これまでのあらすじ
「GHテクノロジーズリバイバルプラン」
佐藤さんはじっとしてはおられずに,
先日,
社長への直訴
GHテクノロジーズの中田社長は,
普段はなかなか出向くことのないビルの最上階に向かいます。
佐藤さん:
「開発部の佐藤です。突然すいません, 少しお時間をいただけますか?」 中田社長:
「佐藤君か, ずいぶん久しぶりだな。ちょうど今の時間はアポはなかったはずだから構わんが, まぁ, そこにかけたまえ」 佐藤さん:
「はい, 失礼します」 中田社長:
「で, 突然どうしたんだい?」 佐藤さん:
「いきなりで申し訳ないのですが, 社長は今回の経営改革に対してどうお考えでしょうか? まだ具体的な改革の方針, ビジョンなど伺っていません。どうしても聞きたいのです」 中田社長:
「昨日の部長会で経営改革の話をしたばかりだから, まだ伝わっていないのかもしれないね」 佐藤さん:
「それを聞かせていただけますか?」 佐藤さん:
「早期退職から1ヵ月が過ぎますが, 現場にはゆるい空気が漂い, 緊張感や危機感のかけらもありません。現場では相変わらず経営批判が多く, 中間管理職以下, 気を引き締めて仕事をしていない様子を見て, このままじゃ会社はダメになるという気持ちでいっぱいです」 中田社長:
「改革方針・ ビジョンは今度の社内報で伝えると同時に, 下期の経営方針発表会でも伝える。一足先に部長会では発表したものの, まだつい先日のことだから, 君からすればじれったく感じてしまっただろう」 佐藤さん:
「現場が腐っている様子は黙って見てはいられません。辞めていった人たちも浮かばれません。今この瞬間も品質に問題がある製品が作られています。しかし, 原因はまだはっきり見出せていません。開発部の僕に何ができるかを考えると, 現場を回り問題を見つけ, 1つ1つつぶしていくしかないんです」 中田社長:
「品質不良はもちろん大問題だ。現場が経営層に不満があることは自分もわかっている。やる気のない中間管理職ばかり育ち, 会社に残ってしまったことも問題だ。ただ, 私は経営者だ。ここで会社をつぶすわけにはいかない」 佐藤さん:
「そこで, 社長にお願いがあります。少なくとも僕は会社がこうなってしまった責任は経営者だけではなく, 我々社員にも多くの原因があると感じています。僕は自分の目で, 現場で何が起こり, と考えています。昔のような活き活きとした職場を取り戻したいんです」どんなことが問題なのかを見極め, 改善をしていきたい 中田社長:
「トップダウンの経営改革だけでは不足かね?」 佐藤さん:
「それはわかりません。ただ, 現場にいる人間が, “経営者が会社を変えてくれる, そして都合が悪くなったときだけ会社のせいにする。こういう風潮が僕には許せないのです」だから自分たちはただひたすら待っていればいいんだ” と思ってしまったら, 結局, 現場は会社に甘えます。自分たちで良くしようという行動も起こさないと思います。 中田社長:
「つまり, 現場からのボトムアップの改革を始めるということかい?」 佐藤さん:
「そうです。ノーと言われても, 僕は1人でも現場からの改革をやるつもりで, 今日は話をしに来ました。」 中田社長:
「佐藤君, 昔と変わってないな。よし, わかった。まずはできることから始めてみてくれ。遅かれ早かれ, 現場の改革は必要になる。我々, 経営者の中にも社長の僕とは意見を異にする役員がたくさんいる。したがって, 急にオフィシャルに社内に打ち出すことはできないが, 次の経営会議で経営施策の中に盛り込むことを提言しよう。そのためには, まずは現場で何が起こっているのか, 君なりに把握しておいてくれるとありがたい」 佐藤さん:
「わかりました」
佐藤さんは直接,
しかしその一方で,
現場からのボトムアップ改革
社長室を後にしながら,