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第23回つくるしかない、トレーディングカードを

紙の魅力を凝縮したトレーディングカード

第18回『突然つながる発見』で紹介した喜国雅彦の『本棚探偵の回想』⁠双葉社)には、トレーディングカードの話が出てきます。食玩やトレーディングカードがはやっているけれど、探偵小説のトレーディングカードはない、名探偵コレクションもない、というのです。

そこで、でましたこのフレーズ。⁠自分で作るしかない⁠⁠。

喜国雅彦の『本棚探偵の回想』⁠双葉社)p.173「誰かトレカを」
喜国雅彦の『本棚探偵の回想』(双葉社)p.173「誰かトレカを」
探偵小説のトレーディングカードがないので、⁠自分で作るしかない⁠⁠。喜国雅彦の『本棚探偵の回想』⁠双葉社)p.173「誰かトレカを」より。

筆者自身も、なければ作るをモットーに、あるいはないから作るのか、作りたいからないことにしたのか、いまとなってはやや不明なものの、キーボードを手始めに、机や住宅、なんやかや。プロデュースソフトが100本、未公開の自作のソフトも50本と、なんか狂ったようにもの作りに邁進してます。

やっぱり、ないものは作るしかない創作のエネルギーには、もうむちゃくちゃ共感してしまうわけです。紙を捨ててデジタルに移行しつつあり、累積のファイル総数は140万枚(ファイル)を超えたとはいえ、紙には紙の魅力があり、その魅力を凝縮したものがトレーディングカードであるのは、大いにうなずけるところです。

それならば、喜国雅彦がカラーコピーとパウチマシンでトレーディングカードを作ったように、カラープリンタとデジタル処理を使って、トレーディングカードを作るのはどうかと、ちょうど日本のカード文化の元祖2009年の『仮面ライダー』もカードですし。

喜国雅彦の『本棚探偵の回想』⁠双葉社)p.180「誰かトレカを」
喜国雅彦の『本棚探偵の回想』(双葉社)p.180「誰かトレカを」
トレーディングカード作成の図解。コピー機を使って縮小コピーし、パウチマシンでコーティング。喜国雅彦の『本棚探偵の回想』⁠双葉社)p.180「誰かトレカを」より。
喜国雅彦の『本棚探偵の回想』⁠双葉社)p.181「誰かトレカを」
喜国雅彦の『本棚探偵の回想』(双葉社)p.181「誰かトレカを」
できあがったトレーディングカード。これは魅力的です。ほしいです。喜国雅彦の『本棚探偵の回想』⁠双葉社)p.181「誰かトレカを」より。

デジタルトレーディングカード

デジタルトレーディングカードの仕様はこんな感じ。

  • 1.カードは紙製。大きさは世に出回っているトレーディングカードに準じる。
  • 2.カードの表面は本の表紙画像。スキャンした画像を有効利用する。トレーディング目的ではない。
  • 3.裏面には本のデータと本へのアクセスパス。たとえばそのカードをカードリーダーにかざすと、該当するフォルダを開くとか、該当するフォルダのスライドショウが始まるようなことを想定。⁠デジタルで探す」のと実体の紙を紙として扱うのにはクオリアの差があり、紙でしかできないことがなになのかを研究する。
  • 4.パウチは使用しない。

さて、それで早速問題となるのが、トレーディングカードのサイズと厚みです。すぐに思いつくのは、トレーディングカードは厚いということです。だいたいプリンタというのは、厚みのある紙に印刷するのが苦手です。しかも両面印刷なんて、できるんでしょうか?

ご存じかと思いますが、筆者はもう10年くらいまともにプリンタを使ったことがありません。もっぱら紙からの脱却をめざしてきたわけですから、昨今のプリンタ事情についてほとんど無知なのです。

10年前の知識でいうと、両面印刷すると紙ににじむとか、だいたいカードみたいな小さいものに印刷できるんでしょうか。それとも大きな紙に印刷して切り抜くのか。いろいろ疑問も山積です。このあたりメーカーの方のご意見を参考にしつつ進めたいと思います。いかがでしょうかエプソンさんキヤノンさん。ブラザーさん、HPさん。あとどこでしたっけ。

インクジェットもあるしカラーレーザーも安くなってますし。

カードサイズ

じっさいのプリントはさておき、カードの仕様を考えます。

トレーディングカードに準じるといっても、手許にあるさほど多くないカードを見る限りサイズもいろいろ、厚みもいろいろのようです。角を丸めているのもあります。

机のまわりから出てきた各種小カード類
机のまわりから出てきた各種小カード類
トレーディングカード、ビットキャッシュカード(使えるのか?⁠⁠、文庫しおり、トレーディングカード大、絵はがき、音楽CDジャケットなどさまざま。

ざっと見ていくと、次のようになります。

と、こんなときのために用意したデジタルノギスが大活躍。

まずはサイズの分析から。
まずはサイズの分析から。

デジタルノギスを使って、厚みを含め情報収集。じつにバラエティに富んでいるなと思い ます。

トレーディングカード(角) 62.5ミリ×89ミリ×0.43ミリ
トレーディングカード(角丸) 58.5ミリ×86ミリ×0.29ミリ
トレーディングカード(角丸) 58.5ミリ×86ミリ×0.28ミリ
ビットキャッシュカード(角丸) 54ミリ×85.5ミリ×0.27ミリ
文庫しおり(角) 45ミリ×125ミリ×0.18ミリ
文庫しおり(角) 64.5ミリ×139ミリ×0.09ミリ
トレーディングカード大(角) 85.5ミリ×119.5ミリ×0.42ミリ
トレーディングカード大(角丸) 86ミリ×120ミリ×0.29ミリ
絵はがき(角) 105ミリ×153ミリ×0.35ミリ
音楽CDジャケット 120ミリ×136.5ミリ×0.16ミリ

こうして見ていくと、ほんとうによのなかには統一規格は少なくて、種々雑多なものがたくさんあるのが普通なのだ、とあらためて思います。

この種々雑多なものから、好みのサイズを決めるのは、なかなかむずかしいものがあります。なにより困るのが、本のサイズは、四六判と新書とA/B系列でシルエットが異なることです。それをトレーディングカードと合わせるのは、これまたむずかしい。まわりに余白をとってデザインするのがベストでしょうか。

厚みに関しては比較的簡単です。じっさいのカードを手にしてみると、0.42~0.43ミリのカードは硬く感じ、0.28~29ミリのカードはしなやかに感じます。カードサイズをトレーディングカードサイズとすれば0.29ミリをベストと感じます。このあたりは好みの要素も大きいです。

大きなトレーディングカードサイズとすると、0.29ミリだとカードの角をもった場合に自重で垂れてしまうのでもっと厚みが必要になります。といって、0.43ミリとすると重く感じます。

以上を考え合わせると、カードサイズは通常のトレーディングカードサイズ。厚みは0.29ミリとなるわけです。

トレーディングカード大(角丸)86ミリ×120ミリ×0.29ミリ。
トレーディングカード大(角丸)86ミリ×120ミリ×0.29ミリ。
0.29ミリの大きなトレーディングカードは、カードの角をもった場合に自重で垂れてしまいます。

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