携帯電話研究家イケハタさんのスマホ業界つれづれ話

第6回iPhone 6とiOS8が予見する新たなトレンド

画像

モバイルの節目となる可能性を秘めたiPhone 6

こんにちは、池端です。

前回に引き続き、今回も「林檎」な話題です。

発売からしばらくたち、iPhone 6やiPhone 6 Plusを手に入れて日々使いはじめた読者もいると思います。

今回も前回と同じiOSをテーマに語りたいと思った理由は、iOS8の仕様や機能が明確になったことで「私ならこんなことをやってみたい、こんな使い方をしたい」という欲求が高まってきたからです。

今後モバイル業界の動向が「iPhone 6以降」と呼ばれることになるかもしれない…そんな予見を今回は語ります!

画像

SIMフリー版端末の同日発売が意味すること

6月に出版した拙著で語った「2014年=MVNOイヤー」の国内トレンドが、iPhone 6のリリースにも明確に反映してきました。それはSIMフリー版のiPhone 6(Plus)のことです。前回のiPhone 5発売時は、キャリア端末をリリースした後に、Apple StoreでひっそりとSIMフリー端末を売り出していましたが、それに比べると今回は「雲泥の差」といってもいいでしょう。

背景として考えられるのは、⁠MVNOで通信費を格安に抑える」という選択肢のマーケット認知度が上がったこと。

身近な例ですが、知り合いの団塊世代の父親がiPhone購入を検討した際に、⁠MVNOでもいいかなぁ」というくらいに市民権を得たようです。

SIMフリー端末は、初期購入時の本体価格は割高になるかもしれませんが、キャリアの月額徴収の付帯サービスをつけたりはずしたりする手間を考えれば、ユーザー側で通信費用の上限を管理できるのは魅力です。さらに、主要なMVNOは地方でもつながりやすいドコモの回線網がベースなので、⁠うちのオフィスだとソフトバンクの電波は入らないから……」といった悩みからも解消されて、⁠良いとこ取り」でiPhoneライフを楽しめるようになりました。

2015年からのSIMフリー義務化

これはiPhoneユーザーだけに限った話ではありません。2015年5月のSIMフリー義務化が適用されれば、ようやく日本も「好きな端末を好きな通信手段」で購入、使用できる欧米型のモバイル環境に変わることになります。

もう少し先の話しになると、米国内で始まっているApple SIMが日本国内で登場すれば、料金プランや使い方にあわせて月ごとに通信会社を切り替えるということもできるようになります。複数のSIMを挿し直す手間から解放される日も、そう遠くはないかもしれませんね!

「HealthKit」=あなたの経験値を活用する革新的アプリ

iOS8から導入されたHealthKitのリリース当初は、⁠これ(ヘルスケア)って何に使うの?スパム?」といった話題もネット上にありました。しかし、私はこの機能こそiOS8、そして今後のモバイル業界のホットワード、さらには新たなビジネスチャンスにもつながる革新的な機能だ!とあちこちで発言しています。

前回のコラムにも「iOS8から生体情報の応用が今後さらに進む」というトピックでヘルスケア市場にビッグチャンスが訪れているという趣旨で書きましたが、もう少し具体的に予見してみます。

iOS8のHealthKitによって何が変わるかというと、HealthKitの機能によってビジネスサイドからの新たなアプローチだけでなく、ユーザー自身もiOS8に蓄積された生態情報を活用することができるようになり、特別な投資や器具等を使わずにヘルスケアをすることができるようになります。

フィットネス系ビジネスの提供者側から考えれば、一人ひとりの生態情報を収集するための独自のシステムや器具の開発が軽減された分、iOS8に入った生態情報データをどのように見せて活用できるかというフェーズに移行が始まったといえます。

画像

生体情報は確実に応用できる!

生体情報の応用を考えてみましょう。⁠イングレス』という位置情報を使った人気のゲームアプリがあります。イングレスは、実際に戸外を歩きまわりながら地図上に構築された他のユーザーが構築した架空の陣地を征服する陣取り合戦のゲームです。

仮に、このゲームに生態情報を連携させたとすると、⁠この陣地攻略にあなたは2時間かけて歩いたので、消費カロリーボーナス+アイテムゲット」というような遊び方が提供できるでしょう。

もしくはアーケードにおいてあるダンスゲームであれば、生態情報とリンクさせて隠しシナリオやシークレットトラックが出現するような遊び方も(情報のやり取りは非接触式通信で!)できるでしょう。生態情報そのものがRPGゲームでいうところの経験値ボーナスになるわけです。

画像

ジムやフィットネスの現場なら、某大手ゲーム会社系列のジムに、自社コンテンツやキャラクターを活用したワークアウトプログラムが登場するかもしれません。

『メタルギアソリッド』のようなゲームで運動しながらステージを進みクリアを目指す。難易度にあわせてボスキャラやシナリオも進んでいく。教育ビジネスで登場しはじめている、ゲームフィケーションのヘルスケア版です。

これまでジム通いが苦痛だった人も、会社帰りにアーケードでゲームをする感じで健康維持の時間を持てる。そんな、いままでにない体験が生活を変えてきそうです。

さらに医療の現場でも、これまではリハビリ器具やメニューをこなすためには患者さんの根気や意志の力に依るところが多かったのですが、 iOS8ベースでモチベーションを高められるような、楽しんでリハビリができるアプリが登場するかもしれません。それだけ私はこの機能に注目しています。書きながらも私自身がわくわくしている感じが伝わるといいのですが(笑⁠⁠。

これからのゲームアプリの標準解像度が変わる!

iPhone 6とiPhone 6 Plusの発売前は、⁠これデカすぎない? 片手で持てるの?」等の不安の声もありました。私が実際に両方とも使ってみた感想ですが、1週間程使っているとサイズはそんなに気にならなくなりました。

この画面サイズの拡大も実は非常に重要な革新であり、特にゲームアプリにとって新たな業界標準ともいえる重要な要素です。ゲームにおける大きなポイントは「縦持ち」から「横持ち」が主体になるということにあります。

この画面サイズの意図は、どこにあるでしょうか? 試しに横にしてみるとPSPなどの携帯ゲーム機の16:9スクリーンとほぼ同じサイズということに気づきます。たとえば『三國無双』『モンハン』等のゲームはやはり横長なスクリーンで楽しみたいですし、ゲームデザインの観点からも、常にパラメーターを表示させておくにはこのサイズはマスト。

これまでのスマホのゲームはビッグタイトルの移植版ミニゲームという位置づけでしたが、より高度な表現が可能になって携帯ゲーム機となんら遜色のない環境に近づいてきたということなのです。ゲーム用としてiPadなどのタブレットを使用していた人も再度iPhoneに戻ってくるかもしれません。

もちろん私としてはタブレットにもどんどん進化していって欲しいのですが(笑⁠⁠。

まだまだiOS8のポテンシャルについては語り足りないのですが、今回はこの辺で。池端でした。

iPhone6販売台数について
http://news.livedoor.com/article/detail/9425224/ http://www.nikkei.com/article/DGXMZO77565640W4A920C1000000/
SIMフリーについて
http://matome.naver.jp/odai/2141048102803257501 http://rinkaji-mac.com/2014/10/apple-sim-future/10919
ヘルスケアについて
http://news.mynavi.jp/articles/2014/10/06/iphone_why/ https://www.mrso.jp/blog/iphone6-healthcare-how-to-use.html http://matome.naver.jp/odai/2141124415698828601
ファブレットについて
http://visionmission.hatenablog.com/entry/iphone-6-plus-ipad-mini http://matome.naver.jp/odai/2141059506811793201

おすすめ記事

記事・ニュース一覧