Adobe Design Jimoto vol.7 with ami tumi in 前橋、開催~デザインの力で地域と社会を活性化

Adobe Design Jimotoとは?

⁠Adobe Design Jimoto」とは、日本各地における地域に存在する社会的課題を、地場のクリエイター・アーティスト・デザイナーたちによるデザインの力で解決することを目的としたワークショップイベント。

内閣府地方創生推進事務局に「地域活性化伝道師」として認定された、アドビ システムズ株式会社(Adobe)Creative Cloudコミュニティーマネージャー武井史織氏が企画実行するもの。

今回、群馬県前橋市で活動する一般社団法人TEKITO DESIGN Labとのコラボレーションとして、Design Jimoto前橋が開催された。

Adobe Design Jimoto
https://blogs.adobe.com/creativestation/tag/design-jimoto

群馬県・前橋の魅力とは?~わらじを題材にしたデザインコンテスト

⁠群馬県・前橋の魅力とは?」をテーマに、主催のTEKITO DESIGN Labと強い関わりのある適十塾が現在取り組んでいる「わらじプロジェクト」をかけ合わせ、⁠前橋の魅力をわらじを使って伝える」と題したデザインワークショップが開催された。

イベントのMCを務めた一般社団法人Tekito Design Lab代表理事 蛭子彩華氏(左)とAdobeCreative Cloudコミュニティーマネージャー武井史織氏(右)
イベントのMCを務めた一般社団法人Tekito Design Lab代表理事 蛭子彩華氏(左)とAdobeCreative Cloudコミュニティーマネージャー武井史織氏(右)
開幕にあたり、地元クリエイターに激励の言葉を贈る群馬県前橋市山本龍市長(撮影:Mayu Shimura/Lo.cul.p)
開幕にあたり、地元クリエイターに激励の言葉を贈る群馬県前橋市山本龍市長

このワークショップには事前申し込みによる全9チームが参加し、イベント開催時間の13:00~16:00の3時間の間に、布わらじのデザイン創りに取り組んだ。各チームのプレゼンテーションには、2018年5月16日に無償で利用できるスタータープランが発表されたばかりのAdobe XDを用いて行うというルールになっている。

表彰については、聴講者による投票で決まるグランプリ(オーディエンス賞⁠⁠、TEKITO DESIGN Labが選ぶ適十塾賞、Adobeが選ぶアドビ賞の3つの賞が用意され、各チームメンバーが持つ想像力、創造性とデザインに、ツールが持つデザイン機能を組み合わせ、聴講者に向けてどのぐらいまでアピールできるかが採点のポイントとなった(表彰については後述⁠⁠。

トークセッションのあいだに、デザイン制作に取り組む各チームの様子

トークセッションのあいだに、デザイン制作に取り組む各チームの様子 トークセッションのあいだに、デザイン制作に取り組む各チームの様子
会場となった約120年の歴史を持つ「上毛倉庫」
会場となった約120年の歴史を持つ「上毛倉庫」

多彩なスピーカー4名によるトークセッション

9チームがデザインを創り上げているあいだ、前橋にゆかりのある4組によるトークセッションが行われた。前橋出身で前橋で活躍する方、前橋だけではなく東京や他の地域でも活躍する方、自身の仕事の一環で前橋に関わるようになり、前橋に貢献する方など、多彩な顔ぶれによるトークは、聴講者を強く惹きつけた。

次世代人財塾適十塾塾長/専修大学経営学部特任教授の見山謙一郎氏。今回のDesign Jimoto前橋の仕掛け人の一人でもある。自身が取り組んでいるわらじプロジェクトなどを通じ、前橋への貢献について皆ができることについて語った
次世代人財塾適十塾塾長/専修大学経営学部特任教授の見山謙一郎氏。今回のDesign Jimoto前橋の仕掛け人の一人でもある。自身が取り組んでいるわらじプロジェクトなどを通じ、前橋への貢献について皆ができることについて語った
株式会社総和・ディライト代表取締役/Maebashi 45day2016リーダー/太陽の会メンバーの渡邉辰吾氏。⁠デザインからつながりが生まれる」と自身の考え述べたうえで、⁠無理に街おこしをする必要はなく、自分たちが街を楽しむこと。その結果として街が盛り上がるはず」と聴講者に強くアピールしたのが印象的だった
株式会社総和・ディライト代表取締役/Maebashi 45day2016リーダー/太陽の会メンバーの渡邉辰吾氏。「デザインからつながりが生まれる」と自身の考え述べたうえで、「無理に街おこしをする必要はなく、自分たちが街を楽しむこと。その結果として街が盛り上がるはず」と聴講者に強くアピールしたのが印象的だった
大手企業のWebCMや映画出演など、幅広いフィールドで活躍する女優の手島実優氏。⁠地元の前橋が好き」という想いとともに、自身が今、東京で活動している実績を前橋に持ち込むことで「東京と前橋をつなげて仕事をつくっていきたい」と前橋への郷土愛をアピールした
大手企業のWebCMや映画出演など、幅広いフィールドで活躍する女優の手島実優氏。「地元の前橋が好き」という想いとともに、自身が今、東京で活動している実績を前橋に持ち込むことで「東京と前橋をつなげて仕事をつくっていきたい」と前橋への郷土愛をアピールした
WOWコンセプター/クリエイティブディレクター田崎佑樹氏。WOWの肩書に加えて前橋まちなかエージェンシー理事の肩書を持つ。⁠ビジョンとは事実+想像力。そのビジョンを100%信じることが大切」とビジョンの重要性を訴え、どのように文化を取り入れていくかがこれからの前橋に求められること、と自身が感じている課題を掲げ、クリエイティビティによる解決を目指していきたいとのこと
WOWコンセプター/クリエイティブディレクター田崎佑樹氏。WOWの肩書に加えて前橋まちなかエージェンシー理事の肩書を持つ。「ビジョンとは事実+想像力。そのビジョンを100%信じることが大切」とビジョンの重要性を訴え、どのように文化を取り入れていくかがこれからの前橋に求められること、と自身が感じている課題を掲げ、クリエイティビティによる解決を目指していきたいとのこと

全9チーム、投票による最優秀賞を獲得したのはチーム「中学一年生」

非常に多彩な、そして、濃密な内容のトークセッションが終わり、いよいよ各チームの発表、そして投票・審査の時間となった。

発表を行った全9チーム
発表を行った全9チーム

今日初めてチームを組んだメンバーも入れば、プレゼン慣れしているチームもあり、9チームがそれぞれの特徴を出した発表が進んだ。3分間という短い時間の中、また、Adobe XDをプレゼンテーションに利用するというルールにおいて、それぞれが思う「前橋の良さ」をアピールするプレゼンタイムとなった。

会場で販売されていた布わらじを用いたプレゼン、Adobe XDを活かしたプレゼン、トークで惹き込むプレゼンなど、各チームのカラーが出た発表時間となった

会場で販売されていた布わらじを用いたプレゼン、Adobe XDを活かしたプレゼン、トークで惹き込むプレゼンなど、各チームのカラーが出た発表時間となった 会場で販売されていた布わらじを用いたプレゼン、Adobe XDを活かしたプレゼン、トークで惹き込むプレゼンなど、各チームのカラーが出た発表時間となった

投票による最優秀賞はチーム「中学一年生」

会場による投票で選ばれる、最優秀賞となるオーディエンス賞を獲得したのはチーム「中学一年生」の榊原慎也氏、斉藤翔氏の両名でした。中学一年生は、自分の足にあった布わらじをつくれるデザインアプリ「つくりかたのデザイン」を提案し、そのコンセプトが会場から多くの賛同を得た結果となった。

チーム「中学一年生」の2人。クリスタルトロフィーへのキスとともに優勝の喜びを表現した(撮影:Mayu Shimura/Lo.cul.p)
チーム「中学一年生」の2人。クリスタルトロフィーへのキスとともに優勝の喜びを表現した

また、TEKITO DESIGN Labが選ぶ適十塾賞は、群馬とバングラデシュのリユース素材を取り入れた布わらじを提案した「いむらたけい(井村晋作氏、武井奈津美氏⁠⁠」チームが、⁠太陽の鐘」の音やからっ風、赤レンガなど前橋のエッセンスをデザインに落とし込んだチーム「mit(久保田祐基氏、佐藤悠貴氏⁠⁠」がアドビ賞を受賞した。

適十塾賞を獲得したチーム「いむらたけい」⁠中央)と適十塾に所属する学生ら(撮影:Mayu Shimura/Lo.cul.p)
適十塾賞を獲得したチーム「いむらたけい」(中央)と適十塾に所属する学生ら
アドビ賞を受賞したチーム「mit」とアドビのCreative Cloud エバンジェリスト(左)⁠撮影:Mayu Shimura/Lo.cul.p)
アドビ賞を受賞したチーム「mit」とアドビのCreative Cloud エバンジェリスト(左)

コミュニティとデザインの力

以上、日曜の昼間、前橋駅前にある上毛倉庫で開催された「Adobe Design Jimoto vol.7 with ami tumi in 前橋」の模様をお届けした。当日は30度近い気温の中、暑さに負けない熱気に包まれたイベント会場となった。

このイベントは地元で開催された「JOMO SO COOL」の一環として併設されたもので、まさに地域密着型のワークショップだったと言える。

会場内には家族連れで楽しめるスペースやわらじづくりを体験できるブースなど、前橋市民とともに前橋の彩りが体感できる空間となっていた

会場内には家族連れで楽しめるスペースやわらじづくりを体験できるブースなど、前橋市民とともに前橋の彩りが体感できる空間となっていた 会場内には家族連れで楽しめるスペースやわらじづくりを体験できるブースなど、前橋市民とともに前橋の彩りが体感できる空間となっていた

なお、今回オーディエンス賞と適十塾賞を受賞した2作品については、適十塾と共同で布わらじのデザインをプロデュースし、年内には前橋市内で商品化の予定しているそうだ。1回きりのイベントではなく、継続的な取り組みをする点はまさにDesign Jimotoが目指している社会課題の解決にも通ずるのではないだろうか。

さらに、作成されたデザインは布わらじにとどまらず、誰もが使えるデザインパターンとして⁠オープンソース化⁠され、商店街の包装紙や紙袋や服地などさまざまな形で前橋市の魅力を発信し、町中に広まっていく仕組みづくりを目指しているとのこと。こうしたコンセプトこそインターネットの魅力であり、デザインやクリエイティブが持つ可能性をさらに広げることになると筆者は感じている。

参加者による集合記念写真撮影で幕を閉じた
参加者による集合記念写真撮影で幕を閉じた

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