レポート

テックカンパニーとして世界を目指し,テクノロジーで世界をEvolutionさせる――Mercari Tech Conf 2018開催

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2018年10月4日,株式会社メルカリが主催するテクノロジーカンファレンス「Mercari Tech Conf 2018」が開催されました。

Mercari Tech Conf 2018
https://techconf.mercari.com/2018

昨年に引き続き2回目となる今回は「Evolution」をテーマに,進化し続けるメルカリと,メルカリのさまざまなプロダクト・サービスを実現するテクノロジーに関するセッションが多数用意され,500名を超える参加者を集めました。

ここでは,オープニングからキーノートの模様をお届けします。

世界を“Evolution”させるテックカンパニーへ

まずオープニングに登場したのは,株式会社メルカリ取締役CPOの濱田優貴氏。

株式会社メルカリ取締役CPO濱田優貴氏

株式会社メルカリ取締役CPO濱田優貴氏

濱田氏は前回のMercari Tech Conf(MTC)から今回の開催までに起きた変化を紹介しながら,メルカリの成長を説明しました。

MTCそのものもセッション数は6→22,スピーカ数6→20,ブース数6→11と,規模が大きく変わり,参加者も増えました。これは,テクノロジーの観点から見たメルカリの成長とも言えるでしょう。

この点について,濱田氏は「前回のテーマ⁠NEXT⁠に続く答えとして,今回は⁠Evolution(進化)⁠を選んだ」とコメントしています。

このあと濱田氏は,自身の好きな作家アーサー・チャールズ・クラーク氏の言葉「十分に(高度に)発達した科学は魔術と見分けがつかない」を引用し,今のこの状況について具体的に説明を続けました。

メルカリは,この1年のテクノロジーの進化で

  • 商品画像認識
  • 規約違反商品の検出
  • 商品の重量推定(イベント時点でUS限定)
    • を実現したとのこと。まさにテクノロジー(科学)が魔術になっているというわけです。

      また,ただテクノロジーが進化しただけではなく,これらを実現することは,ユーザにとってより使いやすいサービスになっていることでもあり,テクノロジーの進化がメルカリというサービスの価値をさらに高めているとしました。

      “もっと出品しやすく⁠⁠もっと売れやすく⁠⁠もっと見つけやすく⁠するために,さらにテクノロジーをEvolution(進化)させるために,メルカリはテックカンパニーを目指していくことを,改めて強調しました。

      とくに印象的だったのが,濱田氏がテックカンパニーであることの条件として⁠テクノロジーで世の中を変える⁠ということに加えて,⁠開発者たちにも使われるテクノロジーを生み出す⁠ことを取り上げていた点です。

      そのために,これからは⁠人材への投資⁠⁠スケールする開発組織⁠⁠研究開発⁠に一層取り組み,⁠テックカンパニーとして世界を目指し,テクノロジーで世界をEvolutionさせます」とコメントし,最初のパートを締め括りました。

      チームから組織へ,スケールするための組織戦略

      濱田氏のオープニングトークに続き,今回もまたリレー形式によるキーノートがスタートしました。今回のキーノートは,株式会社メルカリ,Mercari US,株式会社メルペイ各社のCTOが登壇する,豪華な顔ぶれとなりました。

      トップバッターは株式会社メルカリ執行役員CTO名村卓氏。昨年に続き,唯一の2年連続のキーノート登壇となりました。

      株式会社メルカリCTO名村卓氏

      株式会社メルカリ執行役員CTO名村卓氏

      名村氏のトークの中心テーマは⁠エンジニア組織の変化”。この1年で,メルカリに在籍するエンジニアは約3倍の350名までに増え(昨年は約120名)⁠この変化を「チームから組織になった」と名村氏は表現しました。

      名村氏は,規模が大きくなることでさまざまなメリットが増える一方で,

      • スピードの低下
      • 裁量の減少
      • 思想の衝突

      といった課題が顕在化する危険性があることを指摘。この課題を克服するために,メルカリの組織が目指しているのが,⁠開発思想のダイバーシティ⁠です。具体的には,

      • 多様な能力の活用(属人性にのみ頼らない)
      • 想像力のある技術力を身に付ける
      • 優秀な人材が育つ環境の組織づくり

      の実現だと言います。

      そして,それらの具体的な2つの戦略として,⁠スケールするための組織戦略⁠⁠スケールするための技術戦略⁠を採用しているとのこと。

      スケールするための組織戦略として,これまではプロダクトごとにチームを作り,プロダクトマネージャを中心とした構成だったものを,EM(Engineering Manager)というポジションを新たに準備し,技術を見るTech LeadやPMとは別の,採用,育成,配属,組織開発を主業務に行えるようにしたそうです。

      また,スケールするための技術戦略として,これまでも取り組んできた,プロダクト全体の⁠マイクロサービス化⁠を一層,強めると言いました。マイクロサービス化のメリットは,技術的に細分化することで開発スピードやメンテナンス性が向上するだけではなく,決断の範囲が小さくなることで,さまざまな場所で決断するシーンが増え,結果として,各プロダクトのオーナーシップの分散,エンジニアの決裁領域の増加につながるとしました。

      そして,こうした取り組みにより「外的要因をふくめたさまざまな変化に対して⁠耐性⁠を持つシステムが実現できる」⁠名村氏)と,メルカリが今,採用する組織戦略・技術戦略の狙いと目的を説明しました。

      最後に「テックカンパニーは進化する組織でなくてはなりません」と,組織の観点からMTC2018のテーマである⁠Evolution⁠につなげ,次のスピーカへバトンを渡しました。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

Twitte ID:tomihisa(http://twitter.com/tomihisa/

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