「エンジニアサポート新年会2012 CROSS」開催報告

Python、Scala、Haskellの開発手法が紹介された「次世代言語CROSS」、人とコミュニケーションすることの大切さを感じた「発表方法CROSS」

1月27日、新宿で開催されたWebエンジニア1,000人によるエンジニアサポート新年会2012 CROSSのレポート後編です。

次世代言語CROSS、発表方法CROSS

前回Tech 10 CROSSについて紹介させていただきましたが、後編の今回は次世代言語CROSS発表方法CROSSのセッションの模様を報告させていただきます。

この2つのセッションも「CROSS」の名前通り、普段は直接関わることがない切り口による興味深い内容になりました。

次世代言語CROSS

次世代言語CROSSは、Python、Scala、Haskellの各言語の勉強会団体を率いる、小田切さん@aodag⁠、水島さん@kmizu⁠、伊東さん@cutsea110が登壇し、⁠Web開発の紹介」について紹介・ディスカッションしていただきました。会場は100人席がほぼ満席となりました。企画時にはJavaエンジニアの参加者が多いかと思っていましたが、実際には少なかったようです。

最初にPython mini Hack-a-thonの小田切さんより、Pyramidフレームワークの紹介がありました。開発環境やライブラリ、Pyramidの特徴などを簡潔にまとめていただきました。次に、HaskellからはHIMA'の伊東さんより、Yesod Webフレームワークの紹介がありました。YesodではHaskellの強力な型チェックを活かし、型安全なDB操作やURLを提供しているそうです。最後にScalaユーザーズグループの水島さんより、Scalaでの開発の紹介がありました。開発環境の話や、既存のJavaからScalaへの移行時の話など、Scalaを導入するにあたり知っておくとよい内容をまとめていただきました。ご興味のある方はぜひ資料を参考にしみてはいかがでしょうか。

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発表方法CROSS

続いて、クラウドやスマートフォン、データマイニングなど注目技術の勉強会コミュニティや、企業の一流エンジニア達が白熱したセッションを繰り広げる中で、異様な盛り上がりを見せたセッション「発表方法CROSS」についてレポートします。

ここでいう発表方法とは、技術系勉強会では定番となった時間制限ありのプレゼンテーション、LT(ライトニングトーク)のTipsを紹介するものですが、一般的なビジネスユースや日常のコミュニケーションでも活かせるような非常に有意義な内容でした。

日本Rubyの会のあんどうやすしさん@technohippy⁠、JAWS-UGクラウド女子会の小室文さん@ayakomuro⁠、ストレージ友の会の阿部崇さん@sho7650と、異なるバックグラウンドを持つ3名に登壇いただき、三者三様の内容で「分かる」⁠伝わる」⁠楽しい」発表方法を独自のLT形式で披露をしていただきました。

結論を押し付けるより変化のきっかけを

最初の発表者、あんどうやすしさんはアジャイルソフトウェア開発宣言を元ネタとした「アジャイルライトニングトーク宣言」と題して、LTに特化した発表テクニックを説明していただきました。⁠結論やテーマよりも導入とつかみ」⁠自己紹介はしてはいけない」⁠スライドは背景」など、独特のテクニックの説明に会場は終始笑い声につつまれていました。内容よりもインパクトでリスナーの興味を引き立てる、という正に内容をそのまま実証するような発表となりました。

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絵で会話をする

本セッションの紅一点として登壇した小室文さんは「文字」ではなく、⁠絵」で伝えることの重要性をプレゼンをされました。発表を聴く前のリスナーの心情と、聴いた後の心情を図で示すアジェンダを作成する例など、無機質になりがちなプレゼン資料をアナログなコミュニケーションツールとして訴求する方法を提案していただきました。

「資料を後でSlideShareなどで参照しても内容が分からなくても良い」というのは、LTのライブ性や、その場の限りのコミュニティの一体感を大切にしているような小室さんならではの考えだと感じました。

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プレゼンテーションは情熱

最後に登壇した阿部崇さんは、⁠プレゼンは情熱」を体現した熱いセッションとなりました。⁠プレゼンはアート⁠⁠、某ドラマネタで「なぜベストを尽くさないのか」などのメッセージをスティーブジョブズ風な黒字に白のアルファベットの資料を背景に過激な語り口で会場は騒然となっていました。⁠誰かに自分の好きなものを伝えたい」というプレゼンの本能的な欲求に迫り、終了後には感銘を受けた聴講者から謎のアンコールが巻き起こりました。⁠サプライズとしてスライドをすべて英語にした」と述べていましたが、資料にいろいろな小ネタを挟んでリスナーの興味をつかんだまま離さないような工夫を感じました。大胆な発表スタイルに隠れてはいますが、躍動感があってシンプルにかつ丁寧に作りこまれたスライドなど、リスナーを思いやる繊細なテクニックも印象深かったです。

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コミュニケーションとしての発表方法

三者独自の「発表方法」でしたが、根底にあるのは「人とコミュニケーションしたい」というシンプルな欲求であったと思います。一般的に、エンジニアというのは視野が狭く、独善的なように思われがちですが、自らの好奇心や他のエンジニアが持つ技術への興味に忠実で自然と「ビアバッシュでLT」文化が発生したのだと感じました。CROSS2012のキャッチコピー「クロスしないと生きていけない」というテーマがある中で「発表方法CROSS」は大変意味のあるセッションだったと思います。

まとめ

前回のTech 10、今回の次世代言語、発表方法以外にも、次世代LAMP、データマイニング、JavaScript、フロントエンドなど12ものCROSSセッションが行われました。

全部見るには実に20時間もの時間を費やすことになるのですが、すべてのセッションはUstreamにアーカイブされています。どのセッションも「生きていくためにCROSSする」ための情報源になると思っていますので、ぜひご覧いただければと思います。

来年の新年会を開催できるように調整を少しずつ始めようと思っていますが、このような振り返りをもとにより良い新年会にしたいと考えております。皆さんのご意見も反映していければと思いますので、@nifty_engineer宛までお寄せいただけれければ幸いです。

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