インタビュー

プロダクト思考で開発が進む「みてね」の今とこれから~みてねの生みの親笠原健治氏,開発マネージャ酒井篤氏が考える,プロダクトとエンジニアリングの素敵な関係

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ユーザ環境の変化と社会への適用

――2020年,コロナ禍により人々の生活はガラッと変わりました。中でも,日常生活におけるオンライン・デジタル化は顕著だったと感じています。この点から見て,みてねへの影響,開発する立場で感じたことがあれば教えてください。

笠原: この社会変化は本当に大きく,今もなお,社会情勢を見ながら開発を進めているのが実際のところです。

振り返ってみると,3月中盤の北米ロックダウンが最初の転換期でした。みてねはすでに北米展開をしていた中,3月中盤以前は,利用者のアクティブ率は週末に増加する傾向だったのですが,ロックダウン以降,平日も含めて,アクティブ率の曲線が大きく上昇しました。

理由は,日常的に外出できなくなったこと,そのため,人と人が会えなくなったことで,インターネット・スマートフォンを通じてコミュニケーションを取る行動にシフトしたからです。

今まであたりまえだった日常生活,家族の幸せが奪われてしまった。そのことはとても悲しいことですが,わらをもすがる思いでみてねを利用してくださっていると感じました。実際,みてねを利用して子どもの成長を見られている,見せることができているというレビューは本当にたくさん付きました。

とくに,この時期にお子さんが生まれたご家庭にとっては,遠く離れた自分自身の両親,つまり,祖父・祖母に会わせられないという辛い状況だった中,オンラインを通じてのコミュニケーションをみてねがサポートできたのではないかと思います。

さらに,私たちとして,今のこの状況でできることがないかと考えている中,酒井から「まず多くの方に使ってもらって,少しでも豊かなコミュニケーションを提供することがみてねの役割では」という提案をもらいました。

そして,それまで有料だった3分以上の動画アップロード機能を一時無料開放するなど,ユーザの皆さまにとって,少しでも役立つよう意識しました。

その他,子育ての課題解決に取り組む団体の活動をサポートする「みてね基金」の設立など,今できることを考え,取り組んでいます。

子育ての課題解決に取り組む団体の活動をサポートする ⁠みてね基金」を設立
https://mixi.co.jp/press/2020/0413/3929/

――迅速な対応,臨機応変なサービスの拡充は,みてねが持っているコンセプト、「子育てを楽しく」ということに通じているように感じます。ところで,突発的な状況の変化が,なにかサービス運用に影響は出ましたか?

酒井: これは自信を持って言えるところで,急に負荷が増えたからといった理由でサービスに障害が出たことはまったくありませんでした。SREチームを始めとした各担当によるインフラの最適化が進んでいたこともあり,事前に予測し準備していた範囲で十分対応できました。

ただ,サービスそのものというよりは,私たち開発メンバーには影響がありましたね。とくに,社会的にリモートワーク化が進み,私たちも例にもれず,春以降,リモートワークで日常業務を遂行しています。

そこで,今までとは違うコミュニケーションスタイル,日々の業務の進め方などを,試行錯誤して進めています。メンバーの中には,まさに育児真っ最中のものもおりますし,コロナ禍における子育てを自分ごととして,また,それが世の中でどういう状況なのかを調査しながら,開発しています。

気持ちの面では,子育てを楽しくしたいと考えている私たちが,あまりに必死になりすぎてしまうと,サービスにそれが現れてしまうので,できる限り余裕を持って開発できるようにはしています。

他にも,コミュニケーションツールとしてSlackを活用する状況が格段に増える中,オフィスに集まっているときはあたりまえだった,隣の机の社員同士の,ちょっとした会話,雑談が,Slackになった途端に減ってしまったので,意識的にSlack上でも雑談するようにしています。これも1つの変化と言えますね。

笠原: メンバーが集まってのオンライン懇親会も何度か開催しています。全体で50名程度が参加し,さらに,全員がいるスペースといくつかの少人数スペースを用意して,それぞれが思い思いに会話できるようにしました。

2021年のみてねはここに期待!

――全員がまったく想定しなかったコロナ禍において,みてねというプロダクトが持つミッション「世界中の家族に“こころのインフラ”を提供する」を,この状況においてもユーザはもちろん,プロダクトを作る側も変わらないよう,適応しながら開発を進められてきたのですね。 さて,最後に,2021年のみてねの見どころ,お二人からの抱負,ユーザに向けてのメッセージをお願いします。

笠原: ユーザ数としては,2021年前半には,1,000万ユーザを超えると思います。その先に2,000万,3,000万の方に使ってもらえるのも時間の問題だと思っています。

これまで積み上げてきた海外展開,及び,収益化をさらに一段上のフェーズを目指しますし,2021年がそのターニングポイントと捉えています。

みてねは,子どもの写真や動画をコアとして,家族間のコミュニケーションがプロダクトとしての魅力であり,強みです。これからは,その(コミュニケーションの)延長線上にある,子どもの成長を楽しむ,みんなで喜ぶという観点から機能を追加したり,派生するプロダクトにつなげていきたいです。ひとことで言うと「家族の絆が強まる」プロダクトです。

また,すでに進めている海外展開は,今まで以上に強化したいです。子育てと1つとっても,日本と世界でその価値観や概念は異なりますし,体験が違うものになります。その中で,子どもが生まれた喜び・嬉しさ,家族で見守りたいという気持ちは世界共通です。共通した概念を大事にしつつ,日本,そして,世界の国々の文化の違いも吸収しながら展開していきたいですね。

酒井: 開発チームの観点で言えば,とにかく,まだまだやりたいことが多く,対応しきれない状況です。自分のエンジニアキャリアの中でも,やりたいこと・実現したいことがこんなにたくさんあるプロダクトは初めてです。

ですから,これからも,そのやりたいこと・実現したいことを,開発メンバー一人ひとりが楽しみながら取り組んで形にしていける,そういうチームを目指しています。

また,今,笠原が話したような世界展開においては,開発を日本だけに閉じず,海外のエンジニアも増やし,現地の文化や風習をより反映したプロダクト開発ができるようにもしていきたいです。

笠原: 最後に,これは2021年という話より,ずっと先の話になりますが,今,私たちの世代の子どもたちの写真や動画を楽しみ,喜んでいるような状況と同様に,今のみてねの主役である子どもたちが,大人になったとき,今度はその子どもたちが親になり,さらに,その子どもたちの写真や動画で楽しみ喜んでもらえるような,親世代から子世代へと代々愛され続けるそういうプロダクトに成長していけたら嬉しいですね。

――ありがとうございました。

この5年を振り返りつつ,2020年の今の課題と取り組み,そして,未来への期待を非常に楽しそうに話してくれる姿が印象的だった

この5年を振り返りつつ,2020年の今の課題と取り組み,そして,未来への期待を非常に楽しそうに話してくれる姿が印象的だった


コロナ禍の中,感染症対策をとっての久しぶりの対面での取材において,2020年時点でのみてねの過去・現在・未来について,プロダクトオーナー笠原氏と開発チームリーダー酒井氏にお話いただきました。

改めて,みてねが目指す,子どもの成長をプロダクトで広げ,世界を作っていく社会について伺えました。

開発視点で見ると,プロダクトオーナーと開発チームの非常に適度な距離の関係性,とくにみてねの世界観が,メンバー全員に共有され開発が進んでいること,そして,ラージスケールスクラムの模範開発とも言える体制で,社会変化にも対応しながら進化中であることがわかりました。

そして,最後に笠原氏がコメントした社会こそ,この先の,オンライン・デジタル化が前提となる新しい日常の形の1つと言えるのかもしれません。

2020年12月現在,みてねチームはメンバーを積極的に募集しています。本インタビューをご覧いただいた方で,ご興味をお持ちになった方は下記みてね採用募集ページをご覧ください。

みてね採用募集
https://mitene.us/recruit

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室部長代理。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属,同誌編集長(2004年1月~2011年12月)や『Web Site Expert』編集長を歴任。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)の責任者として,イベントやWeb・オンライン企画を統括。現在は,技術評論社の電子出版事業を中心に,デジタル・オンライン事業を取りまとめる。社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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