PCポケットカルチャーシリーズファミコンの驚くべき発想力
―限界を突破する技術に学べ―
2010年10月29日紙版発売
2012年8月22日電子版発売
松浦健一郎,司ゆき 著
四六判/200ページ
定価1,518円(本体1,380円+税10%)
ISBN 978-4-7741-4429-0
書籍の概要
この本の概要
ファミコンはコンピュータ・ゲームの原点として一大文化を築いたと言われますが,今なおレトロゲームとして熱心なファンに親しまれています。ファミコンは現在のコンピュータと比較するととても低スペックのマシンに見えますが,どのようにゲームの表現を可能にしていたのでしょうか。また,当時のプログラマーは限られたリソースを最大限に活用したプログラミングでゲームを開発していたとされますが,実際にはどのようなものだったのでしょうか。ファミコンのハードウェア/ソフトウェアに込められた数々の技術と発想に迫ります。
こんな方におすすめ
- ゲームプログラミングの初心者
- ゲームプログラマを目指している人
- ゲーム好きの人
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- おもちゃコンピュータの志向
- 1983年に任天堂株式会社が発売したファミリー・コンピュータ(以下,ファミコン)で遊んでいた世代の方々も,すっかり大人となっていることでしょう。
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目次
- はじめに
序章 RPGのパーティはなぜ4人?
ファミコンの特性がゲーム内容を決める!?
- キャラクタを表示する「スプライト」機能
- パーティの制限を超える工夫
- そして現在へ
第1章 ファミコンのハードウェア
CPU
- 8ビットCPU
- 8ビットを超える値の扱い
- クロック周波数
グラフィックス
- ゲーム用パソコンから現在へ
- スプライト
- BG
- 解像度
- 色数の削減
- パレット
- パターン数
メモリ
- RAMの容量が少ない理由
- RAMの使い方
- スタック
- ビデオRAMとスクロール
- ROMの使い方
サウンド
コントローラ
ROMカートリッジの拡張
- いろいろな機能の拡張
ファミコンの性能
- 当時のパソコンとの比較
- 現在のゲーム機との比較
第2章 ファミコンに見るプログラム技術の基本
ゲームは60分の1秒を周期にして動く
- 画面を更新できる時間はわずか
- VBlankの検出と割り込み
- わずかな垂直帰線期間の活用
- ダブルバッファ
- ファミコンの時代と比べて
ゲームプログラムの処理
6502アセンブリプログラミング
- レジスタ
- 絞り込まれたアキュムレータ(Aレジスタ)の命令
- わずか8ビット幅のインデックスレジスタ(X,Y)
- スタックポインタ(S)も8ビット
- 数少ない16ビット幅のプログラムカウンタ(PC)
メモリアクセス
- 高速なゼロページ
第3章 数字を自在に操る計算のテクニック
乗算と除算
- できるだけ使わない
- シフト演算を使う
- シフト演算と加算を組み合わせる
- テーブルを使う
- まじめに乗算する
- まじめに除算する
- 結局,乗算と除算はどうすべきか
実数を使いたいとき
- 弾を飛ばす角度を限定する
- DDAを使う
- 固定小数点数を使う
第4章 限界ギリギリに挑むワザと発想
データを小さくするための工夫
- 乱数を使ったステージ生成
- 迷路生成のアルゴリズム
- ファミコン版のステージが違うわけ
- もしもステージをデータで持つとしたら
パターンの節約
- スーパーマリオに見るパターン数の節約
- ドラクエに見るパターン数の節約
- スーパーマリオに見るパレット数の節約
60分の1秒未満の表現に挑む
- サイクル数を制御する
- サイクル数を削減するには
- ラスタースクロールの難しさ
セーブデータの保存
- バッテリーバックアップ
- 復活の呪文
- 保存されない情報
- 現在のセーブデータ事情
- 現在の復活の呪文事情
第5章 ファミコンから現在へ
現代プログラミングの功罪
- オブジェクト指向プログラミングの功罪
- ガベージコレクションの功罪
ゲームの既成概念を打ち砕く
- 軽量安価なファミコン
- 現在の複雑なプログラミング事情
- ミドルウェアという諸刃の剣
- ファミコンを超えて
- おわりに
- 参考文献
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