスモールスタート」をオススメしています。

2.会話のルール「否定しない」

対話を始める前に必ず「お互いの発言を否定しない」という会話のルールを伝えます。実際、主催者の方々は会議の冒頭で次のような補足説明をつけて伝えています。

  • 「今日は否定をする前に、相手の言葉をまずは受け取ってみましょう」
  • 「違いを楽しみましょう」
  • 「その言葉の背景にあるものに思いを馳せてみましょう」
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ワールド・カフェなど「対話」を取り入れた会議では、始める前に必ず参加者に「会話のエチケット」⁠話し合いの約束事5」⁠今日の会話のルール3」といったものが伝えられています。主催者によって呼び方や内容、項目の数も違いますが、そのとき1つだけ共通して「これだけは外せない」と絵筆を通して確信するのが「相手の発言を否定しない」です。

たった一言の約束ですが、これが最初に伝えられているといないとでは、大きく議論の流れが違ってくるのです。ルール無きまま始まった会議では、主催者の気付かないテーブルで参加者同士が嫌な思いをして、ナベブタが閉じてしまったりしています。一方で、このルールを一言伝えておくだけで、⁠あ、今オレ否定しちゃった」と口を抑える人や、⁠今日は否定しないですよ」と後輩に指摘されて「ごめんごめん」といったやりとりが生まれています。そういう光景を見るたびに「このルールは本当によく効くなあ」と思っています。ネガティブな気持ちを共有する会議には外せない安全設計の1つです。

3.本当の安全確保「キーマン」からのお墨付き

「安全を確保する」には、主催する側にはまだまだ見えてないものがあります。

例えば、ある会社(A社とします)では、⁠人事部が主催する対話会なので、参加者が『人事評価につながるのでは』と警戒して発言しない可能性がある」と言われたことがあります。⁠吐き出せない気持ち」というのは本当にナイーブです。

ある会社(B社とします)では、⁠ビジョン策定プロジェクト」に選ばれた若手メンバーたちは当初とてもやる気があるが「直属の上司がプロジェクトに自分の部下が借り出されるのをいい顔をしていない」とのこと。⁠だからメンバーが全員集まらない可能性がある」という話でした。

そこで、それぞれ「どうしたらいいか⁠⁠。主催者に考えてもらいました。

A社の主催者は、対話会の冒頭に、今回の対話会をバックアップしてくれている役員の方に来てもらいました。そして役員の方の口から直接「人事評価には関係ないこと」⁠だから思う存分、現場の悩みや不安を吐き出してもらいたい」旨を参加者に伝えてもらっていました。

B社では、主催者が一人一人の上司に話して回りました。⁠社長直下のプロジェクトであること」⁠プロジェクト活動日は、メンバーを気持ちよく送り出してやってほしいこと⁠⁠。また社長からも、部長会でその上司たちに直接「会社として力を入れているプロジェクトであること」を何度も伝えてもらっていました。

「誰から一言あれば、安全な場を確保できるか」という観点は、発言の量と質を格段に変えますが、⁠キーマン」からお墨付きをもらうこと自体は、必ずしもすべての会議には当てはまりません(事実、社長直下のプロジェクトだと言われても「フ~ン」と聞き流されているものも多い…⁠⁠。それでもあえて「最低限外せない準備」の1つに入れたのは、会議を設計するときに必ず参加者の立場になって、⁠会議室の外」まで目を向けてほしいからです。

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多くの主催者の方は、会議の最中、その2時間、3時間のことしか考えない傾向があります。しかし、呼ばれた参加者のほとどんどの関心の先は、会議よりもその前後、会議室にやってくるまでと終わった後に向いています。そんな彼らの前後の状態に思いを馳せることが、安全設計に欠かせない視点なのです。

話し合いを一時的な話し合いで終らせず、未来行動につなげるためにも、参加する人たちの普段の環境や周囲との関係性までぜひ思いを巡らせてあげてください。

4.歓迎~もてなし~お見送り

主催者にとっては、準備に時間を費やせば費やすほどその会議は大事なイベントになっていきます。特に「気持ち」を吐き出してもらうために集まってもらう会議は、主催者も緊張感があるだけに気合いが違います。

けれど参加者にとってその会議は、日常業務の一部でしかありません。その温度差を忘れてはいけません。⁠そもそも今日は何の会議なのか」⁠どうして自分が呼ばれたのかわからない」という人もいます。身体はここ会議室ににあるけれど、頭と心はさっきのお客さまからの電話のことでいっぱいという人もいます。

そんな状態でやってきた参加者たちが、いつもどおり会議室に入って事務的に着席していては、それでなくても頑なナベブタは閉じたまま。そんな状態の人たちに「時間が来たので、さあ今から『気持ち』を吐き出してください」と言っても、ちょっと遅いです。

頑なナベブタを相手にする日は、その人が会議室に入った瞬間からナベブタを開かせる努力をするほうが近道です。結果的に速く吐き出してもらえます。

そのためにすることは、それは本当に些細なことですが「歓迎する」ただそれだけです。⁠忙しいのに来てくれてありがとう」⁠待ってました!」⁠今日は自由に発言してくださいね⁠⁠。実際、わたしの知る会議では、そういった温かいひとことをかけるだけで、 会場に入って来た人たちの表情が一気に和らいでいく、自然と参加者同士でおしゃべりが始まるなど、本当に効果を発揮しています。

同じ時間で吐き出し切れるか、切れないか。その差は本当にちょっとした「気遣い」をしているか、していないかの差です。⁠ひとこと言葉をかける」なんてとても簡単で安上がりなことですが、それをきちんと実行している主催者が創り出す場は確実に先を行ってます。

主催者側の決まり事として「声をかける」と行動を決めるのも大事ですが、これまで私が見てきたほとんどはみなさん「自然と」⁠心から」声をかけていました。ですので忘れてはならないのは、まずは「参加者が会議室にやってくるまで」「終わった後」のことまで思いを馳せてみてること。そうするだけで、⁠心から」声をかけられるようになります。迎え入れるときの表情も、送り出す時の一言も、⁠自然と」⁠心から」と生まれてくるものほど効果的です。

「気持ち」を吐き出してもらうときこそ、 わたしたち主催する側は「気持ち」で応えなければいけません。会議の効率を重んじるなら、参加者の「気持ち」「気持ち」で応えるが一番です。

5.入手必須「参加者リスト」

その会議に「だれを呼ぶか」ということがアウトプットにこれほど影響を与えるとは、わたし自身、絵筆を持つまで思ってもみませんでした。しかし、同じ会社、同じ組織、同じテーマであっても「その日に出席したメンバー次第」でその会議で描ける絵はまったく違ってきます。同じ人であっても、その日の顔ぶれ次第、メンバー構成次第で、発言内容が全く変わってくるのです。

そこで必ず事前に入手するのが「参加者リスト」です。具体的に参加者の顔を思い浮かべながら、ネガティブな気持ちの吐き出しやすさを配慮していきます。

  • 「どんな部署や年次の人が参加するのか」
  • 「参加者同士はお互いどんな関係性か」
  • 「声の大きそうな人はだれか」
  • 「あの人の前では話しにくいという人はいないか」

そして具体的にどんな発言が聴こえてきそうかまでシミュレーションしています。

  • 「この問いではちょっとしゃべりにくいのでは?」
  • 「このテーブルは盛り上がらなさそう…」
  • 「あっちのテーブルオーナーはあの人に任せよう」etc.

わたしはほとんど参加者とは初対面なので、主催者のイマジネーションが頼りです。主催者の方も面識の無い人はいるでしょうが、あくまでも「仮説」ですから、正しさは必要ありません。それにたいてい当日はその通りには行きません。それでも参加者の顔を思い浮かべて「仮説」を持ってシミュレーションをしておくことが大事なのです。なぜか。

シミュレーションしておくと、まず当日、参加者の発言が本当によく耳に入ってきます。表情も読み取れます。すると話し合いのうまく進んでいないテーブルが個別によく見えてきます。そこで急きょ「問い」を変えることも、グループワークにサポートに入ることも、自信を持って対応できるようになります。

そしてまた、何よりこの「仮説を立てる」よさは、シミュレーションをしている段階で、主催者から「いい議論になりそう」⁠できそうな気がする」⁠楽しみ!」という声が聴こえてくることです。それは主催者自身の中に、具体的なイメージが目に浮かんできた証拠。これこそ「安全設計」完了のサインです。

「だれが参加するのか」曖昧なままシミュレーションしても、それは空想の域を出ません。いつまで経っても安全設計のサインも表れません。⁠まあ、とりあえずやってみて、後は参加者次第で」と逃げるのが落ちです。

「ファシリテーター」と名乗る人の中では「その場に起きることに任せる」と言う人がいますが、それは「その場で起きること」への責任を放棄しているようにも見えます。実際、無駄に遠回りしている絵巻物を描くことも本当に多い。けれど仮説を立てた人なら、その場の責任者として、何が起こるか分からないその場をしっかり見守り、 未来へ少しでも速く辿り着けるよう参加者に伴走しています。

「事前の安全設計」「安全」とは、主催者がそう確信できるから「安全」と書いています。この最低限の準備1~5は、参加者の気持ちに寄り添う安全な方法論であると同時に、主催者にとっても「安全」を実感して不安を確信に変えるためのステップなのです。

②吐き出されて来たネガを、いかに速く止めるか

次に、吐き出されて来たネガを、②いかに速く吐き切らせて止めるか。⁠これだけは外せない」という具体的な方法は次の2つです。

  1. 紙(付箋紙や模造紙)に手描きで書き留める
  2. 収束させない

1.紙(付箋紙や模造紙)に手描きで書き留める

ネガを速く止めるには、とにかく発言を「紙に書き留める」ことです。絵でなくてもいいのです。文字でいいので付箋紙に書いていくこと。詳しくは以前第21回「不平・不満は[紙に定着]させると消えていく⁠⁠)で説明しましたが、原理はグラフィックファシリテ―ションと同じ、⁠ネガは紙に定着させると止まる」なのです。

どんな愚痴や不満でも一度、紙に書き出してみること。署名は不要です。ポイントは、 付箋紙に書くのは「キーワード⁠⁠ ではなく、心の声をそのままに「気持ち」を書くことです。一度「目に見える」ようにしてみると、そのうち必ず共感者が現れます。

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だれかがそれを指差して「そうそう」と言ってくれます。そうすると書いた人は「受け取ってもらえた」⁠言ってもいいんだ」という感覚になれますし、指差した人は「こんな嫌な思いをしていたのはじぶん一人だけではなかった」という嬉しさを得られます。そんな「共感」が、あっという間にみんなの「気持ち」を1つにします。

さらに付箋紙に書くことは、これまでのじぶんにまとわりついていたモヤモヤした「気持ち」を、切り離して行く作業でもあります。付箋紙がいくつも貼られた状態を眺めていくうちに、あるとき「じぶんを第三者目線で俯瞰できる」感覚がつかめてきます。俯瞰できるとネガから抜け出せてきます(参考:第42回「俯瞰力⁠⁠。

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ネガのほとんどは「だれかのせい」⁠何かのせい」にしている自分たちの「他責」です。自分たちの他責な発言を俯瞰して見られると「上司のせいばかりにしていて、自分たちは何もしていない」といったことに自分たちで気付きます。すると抜け出せるのです。課題や問題には居続けません。

しかし、これらの現象はあくまでも「紙に定着」させて「みんなで目で見て共有」するからできること。その作業を怠ると起こりません。付箋紙に書くのが面倒な人もいるでしょうが、ぜひ手を動かしてほしい大事な作業です。

紙に定着させて「なかったこと」にはしない

ホワイトボードではなく、紙に書くが大事です。消すことのできるホワイトボードでは、なかったことにできてしまいます。目の前にその文字がなくなると、まただれかが同じことを言い出します。受け取られていないと止まらない。同じ愚痴や不満を繰り返す居酒屋議論は、紙に定着させていないから止まらないのです。

「付箋紙」に書く、がおススメ

模造紙に直接書くのもいいですが、少し大きめの付箋紙に書くのがオススメです。付箋紙だからこそ「後で並べ替え」たり「グルーピング」したりという作業が可能となります。その作業は「じぶんたちの気持ちをじぶんたちで整理していく」過程でもあり、そこから新たな原因や本当の問題点が見えてくる。じつはとても大事な作業になります。

同じ気持ちのボリュームを、付箋紙の「数」から測ることもできますので、⁠すでに書いてあるから書かなくてもいいや」ではなく、同じ気持ちを、あなたも、あなたの手書きで、付箋紙に書くことを薦めています。

また「いきなり模造紙に書くのは、抵抗がある」⁠書いて消せない模造紙は緊張する」という参加者も見受けますから、付箋紙のほうが書き出しが速いという利点もあります。

あえて「じぶんの手で」書く

「付箋紙に書き出してください」と言っても、実際は、なかなか書いてくれない人がいます。⁠書くのが苦手」⁠字が汚いから嫌だ」⁠書くより喋りたい」など理由はいろいろ。

けれどあえて「じぶんの手で書く」をうるさく言うのは、⁠肉体労働」を伴わせるのが実は何よりもネガを効率よく止められるポイントだからです。これも原理はグラフィックファシリテ―ションと同じです。

話し手は、腕を組んだまま喋っていると、まさか「自分が何度も同じことを言ってる」とは思ってもいなかったりします。けれど同じ愚痴や不満を描き続けさせられるわたしはいつも「その不満、いくつ描いたら気が済みますか~!?」と絵筆を持って叫んでいます。

「じぶんの手で書く」という「肉体労働」が伴うとすぐに「もう何度も同じこと書いてるなオレ」⁠あっちのテーブルにも同じ付箋が4枚もある」と言って自然と止まっていくのです。⁠じぶんの手で書く」「じぶんで気が付く」が一番速いです。

「あえて手で書いてほしい」この理由を伝えれば、参加者の皆さんも書いてくれています。参加者の方に遠慮せず、まずはきちんと伝えてみてください。

ただ、⁠喋りながら書く」のは慣れていないと難しさもあります。その場合、いきなり対話を始めるのではなく、まずは最初の2~3分、一人一人が各自で付箋紙に書き出す時間をとってあげてください。

また、⁠喋っていない人が代わりに書いてあげましょう」という呼びかけも効果的です。じぶんの発言をだれかが書いてくれると、じぶんの気持ちを受け取ってもらえた嬉しさが生まれます(これもグラフィックファシリテ―ションと原理は同じです⁠⁠。各テーブル内の参加者同士の関係性を良くすることにも貢献しますので一石二鳥です。

2.収束させない

多くの主催者が「待てない」で失敗しています。ほとんどが、急かしてはいけないところで対話を止めてしまったり、慌てて結論を求めています。一方、⁠短い時間でネガを吐き出し切れた」⁠思ったほど時間がかからなかった」という会議に共通するのは、主催者が「今日は、議論を収束させるつもりはありません」⁠何か結論を出したいという場ではありません」と最初に宣言したところでした。話し合いの流れをコントロールしたり、想定した結論に導こうとしたりすることを、主催者が思い切り手放したとき、うまくいっています。

時間配分としては、もし時間が4時間しかとれなければ、ネガの吐き出しには3時間30分ぐらい使う気持ちで設計します。⁠アウトプットを何か残さないと…」と思っている主催者にとって「残り30分で何か案を出すのは短過ぎる…」と感じるかもしれません。けれど、ここが耐えどころです。

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ネガティブな気持ちを吐き出し切れないままでは、結局、アイデアもありきたりなもの、それほど数も出てこないし、アクションプランもほとんど実行されないでしょう。 けれど、せっかく、ネガティブな気持ちを共有するという、今まで扱ったことのない会議を開くのですから、ここは主催者の度量の試されどころ。信じてみてください。

その代わりネガが吐き出し切れたら、その反動で思わぬアクションプランやアイデアが飛び出してきます。かつそれは必ず心から「これを実行したい」という本気のハートがこもっています。

長くなりましたが以上で[事前の安全設計]のために「これだけは外さないで」でした。

次回は実際、これまでの会議が[事前の安全設計]をすることで、どんな場に変化するのか、実例を元に[before/after]で紹介します。今予定している会議も[事前の安全設計]の視点から見直したくなると思います。どうぞお楽しみに! ということで今回はここまで。グラフィックファシリテーターのやまざきゆにこでした(^.^)/

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