レポート

Clovaが切り拓く未来:コミュニケーションプラットフォームからライフスタイルプラットフォームへ――LINE DEVELOPER DAY 2017開催

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日常生活で活躍できるバーチャルアシスタント

橋本氏は,最後にClovaの未来について取り上げた。今,Clovaで最も重視されているのが「GROWTH(成長⁠⁠」というキーワードとのこと。つまり,この夏のリリースはゴールではなく,あくまで始まりであり,これから先,さらに開発を進め,成長し続けていきたいという意思の表明である。

すでにWAVEに続く第2弾として,⁠CHAMP」という,LINEスタンプのキャラクターであるサリーとブラウンをモチーフにしたスマートスピーカの発売が決まっているほか,次のような取り組みを強化するとのこと。

会場内に展示されていたWAVE(中央)と新製品のCHAMP(左:サリー,右:ブラウン)

会場内に展示されていたWAVE(中央)と新製品のCHAMP(左:サリー,右:ブラウン)

  • 音声からの話者認識
  • 発話以外の理解,概念の導入
  • 時間の概念,ユーザの履歴言語街の情報の活用
  • SKILLの種類の拡張

これから実装予定のClovaで実現するSKILL。今まで以上にAIが日常生活をサポートしてくれる日が近づくだろう

これから実装予定のClovaで実現するSKILL。今まで以上にAIが日常生活をサポートしてくれる日が近づくだろう

そして,これからさらにLINE DD参加者を含めたエンジニアの力が重要であり,そのためにLINEとして環境を整備していくと述べた。具体的には2018年にClova development environment(Clova開発環境)をオープンし,より多くのエンジニアがClovaに向けた開発が行えるようにしていくそうだ。

さらに,この日参加したエンジニアの中から抽選で50名にWAVEをプレゼントするなど,積極的な取り組みを行っていくことを誓い,セッションを締めくくった。

今まで以上にエンジニアが活躍できる企業を目指して~Open to Public

午前のセッションのあと,HALL A~Cではさまざまなセッションやプレゼンテーションが行われた。その模様については,LINE Engineer Blogにて資料および動画が公開されているので,興味のあるエンジニアはぜひご覧いただきたい。

「LINE DEVELOPER DAY 2017」へのご参加ありがとうございました!(LINE Engineer Blog)
https://engineering.linecorp.com/ja/blog/detail/196

そして,あっという間にクロージングを迎え,最後に同社上級執行役員サービス開発担当の池邉智洋氏が登壇した。

クロージングセッションを担当したLINE上級執行役員サービス開発担当の池邉智洋氏

クロージングセッションを担当したLINE上級執行役員サービス開発担当の池邉智洋氏

⁠日本で)3回目となるLINE DDは,開発の現場を知ってもらいたかった」そうで,実際,開発の舞台裏,また,HALL Cで行われたカジュアルトークのように,より身近な話題,エンジニア目線で感じ取れる内容を意識したとのこと。これは,前回のLINE DDのアンケート結果で,LINEの失敗談への注目度が高かったことも影響しているとのこと。

⁠おかげさまでたくさんの方に使っていただいているサービスやプロダクトも,開発の現場はキラキラしたものばかりではなく,実際の様子や舞台裏からエンジニアの素の姿,そして,LINEのエンジニアとの接し方についても知ってもらいたかった」と池邉氏は述べた。

さらに,⁠これからもエンジニア同士が交流できる場をたくさん用意していきたい」と,大掛かりなイベントだけではなく,こぢんまりとしたミートアップの開催についても発表した。すでにこの秋には広告技術をテーマにしたミートアップを予定しているとのことで,近日中に詳細が発表される予定である。

こうして,エンジニアが主役のLINE DEVELOPER DAY 2017はあっという間に幕を閉じた。

懇親会は朴氏と池邉氏による鏡割りで幕を開けた

懇親会は朴氏と池邉氏による鏡割りで幕を開けた

AIプラットフォーム戦略に見る,これからのLINE

今回のLINE DDの主役はClovaだったと言えよう。しかし,橋本氏のセッションでも説明があったように,いきなりの新技術ではなく,その背景には,これまでのLINEの技術的財産が大きいと言えよう。

また,戦略的な展開についても,2015年のLINE DDに掲げた「グローバル化とLIFE」2016年のLINE DDで発表したAPIを皮切りに注力され続けている同社技術の「オープン化」があり,その次のステージにClovaを核としたLINEのAIプラットフォーム戦略が続いている,と筆者は感じている。

もともとLINEは人間同士のメッセージングを対象に,そこから生まれるコミュニケーションを豊かにし,日本からセ界に向けて広げている。さらに,人間同士だけではなく,人間とコンピュータとのコミュニケーションにまで対象を広げ,その結果,人間の日常生活をサポートする領域まで対象が広がってきた。LINEは⁠コミュニケーションプラットフォーム⁠から⁠ライフスタイルプラットフォーム⁠へ拡大しはじめたのではないだろうか。

オープニングセッションで朴氏が述べた「次のパラダイムシフトに向けた開発」に向けて,Clovaがどのように成長し,結果として世界がどのように豊かに変化していくのか,これからも注目していきたい。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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