Cloud2――Salesforce.comが目指すオープンプラットフォーム戦略

株式会社セールスフォース・ドットコムは2011年2月28日、同社が考えるオープン・プラットフォーム戦略「Cloud2」に関して記者説明会を開催した。今回の説明会に伴い、2011年1月に買収が完了したHeroku COOも務める、米Salesforce.com、Senior Vice PresidentのByron Sebastian氏が来日し、最新動向と展望について述べた。

米Salesforce.com、Senior Vice PresidentのByron Sebastian氏
米Salesforce.com、Senior Vice PresidentのByron Sebastian氏

クラウドコンピューティングのシフト

Byron氏は、Salesforce.comの業績の伸び、最新ツールChatterの説明を行った後、クラウドコンピューティングシーンのシフトについて説明した。同氏によれば4、5年前にスタートしたクラウドコンピューティングを「Cloud1」とし、キーワードとして「簡単・速い・低コスト」を挙げた。

これに続く動きとして、「Cloud2」のシーンへのシフトが始まっており、それを支える技術・考え方として「ソーシャル・モバイル・オープン」の3つのキーワードを掲げた。

Salesforce.comが考えるCloud2のイメージ
Salesforce.comが考えるCloud2のイメージ

Cloud2が推し進めるトレンド

Cloud2を支えるインフラとなるのが、同社が開発し、推進し続けるForce.comである。そして、Force.comを含めたCloud2の概念では、システムのアーキテクチャ面、運用面で次のようなトレンドをサポートし推進していくそうだ。

Cloud2が推し進めるトレンド:アーキテクチャ面
Cloud2が推し進めるトレンド:アーキテクチャ面
Cloud2が推し進めるトレンド:運用面
Cloud2が推し進めるトレンド:運用面

これについて、Byron氏は「技術の進化に合わせて開発環境が変化していることに加えて、ユーザの体験、顧客のニーズが変化することによって求められるトレンドが変化しており、Salesforce.comは、それに対応するための環境作りをしている」と述べた。

また、絶対条件として「オープンであること」を挙げ、今後はますます閉鎖的なモデルがなくなり、相互運用性、オープンソーステクノロジーが重要な役割を担っていくとし、⁠企業がクラウド戦略を進めるときに、⁠単体の)テクノロジーではなく、選択肢の多さ、自由度の高いプラットフォームでベンダを選ぶ時代が来ている」とコメントした。

Force.comは、Appforce、Siteforce、VMforce、Herokuといったテクノロジー・アプリケーションをサポートするプラットフォームである
Force.comは、Appforce、Siteforce、VMforce、Herokuといったテクノロジー・アプリケーションをサポートするプラットフォームである
Byron氏はHerokuについて「Rubyは最もエキサイティングな言語の1つ」と紹介し、買収完了により、Force.com、Herokuを通じてRubyによる最適な開発が行えるようになったことを喜んだ
Byron氏はHerokuについて「Rubyは最もエキサイティングな言語の1つ」と紹介し、買収完了により、Force.com、Herokuを通じてRubyによる最適な開発が行えるようになったことを喜んだ

database.com――Cloud2のために構築されたエンタープライズデータベース

説明会の最後に、同社がCloud2環境のために構築したエンタープライズデータベース「database.com」を紹介した。

database.comは、

  • リレーショナルデータ
  • 完全テキスト検索
  • ユーザ管理
  • 行レベルのセキュリティ
  • トリガ、ストアドプロシージャ
  • 認証
  • API

などの特徴を持ち、⁠これをクラウド上で利用することで信頼性の高い、安全なDBシステムが構築できる」⁠Byron氏)と説明した。

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