インタビュー

未来の移動と交通を支える技術に特化したカンファレンス「MOBILITY:dev 2019」,10月31日開催~Webエンジニアの新しいキャリアパス

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

MaaS――Mobility as a Serviceというフレーズを耳にするようになりました。サービスとしての移動と交通を指す言葉です。日本社会におけるMaaSの今とこれからをテーマにした,技術カンファレンス「MOBILITY:dev 2019」が10月31日に開催されます。

MOBILITY:dev 2019
https://mobilitydev.jp/

今回,開催背景と狙いについて,主催者の1人である,株式会社ディー・エヌ・エー オートモーティブ事業本部モビリティインテリジェンス開発部部長 長谷歴氏,同本部組織開発グループグループマネジャー 辻本知範氏の両名に伺いました。

株式会社ディー・エヌ・エー オートモーティブ事業本部モビリティインテリジェンス開発部部長 長谷歴氏(左⁠⁠,同本部組織開発グループグループマネジャー 辻本知範氏(右)

株式会社ディー・エヌ・エー オートモーティブ事業本部モビリティインテリジェンス開発部部長 長谷歴氏(左),同本部組織開発グループグループマネジャー 辻本知範氏(右)

日本における“MaaS”について考えたい

今回のMOBILITY:dev 2019は,これまでのMaaS関連のイベントに比べて,プログラムからかなり技術的,それもソフトウェアテクノロジーにフォーカスしている印象を受けます。開催に至った背景を教えてもらえますか。

長谷: 海外では一般的だったMaaSというキーワードが今年に入って日本にも浸透し始めてきました。スマートフォンの普及,キャッシュレスサービスの登場,また,地域や自治体での,サービスの向上といった要因が挙げられます。その他,自動運転や交通機関とネットの融合といった環境要因もあるでしょう。

ただ,エンジニアにとっては,⁠交通」というキーワードが出てくると,どうしても道路や信号などのインフラや,移動のための手段である自動車・バス・電車そのものやその車載システムなどの印象を持ちがちです。カーナビや駅の券売機や,あるいは料金箱とかバス停留所の次のバス表示パネルなど,概念としてはハードウェアのイメージが強いです。

しかし,本質的にはハードウェアの進化だけではなくソフトウェアの進化がサービスの改善・改良に直結しています。フィンランドのWhimを始め,世界中で,交通・移動とインターネット・ソフトウェアとの連携の強化により,移動サービスの品質が大きく向上しています。

ここ日本でも,そうなっていってほしい,しかし,エンジニアが自分の活躍の場所として「交通」に興味を向けるためのきっかけががまだまだ少ないのではないか,という思いから,今回の開催に至りました。

辻本: ハードウェアからのアプローチが悪いということではなくて,日本のMaaSの価値を向上させるためにも,もっとソフトウェアからのアプローチを強めていきたいと私たちは考えています。

そのためにはソフトウェアエンジニアにMaaS,交通領域に興味を持ってもらいたい。

今,ヘルステック(医療・健康⁠⁠,アグリテック(農業⁠⁠,フィンテック(金融・経済)といったような従来の産業とテクノロジーが掛け合わさった分野では,ソフトウェアエンジニアが活躍する場が広がっています。

MaaSも同じで,交通・移動×テクノロジーという観点から,ハードウェアに加えて,ソフトウェアが鍵を握る。私たちはそう考えています。イベント名にdevを付けたのも,テクノロジー寄りの内容にしたいからです。

ソフトウェアエンジニアリングからのアプローチ

MOBILITY:dev 2019が,ソフトウェアにフォーカスした内容,また,ソフトウェアエンジニアへの参加してもらいたい想いが伝わってきました。具体的にはどういった内容のプログラムが用意されているのでしょうか。

長谷: はい。MaaSと言っても扱うテクノロジーは非常に幅が広いです。一方で,移動や交通は,エンジニアに限らず,日常生活をするうえでとても身近なテーマでもあります。ですから,まず,どういった事例があるのか,その事例の中でどのようなテクノロジーが使われているのか,それを示す,具体的なプログラムを多数用意しました。

まず,東京大学/生産技術研究所特任講師の伊藤昌毅氏による「GTFSオープンデータで公共交通をアップデート」では,GTFS(General Transit Feed Specification)という,公共交通機関の時刻表と地理的情報に関するオープンフォーマットを題材としたプログラムとなっています。

公共交通機関の時刻表をインターネットに公開することで,Google Mapsからでも,個人のWebサイトからでも,複数の公共交通機関との連絡や経路検索が行えるわけです。技術的には完全にWeb系の技術しか使われていません。

また,MaaSの中でも注目度の高い自動運転技術に関してもプログラムを用意しました。株式会社ティアフォー/技術本部エンジニア,森本潤一氏による「Webエンジニアが自動運転企業でやっていること」です。

タイトルからも伝わるように,ずばりWebエンジニアに向けた自動運転技術に関するセッションです。Webエンジニアにとって,自動運転は一見自分たちとは異なる分野と思われがちですが,実はいろいろとできることがあります。また,Webエンジニアの皆さんが持っている技術が活用できる分野でもあることをお伝えしたいセッションです。

最後に,手前味噌ですが,私たちDeNAからは「MOVで実践したサーバーAPI実装の超最適化について」⁠後部座席タブレットにおけるMaaS時代を見据えた半歩先行くプロダクトデザイン(仮⁠⁠」など,オートモーティブ事業の実績と取り組みを紹介するセッションを用意しています。

前者のスピーカを担当するオートモーティブ事業本部スマートタクシーシステム開発部 部長の惠良和隆は,もともとゲーム会社に在籍し,弊社へ転職。その後もゲーム開発の基盤整備,ゲームシステムのアーキテクチャ設計など,おもにクライアントサイドでのゲーム開発エンジニアでした。その彼が,16年関わったゲーム分野から,昨年7月にオートモーティブ事業へキャリアチェンジを行った背景などをふまえながら,エンジニア視点として,MaaSへの関わり方についてお話する予定です。

辻本: これまで,日本におけるMaaSのイベントの印象として,どうしてもビジネス寄りなものが多く,結果として,MaaSのイベント=どうやって社会を変えるか(社会貢献や社会的意義をテーマにしたもの⁠⁠,どのようなビジネスモデルを構築するか(ビジネス・プランニングをテーマにしたもの)といったイメージが強くなっていると私は感じています。

それ自体は悪いことではありませんが,ビジネスマンやマーケターへの訴求が強くなっていたことは否めません。

しかし,MaaSを支えるのは,先ほどもお話したようにソフトウェアエンジニアリングです。ですから,今回も,ソフトウェアエンジニアにとって興味を持ってもらいたいと願っています。

画像

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

Twitte ID:tomihisa(http://twitter.com/tomihisa/

バックナンバー

2019

  • 未来の移動と交通を支える技術に特化したカンファレンス「MOBILITY:dev 2019」,10月31日開催~Webエンジニアの新しいキャリアパス