インタビュー

2017年,そして,これからのJava――エコシステムがテクノロジーを進化させる

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Javaコミュニティの変化と進化

――最後に,Javaの最大の魅力でもあるコミュニティについて,現在の状況,これまでの変化,この先について教えてください。まず,OracleがSunを買収して7年が経ちました。この間,周囲の反応はどうでしたか?

Sharat: まさにOracleの買収時点で最も懸念されたのがコミュニティに対するものでした。具体的には「コミュニティの縮小化」ですね。それには,SunとOracleの企業風土の違いなどさまざまな理由があったかと思います。

しかし,7年が経過して調べてみるとその逆でした。コミュニティは今もなお成長しています。たとえば,世界のJavaユーザグループは104%増です。Javaチャンピオンは54%増えました。

これだけでコミュニティの成長と決めつけるのは危険かもしれませんが,少なくとも,ユーザグループやJavaチャンピオンなど,企業の影響下ではない部分で,参加者が増えていることはコミュニティの成長と言えると断言できます。

――とくにJavaユーザグループの増加率は目覚ましいですね。ちなみに世界各国で見た場合,どの国・地域のユーザグループが盛り上がっているのでしょうか。

Sharat: 3つ挙げられます。まずは,ここ日本です。2年前は3,000人ほどだった聞いているJJUG(Japan Java User Groups)が,今は6,000人を超えています。日本はJava誕生から,つねにコミュニティの成長と市場の成長が相対的に伸びている国です。

次に中国。北京のユーザコミュニティは2年前に発足したと聞いていますが,すでに10,000人の参加者を超えているそうです。

最後にブラジルです。ここには世界最大のJUGがあり,40,000人を超えています。

この3つだけではなく,アメリカをはじめ,さまざまな国・地域で今もなお成長しているのがJavaコミュニティです。

――コミュニティの成長には,若い人材の参加が欠かせません。ところが,たとえば,日本の場合でもコミュニティの高齢化というのは1つの問題となっています。若い人材を集めるために,何かアドバイスがあればお願いします。

Sharat: これは企業と同じです。コミュニティに参加することはコミットすること,ほかのメンバーとコラボレーションすることです。ですから,若い人材には,コミットすることの意味を伝えることに加えて,ほかのメンバーとコラボレーションできる魅力,そして,それによる学習スピードの向上という点を意識してもらえると良いのではないでしょうか。

そのためには,若い人材自身にだけではなく,周囲の大人たち,たとえば,企業にいる上司が,積極的にコミュニティに参加させる状況や雰囲気作りをすることが大事です。そこには,今挙げたようなメリットがあるわけですから,社内の人材育成にもつながるはずです。

Bernard: それから,インターネットの変化も重要です。Javaの誕生当時にはなかったTwitterやFacebookなどのソーシャルネットワークの存在は,今の若い人材にとってはあたりまえです。Javaに限らず,オープンソースコミュニティへの参加というのは,若い人材にとってはソーシャルネットワークと同じような感覚があるはずです。

ですから,そのコミュニティに参加することで誰とつながれるのか? どんな情報が手に入るのか?そういった面を,コミュニティから発信していくことも大切です。

誤解してほしくないのは強制的に参加させるのではありません。あくまで,参加したい人が,興味のあるところに参加すればよいのです。

Sharat: 少しだけJavaコミュニティの宣伝をすると,とくにOpenJDKは非常に良いコミュニティです。なぜなら扱う範囲が多岐にわたっているからです。まずは自分が興味あるテクノロジやテーマがないか,コミュニティのサイトやメーリングリストで探してみてください。

また,OpenJDK自体は世界各国とつながっていますから,世界の開発者たちとのコミュニケーション,コラボレーションを体験し,スキルを磨くというメリットも享受できます。

資料をもとに,Javaの状況,そして二人が考えるJavaの未来についてアツく語ってくれた

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日本の開発者に向けて

――お二人にとってもJavaコミュニティこそが,Javaのカギを握る存在の1つであることがわかりました。最後に,日本のコミュニティ,開発者へのメッセージをお願いします。

Bernard: 世界に横断する開発者コミュニティはそれほど多くはありません。Javaコミュニティはその貴重な存在の1つではないかと思います。コミュニケーションを取るには,日本の開発者には英語の壁があるかもしれませんが,まずは参加してもらいたいです。

するとまた文化の違い,考え方の違いによる難しさを体感するかもしれません。しかし,そういった差異を体感することがコラボレーションのスキル向上につながります。

Sharat: Java Day Tokyoは今年で5回目を迎えました。年々参加者が増えていることは大変喜ばしいことです。私もこれからも喜んで参加したいと考えています。

先ほどの質問に上がっていた,若者の参加について,これはコミュニティを自分たちの身の回りに置き換えてもらうとわかりやすいはずです。つまり,子供を育てるには村が必要だということ。コミュニティの存在が村になれば良いわけです。

その村を作っていくための取り組み,エコシステムの拡充にこれからも取り組んでまいりたいですし,日本の皆さんにもその一員となって協力してもらえたら嬉しいです。

――ありがとうございました。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室部長代理。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属,同誌編集長(2004年1月~2011年12月)や『Web Site Expert』編集長を歴任。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)の責任者として,イベントやWeb・オンライン企画を統括。現在は,技術評論社の電子出版事業を中心に,デジタル・オンライン事業を取りまとめる。社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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中田瑛人(なかたあきと)

Software Design編集部所属。2014年 技術評論社入社。

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