この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分
今回は,SONY「Reader」のレビューの最終回として,互換性に関して触れていきます。
Readerは,ソニーの製品ということで,汎用的ではないと誤解されがちですが,多くの門戸が開かれているので順にご紹介していきます。
USBストレージとして働く
書籍をReaderへ転送する方法ですが,Reader Store以外から入手した書籍であれば,専用ソフトを使う必要はありません。Readerは,USBストレージになり,USB経由でPCにマウントできるので,ファイルコピーの感覚で書籍が転送できます。使い方次第ですが,専用の転送ソフトでないと,Readerが使えないと言うことはありません。
Reader Storeだけじゃない
Readerで読める電子書籍は,Reader Store以外からも購入できます。以下は,筆者が把握しているストアをリストアップしておきます。
3つのうち,楽天イーブックスストア「Raboo」は,Readerのホーム画面2ページ目にリンクが用意されているので,はじめての人にも使いやすくなる配慮がされています。
意外に多い対応フォーマット
Readerは,対応フォーマットが多いのも特徴です。
こうした部分をアピールしないのもソニーらしいと言えますが,フォーマットを意識しなくても使えるべきなので,現時点では,普通に使えるレベルに至っていないと言うべきかもしれません。
さて,Readerが対応しているフォーマットですが,配信コンテンツ(.mnh),XMDF(.zbf),ドットブック(.book),EPUB(.epub),PDF(.pdf),テキスト(.txt)となっています。最初の配信コンテンツ(.mnh)は,Reader Storeで使われているもので,機種認証されたReader本体以外では閲覧できません。他,EPUBに関しては,OPS Version 2.0に対応しており,日本語のEPUBファイルは,正しく表示されない場合があるとしています。
EPUBがどんな風に見えるのか
Readerは,EPUBには対応するものの,日本語コンテンツは,正しく表示されない場合があると注意書きがされています。そこで,編集部にご協力いただいて,ReaderでEPUB3.0のコンテンツを表示した場合,どのように表示されるか検証してみたのでご報告します。
ご提供頂いたのは,EPUB3.0で作成されたコンテンツで,Readerには対応していません。検証の結果は,その部分を割り引いて結果を受け止めていただければと思います。検証に使わさせていただいたコンテンツは,Gihyo Digital Publishingで無料提供されている山森丈範氏著の『Cプログラミング入門』です。
まずは,論より証拠ということで,iPadとReaderのコンテンツ再現性を見比べていただければと思います。iPadは,iBooksを使って表示しています。
Readerでコンテンツを表示したところ

iPadでコンテンツを表示したところ。コンテンツの再現性もさることながら,見開きで表示されるiPadは見みすい

Readerは,複数サイズのフォントが選択できますが,EPUBでは,それが使えず,画面比で言えば非常に大きなサイズのフォントが使われています。その結果,ページレイアウトが崩れたように見えてしまう部分が多くあります。
たとえば,章始めに章目次がありますが,iPadでは,一番小さいサイズのフォントに変更すれば,作り手が意図しているだろうレイアウトで表示されます。一方のReaderでは,章目次だけでページが占有されてしまい,iPadでの表示を見ていないと,何のことか理解できなかったかもしれません。フォントサイズの関係で,レイアウトが崩れるように見えるページが書籍のほとんどで見られ,気持ち良く読むことができません。
また,Readerのディスプレイは,16階調のグレースケール表示なので,色の再現性に関してもイマイチです。章目次のような絶妙な背景色が使われていると,見づらいと感じることもあります。
章目次の背景は,iPadで見ると綺麗だが,Readerでは見づらい

EPUBビューワとしては×
EPUB3.0,そしてiPadを想定したコンテンツと言えども,もう少し再現性の高いものだと予想してたのですが,予想を下回る結果でした。編集部からは,取り上げたコンテンツ以外もご提供いただきましたが,すべて同じ傾向でした。PRS-T1の発表時に「EPUB3.0対応への準備を進めており,年内または年明け目処にアップデートを実施したい」と説明がされています。EPUBの再現性に関しては,このアップデートが実施された際に,改めて検証の機会を設けたいと思います。
色々あれどお気に入り
Readerを使い始めて,3ヵ月が経とうとしています。
出張や旅行の際には,必ず持ち歩き移動中にReaderで読書をする使い方です。筆者は,Readerで読書をするのがあたりまえのようになりましたが,これまで同じ端末を使っている人を見かけたのは,福岡空港での1回限りです。端末代の負担を考えれば,購入を躊躇しますが,使い心地は抜群に良いので,もう少し普及しても良いのではと考えるほどです。