Adobe Design Jimotoとは?
「Adobe Design Jimoto」とは、日本各地における地域に存在する社会的課題を、地場のクリエイター・アーティスト・デザイナーたちによるデザインの力で解決することを目的としたワークショップイベント。
内閣府地方創生推進事務局に「地域活性化伝道師」として認定された、アドビ システムズ株式会社(Adobe)Creative Cloudコミュニティーマネージャー武井史織氏が企画実行するもの。
今回、群馬県前橋市で活動する一般社団法人TEKITO DESIGN Labとのコラボレーションとして、Design Jimoto前橋が開催された。
- Adobe Design Jimoto
- https://blogs.adobe.com/creativestation/tag/design-jimoto
群馬県・前橋の魅力とは?~わらじを題材にしたデザインコンテスト
「群馬県・前橋の魅力とは?」をテーマに、主催のTEKITO DESIGN Labと強い関わりのある適十塾が現在取り組んでいる「わらじプロジェクト」をかけ合わせ、「前橋の魅力をわらじを使って伝える」と題したデザインワークショップが開催された。
このワークショップには事前申し込みによる全9チームが参加し、イベント開催時間の13:00~16:00の3時間の間に、布わらじのデザイン創りに取り組んだ。各チームのプレゼンテーションには、2018年5月16日に無償で利用できるスタータープランが発表されたばかりの「Adobe XD」を用いて行うというルールになっている。
表彰については、聴講者による投票で決まるグランプリ(オーディエンス賞)、TEKITO DESIGN Labが選ぶ適十塾賞、Adobeが選ぶアドビ賞の3つの賞が用意され、各チームメンバーが持つ想像力、創造性とデザインに、ツールが持つデザイン機能を組み合わせ、聴講者に向けてどのぐらいまでアピールできるかが採点のポイントとなった(表彰については後述)。
多彩なスピーカー4名によるトークセッション
9チームがデザインを創り上げているあいだ、前橋にゆかりのある4組によるトークセッションが行われた。前橋出身で前橋で活躍する方、前橋だけではなく東京や他の地域でも活躍する方、自身の仕事の一環で前橋に関わるようになり、前橋に貢献する方など、多彩な顔ぶれによるトークは、聴講者を強く惹きつけた。
全9チーム、投票による最優秀賞を獲得したのはチーム「中学一年生」
非常に多彩な、そして、濃密な内容のトークセッションが終わり、いよいよ各チームの発表、そして投票・審査の時間となった。
今日初めてチームを組んだメンバーも入れば、プレゼン慣れしているチームもあり、9チームがそれぞれの特徴を出した発表が進んだ。3分間という短い時間の中、また、Adobe XDをプレゼンテーションに利用するというルールにおいて、それぞれが思う「前橋の良さ」をアピールするプレゼンタイムとなった。
投票による最優秀賞はチーム「中学一年生」
会場による投票で選ばれる、最優秀賞となるオーディエンス賞を獲得したのはチーム「中学一年生」の榊原慎也氏、斉藤翔氏の両名でした。中学一年生は、自分の足にあった布わらじをつくれるデザインアプリ「つくりかたのデザイン」を提案し、そのコンセプトが会場から多くの賛同を得た結果となった。
また、TEKITO DESIGN Labが選ぶ適十塾賞は、群馬とバングラデシュのリユース素材を取り入れた布わらじを提案した「いむらたけい(井村晋作氏、武井奈津美氏)」チームが、「太陽の鐘」の音やからっ風、赤レンガなど前橋のエッセンスをデザインに落とし込んだチーム「mit(久保田祐基氏、佐藤悠貴氏)」がアドビ賞を受賞した。
コミュニティとデザインの力
以上、日曜の昼間、前橋駅前にある上毛倉庫で開催された「Adobe Design Jimoto vol.7 with ami tumi in 前橋」の模様をお届けした。当日は30度近い気温の中、暑さに負けない熱気に包まれたイベント会場となった。
このイベントは地元で開催された「JOMO SO COOL」の一環として併設されたもので、まさに地域密着型のワークショップだったと言える。
なお、今回オーディエンス賞と適十塾賞を受賞した2作品については、適十塾と共同で布わらじのデザインをプロデュースし、年内には前橋市内で商品化の予定しているそうだ。1回きりのイベントではなく、継続的な取り組みをする点はまさにDesign Jimotoが目指している社会課題の解決にも通ずるのではないだろうか。
さらに、作成されたデザインは布わらじにとどまらず、誰もが使えるデザインパターンとして“オープンソース化”され、商店街の包装紙や紙袋や服地などさまざまな形で前橋市の魅力を発信し、町中に広まっていく仕組みづくりを目指しているとのこと。こうしたコンセプトこそインターネットの魅力であり、デザインやクリエイティブが持つ可能性をさらに広げることになると筆者は感じている。