6月12日、米国Treasure DataのCEO 芳川裕誠氏、および日本法人であるトレジャーデータ( 株) ジェネラルマネージャ堀内健后氏が会見を行い、同社の2014年度の事業戦略について説明を行いました。
芳川裕誠氏
堀内健后氏
gihyo.jpの読者の皆さんにはおなじみですが、同社はいわゆるビッグデータの収集、保存、分析しやすい形での取り出しを一気通貫で提供するサービスを展開しています。同社開発のオープンソースのログ収集システムfluentdは今やログデータの解析には定番となっています。
同社は2012年末に日本法人を立ち上げ、2013年5月から事業展開を開始しました。そしてこの1年で、グリー(株) 、( 株)良品計画、GMOペパボ( 株) 等、デジタルマーケティングやゲーム業界から大口顧客を獲得し、国内、グローバル共に顧客数は倍増したとのことです。これに伴い扱うデータ量も飛躍的に増加し、レコードベースで6兆件を超えるデータを管理しているといいます。
これからの2本柱:先行事例のベストプラクティス化とIoTへの注力
同社の手がける主なフィールドはWebやモバイルアプリからのアクセス記録などのデータ収集、分析です。この分野ではすでに業界でも高い評価を得ています。これはたとえば、ガートナーの「Cool Vendors in Big Data, 2014」の1社に同社は選ばれていることからも伺えます。
こうした分野については、先行事例を「ベストプラクティス」化し、特定の目的に合ったソリューションとしてパッケージ化することで、同業種の企業などに手軽に使える形で提供していきたいと述べました。こちらはすでにオンラインゲーム業界向けソリューションとして、一部実現したものもあります。
これに加え、昨年の日本法人立ち上げの際にも芳川氏が語った ように、同社がもうひとつの事業の柱として期待しているのが、センサーデバイスなどからのデータを収集、保管、分析するサービスです。IoT(Internet of Things)と呼ばれる、M2Mやテレマティクス、ウェアラブル等の分野での利用が想定されています。
具体的にはどのように実装するのかという質問に、芳川氏はごく簡単にですが、たとえばfluentdはRubyランタイム上で動き、おもにサーバログを収集する機能をもつが、同様の機能を組込みOSベースでマイコン上で動かすようなイメージだと答えました。近年Webサービス系開発のさまざまな知見を組込み分野に反映させる試みがありますが、そうした取り組みに近いアプローチと言えるでしょう。
ビッグデータを使って企業の価値創出の「フリクション」を下げる
さらに同社の目指すものとして芳川CEOは、ビッグデータとクラウドを使った企業ITのコモディティ化を進めることで、企業が本来持っていたデータが創り出す価値を引き出すと述べました。企業が現在利用している技術やサービスでは、持っているすべてのデータから本来創出できる価値を引き出せていません。ここに同社の技術やクラウドのサービスを駆使することで、より簡単に、コストを抑えて本来の価値を引き出す、というのが目指すべき目標というわけです。
「企業が本来手にできるであろう価値の創出に手を貸していきたい」と芳川CEOは話を結びました。
「従来コストセンターと考えられていた企業ITが、クラウドとビッグデータによって企業価値創出機関に変わる」