Software Design 2016年5月号

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補足情報

(2016年5月18日更新)

P.144 Unixコマンドライン探検隊 第1回の補足情報
PAGER(ページャー)

manは,標準で対象のmanページをコンソール画面に出力します。コンソール画面1ページでは表示できない内容も多いので,ページャーという外部のコマンドを通して出力することで,1画面に1ページがちょうどおさまるように表示しています。

<STEP UP!>
manが使うページャーは,環境変数PAGERかMANPAGERで指定してあるプログラムが使われます。もしくは,“-P”オプションで明示的にページャープログラムを指定することもできます。
$ man -P more ls

ページャーは,ほとんどの場合lessかmoreが使われます。lessコマンドは,moreの発展形(moreに対する洒落のネーミング)で,エディタの“vi”コマンドライクな操作によって,ページの前後移動,行単位での移動,検索などができます。

OS Xでは,moreというコマンドは存在していますが,中身はlessになっているようです。

less, moreの簡単な使い方(画面下に“:”が表示されている状態で,次のコマンドなどが有効です)
qページャーをぬける
f1ページ先に進む
b1ページ戻る
j1行進む
k1行戻る
/続けてキーワードを入力して前方検索する
?続けてキーワードを入力して後方検索する
Ctrl+G全体での現在位置などの情報を最下段に表示する
hHELPを表示する

manページのある場所

さて,manページ(元データ)はどこにあるのでしょうか。プログラムの中にハードコードされているのでしょうか。そんなはずはないですよね。

manページは,OS XやLinuxでは,
/usr/share/man,/usr/local/share/manに格納されています。lsコマンドで,ディレクトリの中を覗いてみます。

Ubuntuでの例
$ ls /usr/share/man
ar   bo           da     eo  fo            gd  id  ko    man3  mhr  nn  pt_BR  sk  te  vi
ast  bs           de     es  fr            gl  io  ku    man4  ml   oc  ro     sl  th  zh_CN
az   ca           el     et  fr.ISO8859-1  he  it  lt    man5  ms   pa  ru     sq  tr  zh_HK
be   ca@valencia  en_AU  eu  fr.UTF-8      hi  ja  lv    man6  my   pl  se     sr  ug  zh_TW
bg   cs           en_CA  fa  fr_CA         hr  kk  man1  man7  nb   ps  shn    sv  uk
bn   cy           en_GB  fi  fy            hu  km  man2  man8  nl   pt  si     ta  uz

man1〜man8が英語のmanページで,それぞれ1〜8セクションが分類されて収納されているディレクトリです。jaなどのほかのディレクトリは,各言語(ローケール)に対応した言語に翻訳されたmanページが,同様(たとえばja/man1〜ja/man8)に格納されています。

個々のmanページは,たとえばlsであれば“コマンド名.セクション[.gz]”という名称のファイルは,

ls.1.gz → 圧縮された状態

もしくは,

ls.1 → 非圧縮の状態

で存在しています。

Linux系の環境では,これらのディレクトリには圧縮されたものが入っていて,ディスクスペースを節約しています。

<STEP UP!>
manページのファイルは,groffというマークアップランゲージを使った文書整形ツールの形式です。groffは“roff”(roffの名前は,Run OFFから)コマンドファミリーのフロントエンドプログラムで,manページはそのファミリーの中でも“nroff -manマクロ形式”です(nroffは,現在ではshellスクリプトになっていて,groffを内部から呼び出しています)。

manコマンドを使うのと同様に,nrofffを使って
Linux
$ zcat ls.1.gz | nroff -man
OS X
$ nroff -man ls.1
とすれば,整形された状態で表示できます。

日本語のページはどこに?

日本語のmanページがある場合は,通常日本語のロケールjaにに対応した/usr/share/man/ja,/usr/local/share/man/jaディレクトリに入っているはずです。

現在のロケールが何になっているかは,環境変数LANGを確認しましょう。

$ printenv LANG
ja_JP.UTF-8

であれば,日本語がデフォルトです。en_US.UTF-8であれば,英語(米国)です。日本語になっていなくても,次のように環境変数を設定して,日本語環境にすることができます。

$ export LANG=ja_JP.UTF-8

この場合には,jaディレクトリにmanページのファイルがなければ,デフォルト(通常英語)のページが表示されます。jaディレクトリがあっても,すべてのマニュアルが翻訳されているわけではありませんので,ページによって日本語であったり英語になることもあります。

いちいち環境変数を変更してしまうと,後に実行するコマンドのロケールへも影響してしまいますので,次のようにすれば,manの実行時だけロケールを変更できます。

英語(システムデフォルトとして指定した例)
$ env LANG=C man man
日本語
$ env LANG=ja_JP.UTF-8 man man

<STEP UP!>
日本語のmanページがインストールされていない場合,次の方法で簡単に導入できるかもしれません。root権限か,sudoersに利用者が登録されている必要があります。
Ubuntu
$ sudo apt-get install manpages-ja
CentOS
$ sudo yum install man-pages-ja
OS X
OSXには,日本語のmanページは標準では入っていません。日本語のマニュアルを使えるようにするには,日本語に対応したgroffをインストールし,日本語のmanページをインストール(OS XはFreeBSDベースなので,http://www.jp.freebsd.org/man-jp/search.htmlからFreeBSDのものを取得するのが良いでしょう)するなどの対応が必要です。

お詫びと訂正(正誤表)

本誌の以下の部分に誤りがありました。ここに訂正するとともに,ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。

(2016年4月29日更新)

P.36 「量指定子:0個または1個 ?、=」の正規表現例


\vfunction(\s+\w+)\(


\vfunction(\s+\w+)?\(



function\(\s\+\w\+\)(


function\(\s\+\w\+\)\?(