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第457回 Celeron J3455で省エネPC生活

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今回は本連載第326回第385回のアップデートです。SoCの特性上直接の比較対象は前者のCeleron J1900です。

昨今の省エネ自作PC事情

第385回で取り上げたCeleron N3150は開発コード名をBraswellといいます。Braswellにも世代があり,新しいほうはBraswell Refreshと呼ばれています。N3150はBraswellで,N3160がBraswell Refreshというわけです。今回取り上げるCeleron J3455の開発コード名はApollo lakeです。ついでに第326回でとりあげたJ1900の開発コード名はBay Trailでした。

BraswellとBraswell Refreshの製品の在庫が残っているからか,あるいは純粋に売れないからか,その他の理由からか,Apollo Lakeの製品をあまり見かけません。今回取り上げるASRockは例外的にラインナップが多いのですが,ASUSはわずか1製品ほか大手マザーボードメーカーのGIGABYTEやMSIはラインナップがありません。ベアボーンはECSのLIVA ZとShuttleのDX30くらいのものです。インテルのNUC6CAYHはまだ日本では発売されていませんが,期待したいところです。もちろんPCとしてはもっといろいろなところから販売されていますが。

このように影が薄いApollo Lakeを今回取り上げたのは,意外と「遊べる」やつだからです。では,具体的に見ていきましょう。

PCの構成

今回使用したPCの構成は次のとおりです。

マザーボード ASRock J3455-ITX
メモリー ELPIDA EBJ40UG8BBU0-GN-F(4Gバイト)
SSD Crucial CT120BX100SSD1
ケース In Win IW-BP671/300B

ようするにマザーボード以外は第326回と第385回で使用したパーツの流用ですが,SSDだけは約1年前に購入したものです。理由はよく覚えていませんが,安かったからでしょうか。ちなみにJ1900はサブ検証機として使用しており,実際に『Software Design 2017年2月号』に掲載された「Ubuntu Monthy Report:第82回 Ubuntu 16.04 LTSで使用できるUSB無線LANアダプタ7選」の検証を行いました。とはいえこれで退役となります。

J3455のTDPは10Wで,これはJ1900と同じです。なので今回は両者を比較することにしました。

J3455-ITXはWi-Fiモジュール用のM.2ソケットがありますが,今回は使用していません。どうしてもIntelのWi-Fiモジュールにしたい場合を除いては,USB接続の無線LANアダプターほうが安価で扱いが楽だと思います※1)⁠機種選定と動かし方は前出の記事をご覧ください。

※1
Wi-Fiモジュールの他にアンテナも必要であり,そこそこの出費になるからです。なおバックパネルにはアンテナ用と思われる穴はあります。

またN3150-ITXにあったUSB 3.0の外部チップはなくなっていますが,SATAの外部チップは引き続き実装されています。

使用するUbuntu

使用したUbuntuは16.04 LTSです。正確にはUbuntu GNOME 16.04 LTSです。新規にインストールしたわけではなく,以前SSDにインストールしたものをそのまま使用しています。

デフォルトの設定ではUEFIからしかブートできないため,レガシーブートする場合はUEFIの設定を変更する必要があります。UEFIメニューを起動し,⁠Boot][CSM][Enabled]にし図1)⁠保存した上で再起動するとブートできるようになります。

図1 必要な場合,UEFIの設定を変更してレガシーブートを有効にする

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[すべての設定][詳細]を開くと図2のようになります。いずれも正しく認識されています。

図2 インストール完了後,この[詳細]を確認するのはわりとオススメである

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動画再生支援機能

Apollo Lakeのウリの一つは,動画再生支援機能の充実です。i965-va-driverとvainfoとlibvdpau-va-gl1とvlcの4つパッケージをインストールして,vainfoコマンドを実行してみましょう。

vainfo: VA-API version: 0.39 (libva 1.7.0)
vainfo: Driver version: Intel i965 driver for Intel(R) Broxton - 1.7.0
vainfo: Supported profile and entrypoints
      VAProfileMPEG2Simple            : VAEntrypointVLD
      VAProfileMPEG2Main              : VAEntrypointVLD
      VAProfileH264ConstrainedBaseline: VAEntrypointVLD
      VAProfileH264ConstrainedBaseline: VAEntrypointEncSlice
      VAProfileH264Main               : VAEntrypointVLD
      VAProfileH264Main               : VAEntrypointEncSlice
      VAProfileH264High               : VAEntrypointVLD
      VAProfileH264High               : VAEntrypointEncSlice
      VAProfileH264MultiviewHigh      : VAEntrypointVLD
      VAProfileH264MultiviewHigh      : VAEntrypointEncSlice
      VAProfileH264StereoHigh         : VAEntrypointVLD
      VAProfileH264StereoHigh         : VAEntrypointEncSlice
      VAProfileVC1Simple              : VAEntrypointVLD
      VAProfileVC1Main                : VAEntrypointVLD
      VAProfileVC1Advanced            : VAEntrypointVLD
      VAProfileNone                   : VAEntrypointVideoProc
      VAProfileJPEGBaseline           : VAEntrypointVLD
      VAProfileJPEGBaseline           : VAEntrypointEncPicture
      VAProfileVP8Version0_3          : VAEntrypointVLD
      VAProfileVP8Version0_3          : VAEntrypointEncSlice
      VAProfileHEVCMain               : VAEntrypointVLD
      VAProfileHEVCMain               : VAEntrypointEncSlice
      VAProfileHEVCMain10             : VAEntrypointVLD
      VAProfileVP9Profile0            : VAEntrypointVLD

なんとHEVC(H.265)とVP9に対応しています。ただし,検証してみたところ実際に動画再生支援機能が役に立つ場面というのはほとんどありませんでした。もちろん再生する動画にもよるのでしょうが,フルHD(2k)くらいであればH.264でもH.265でも動画再生支援機能がなくてもコマ落ちなく再生できました。それどこかSintelの4kバージョンもコマ落ちなく再生できました。図3図4がその証拠です。これには驚きました。

図3 コーデックを確認すると間違いなく4k動画である

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図4 消失が0フレームなので,全くコマ落ちしなかったことがわかる

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なおVLCはデフォルトでハードウェアアクセラレーション(動画再生支援機能)を使用してデコードしますが,⁠ツール][設定][入力/コーデック][ハードウェアアクセラレーションによるデコード]でカスタマイズできます図5)⁠そのため,動画が再生されない(ないし表示されない)場合はここの設定を変更してみてください。

図5 動画の再生がうまく行かない場合は,⁠ハードウェアアクセラレーションによるデコード]を変更してみる

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著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese Teamメンバーで,主として日本語入力関連を担当する。特定非営利活動法人OpenOffice.org日本ユーザー会。LibreOffice日本語チーム。ほか,原稿執筆も少々。

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