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Infinity Ventures Summit 2012 Springレポートその2:ソーシャルゲーム業界はグローバル市場で今年末が勝負の時+「人事っているの?」成長企業各社それぞれの体制

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3年で辞めるという人を採用。高いモチベーションは圧倒的な当事者意識から

続いてリクルート執行役員の出来場氏は,3年で辞めますという人を採用していっているというエピソードを披露しました。また優秀な人でも辞めたいですと言った人を引き止めたことは一度もないそうです。

「優秀な人から辞めていって,優秀じゃない人だけが残るというのはないの?」という会場からの質問に対し,⁠リクルートの社内制度の元になっている風土は起業家精神。⁠もし,あなたが経営者だったら』という当事者意識を持たせるために徹底敵に権限を委譲している。高いモチベーションは圧倒的な当事者意識から生まれる」とリクルートの強さが当事者意識を社員に持たせることにあると答えました。

リクルートの中間マネージメント層の強さは権限をマネージャーに与えて, マネージャーに決めてもらうことで当事者意識を持たせるということが秘密のようです。⁠できるだけ上が決めるということを無くす。もし上の人が下にまかせられないなら,その人を代えなきゃいけない。まかせてミスが発生した場合はまかせたもの同士で責任をとる。来月から自分がいなくなった時を意識して,次を育ててくれと自分も言われて育ってきた」と出来場氏は語りました。

「やりたいことあるならリクルートに,ないならやめればいい。理想はひとりひとりが独立して自分の会社をつくるのがいい。30歳以降は残って格好悪いというカルチャーがある」そうで,これが絶えず自己変革を促していくリクルートの風土の源となっているようです。また辞めていった人との繋がりが切れてしまうわけではなく出戻りも多く,⁠かもめという社内報をOBの人にも送っており,社員6,000人にも関わらず2万部を発行している。OBの人のほうが現役の人よりもよく読んでいて愛情があるダメ出しが外部から多い」のだそうです。

リクルートを参考にしたというサイバーエージェント。そのCAとは対照的なチームラボ

そのリクルートの制度を参考にしているというのがサイバーエージェント。 リクルート出身者が創業したインテリジェンス社で働いていたのがサイバーエージェントの社長の藤田氏であり, サイバーエージェントの取締役人事本部長曽山氏によると社内事業公募制度『じぎょつく』はリクルートの『NEW RING』という制度からヒントを得たものであり,⁠ヨミ表⁠⁠,⁠詰める』といった社内用語もリクルートと共通のものだそうです。

採用にあたっては,人事スタッフも同席し,能力だけでなくサイバーエージェントという社風にあうかを見ていると話したところ,チームラボ社長の猪子氏からは「うちの会社には人事いないっすね。ほかの会社の人事は何をしているんですかね」と, するどく突っ込み。

チームラボでは,専門職ごとに専門職の人が採用しており,⁠データベースの人を採用するんだったら,データベースの人がどこにどう募集すればいいか分かるからデータベースの人が応募したほうがいいし,データベースの人が面接したほうがいい」と持論を展開していました。

ヤフーは頑張らない社風。でもこれからは『爆速』

今年役員陣が新たに入れ替わり,新CEOに就任したヤフーの川邊氏からは,⁠ちょっと前のヤフーと今のヤフーが違う」と,新旧2つのヤフーの社風を紹介しました。今までのヤフーは「いかに敵を作らないようにするか。あんまり頑張る社風じゃなく合理的にやって儲かるようにしようよという感じだった」そうです。⁠今まではスピードよりも整合性が取れる人が評価されていた。管理職200人を入れ替え,今後はとにかく速く動くことを重視して『爆速』をキーワードにしている」とキーワードがプリントされたTシャツとともにアピールしていました。

爆速Tシャツを着るヤフーCEO川邊氏

爆速Tシャツを着るヤフーCEO川邊氏

こうした大勢の管理職の入れ替えは社内で反発を生むのでは,と考えてしまいますが「マネージャーは基本的に配役。ヤフーは幸い, 役職給がなかった。降格になっても給与は変わらない」そうで,⁠今までは意識決定できる人が育ってなかったんじゃなかったかなという認識。新しい人達にコーチングとフィードバックの手法を教えて,育てられるマネージャーを増やしていきたい」と川邊氏は述べました。

このマネージャーの育成手法は川邊氏がGyaoの事業を任せられていた3年間,⁠マネージャーに統一した能力を持ってもらおうと思った」ということによる試みとして大きな成果をあげたものであり,この成功例を今ヤフーで大々的に展開しているようです。

お洒落なプールバーは不要。必要なのはシリコンバレーが田舎だから

こうした社内制度の紹介から,チームラボ社内で行われているというお菓子販売のエピソードに話が広がりました。チームラボでは自動販売機の前にお菓子が売られており,猪子社長によると「制度じゃなくて社員が買ったお菓子を置いて売っているだけ。誰がやっているかわからないけど最近社内競合ができて別の場所でお菓子を売る人も現れた」そうです。

猪子氏の軽快なトークは止まらず「カラオケルームやプールバーがあるオフィス。ああいうのはポーズですよね。オフィスは仕事するためにあるのに。オフィスがお洒落でしょ,っていうため。おぞましい。すぐ隣にもっといいバーがあるのに」と持論を紹介すると,ヤフーCEOの川邊氏は「シリコンバレーは周りに何もないから,オフィスの中に遊び場があると便利だからあるだけだよね」とすかさずフォローするという場面も最後に見られました。

著者プロフィール

美谷広海(みたにひろうみ)

1975年フランス生まれ。引越し歴14回。ゲーム,モバイル,Webとデジタルコンテンツの企画,プロデュースを行い,Webサービスの海外進出、海外から日本への事業展開に従事中。ブログは『Fool on the Web』。海外に日本のIT情報を紹介するasiajin.comにも参加しています。

メールは hiroumitani@gmail.com