Software Design plusシリーズMapion日本一の地図システムの作り方

[表紙]Mapion・日本一の地図システムの作り方

B5変形判/256ページ

定価(本体2,580円+税)

ISBN 978-4-7741-5325-4

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書籍の概要

この本の概要

日本オリジナルの地図サービスを開発し,月間6000万PV超える莫大なアクセスを捌くWebサービスを運営するマピオン。本書は同社の技術を余すことなく公開する。「大量アクセスを実現するWebシステムノウハウ」を軸にオープンソースの地図システム構築や,検索システムの構築などを紹介する。前人未踏のシステムゆえ,手探りで開発を進めざるを得ず,悪戦苦闘・試行錯誤するも,その記録もリアルに記述。これらは,システムが抱える問題に対してブレークスルーするためのヒントになるであろう。3.11の震災対応の地図サービス開発の裏話も公開!

こんな方におすすめ

  • Javaエンジニア
  • Webサービス開発者
  • Web運用管理者
  • 検索システム開発者

著者の一言

本書の読み方

本書は,マピオンにおける地図システムの作り方を通し,Webサービスの開発や,障害発生時のトラブル解決,ユーザーへのサービス提供の実現方法,そしてシステムの運用管理まで,総合的に解説を行うものです。
インターネットを利用したWebサービスがたくさんありますが,マピオンの地図サービスの裏側を理解いただくことで知識・技術の交流が生まれればこれに越したことはありません。当たり前のように地図サービスは使われていますが,その舞台裏は試行錯誤の連続で,手探りで創り上げたノウハウの結晶なのです。
日本独自に成長してきた当社の地図システムをベースに新しいサービスが生まれ,ビジネスが展開していけば深甚です。

本書が対象としている読者

Webシステムを構成している技術は日々進化していますが,本書を読むにあたり,次の前提知識があるのが望ましいでしょう。ただし,すべてが必須というわけではないので気軽に読んでください。

  • Java言語の基礎知識,JavaEEを利用したシステム開発など
  • インターネットを利用したWebサービスに関わる基礎技術
  • MapServerに代表されるオープンソース地図システムについての基礎原理
  • コンピュータネットワークシステムにおける運用管理
  • クラウドコンピューティングなどの仮想化技術

各章の概要

第1章 地図システムが生むさまざまなチャンスとは何か(担当:谷内)

紙の地図から始まり電子化を経て,さらにはインターネットを介することで,生活インフラとして地図システムは利用されています。本章では,地図システム普及の歴史を振り返り,ビジネスにおける役割を解説します。古くは,カーナビの普及と浸透,そしてケータイ電話での地図利用の一般化,さらにWeb地図の高機能化,現在ではスマートフォンを利用した新しいサービスの展開など,将来どのような使われ方がされていくのか,マピオンの地図システムの見地から説明します。

第2章 地図検索システムの仕組み(担当:谷内,松浦)

マピオンの地図システムの仕組みを解説します。地図をどのように電子化するのか,そのノウハウを紹介します。地図の電子化には,見映えの良さの追求が根底にあります。それが地図システム開発者のこだわりです。見やすさを最優先に設計・デザインしたマピオンの地図は2009年にグッドデザイン賞を獲りました。FOSS4Gを通してさまざまなデータから地図画像生成を行う仕組みを理解できるようになります。

第3章 地図配信の仕組み(担当:本城)

マピオンの地図配信システム全体の解説を本章では行います。各種独自APIである,Map API,Tile APIの説明からフリースクロール地図の仕組みを紹介します。地図配信を高速に行う上での工夫を知ることができます。

第4章 超高速検索の仕組み(担当:山岸,中村)

Webシステムは,少しずつ進化を重ねて発展するものが少なくありません。マピオンの地図システムは,インターネットの普及期からどんどん機能が進化してきました。
マピオンが2009年に行ったリニューアルの最大の目的は,検索の高速化でした。本章ではそのリニューアルの舞台裏をソフトウェア開発の面から紹介します。また,新機能で加えられたオープンソース検索エンジンであるApache Solrの活用が1つの柱となっています。リニューアルオープンから運用を開始し,突き当たった最初の壁『月曜10時問題』の解決はマピオンの開発チームを大きく成長させました。Webサービス担当者はぜひ読んでください。

第5章 マピオンを支えるインフラ・ミドルウェア・運用(担当:長谷川)

Webシステムは絶えず進化することが求められます。それは地図システムでも例外ではありません。むしろ積極的にインフラやミドルウェアの改善に取り組み,運用においてもユーザーが安心して利用できるというミッションがあります。
本章では,システムの仮想化やクラウド化のためにシステムをどう進化させてきたのか公開します。顧客の期待に応えるサービス提供のため,運用におけるテストについても体験に裏付けされたノウハウがあります。システムの運用管理者の皆さんにお勧めのアイディアを詰め込みました。

第6章 スマートフォン用地図ライブラリの紹介(担当:本城)

スマートフォンは圧倒的な勢いでフィーチャーフォン市場を駆逐し,どんどん広がっています。マピオンとしてはこれまでの社内の資源を利用しつつAndroid型スマートフォン,iOS用iPhone用の地図ライブラリを提供しました。本章では,マピオンが提供する地図ライブラリの使い方をたくさんのサンプルをもとに平易に解説しました。

第7章 マピオンの震災対応(担当:谷内)

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は,日本国民に大きな不安とストレスを与えました。マピオンでは,震災関連の復興支援サービスを震災後すぐに開始しました。福島第一,第二原発からの避難範囲地図の提供や,東京電力の計画停電エリアマップ,被災地のトラック通行実績マップなど新しくシステムを構築し,情報提供を行いました。
2012年4月では,桜ラインプロジェクトを応援する地図を公開しました。これは津波到達点を示す桜の植樹場所を地図上にマッピングしたものです。これらのサービスは,マピオンの地図システムを応用することで迅速に展開できたものです。地図サービスによる社会貢献を実現できた,その舞台裏の仕組みを公開します。

各章コラム(担当:佐藤)

本書のサンプル

本書の一部ページを,PDFで確認することができます。

本書の紙面イメージは次のとおりです。画像をクリックすることで拡大して確認することができます。

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目次

第1章 地図検索システムが生むさまざまなチャンスとは何か

  • 1.1 地図システムの始まり
  • 1.2 マピオンのプロフィール

第2章

  • 2.1 地図作成のこだわり
  • 2.2 地図画像生成システム
  • 2.3 PostGISとMapServer
  • 2.4 データマッシュアップ
  • 2.5 基盤地図情報から等高線を作る!

第3章 地図配信の仕組み

  • 3.1 地図配信システムの概要
  • 3.2 地図画像作成
  • 3.3 緯度経度とピクセル
  • 3.4 シンプル地図の仕組み
  • 3.5 フリースクロール地図の仕組み
  • 3.6 地図配信の工夫

第4章 超高速検索の仕組み

  • 4.1 リニューアルから得られた技術
  • 4.2 マピオンにおける検索とその課題
  • 4.3 検索エンジンSolrの導入
  • 4.4 安定化までの道のり

第5章 マピオンを支えるインフラ・ミドルウェア・運用

  • 5.1 仮想化
  • 5.2 新地図プラットフォームOverview
  • 5.3 マピオンのプロキシ
  • 5.4 システム運用目線のアプリケーションサーバ選定
  • 5.5 マピオンを支える運用

第6章 スマートフォン用地図ライブラリの紹介

  • 6.1 はじめに
  • 6.2 地図ライブラリ
  • 6.3 地図ライブラリのチュートリアル
  • 6.4 まとめ

第7章 マピオンの震災対応

  • 7.1 震災関連Webサービス
  • 7.2 福島第一,第二原発からの避難範囲地図
  • 7.3 東京電力サービスエリアの計画停電エリアマップ
  • 7.4 被災地のトラック通行実績情報
  • 7.5 被災地の航空写真を公開
  • 7.6 桜ライン311プロジェクト

著者プロフィール

山岸靖典(やまぎしやすのり)

1978年生まれ。2003年凸版印刷に入社。入社直後マピオンへ出向になり,ここまでマピオン一筋。技術部門が総勢10名のころからのメンバーで,インフラ運用からアプリケーション開発まで幅広い業務を経た後技術部門の部長としてエンジニアの組織力強化を行った。現在は技術畑を離れコンシューマ向けマピオンの企画・運営側のチームでマネージャーを担当している。家庭では1児の父。趣味はロックンロールを嗜むこと。


谷内栄樹(やちひでき)

1976年生まれ。2004年株式会社サイバーマップ・ジャパン(現マピオン)入社。2008年より地図基盤開発のプロジェクトに参加する。現在はマピオン事業部メディア開発グループマネージャーとして,コンシューマ向けWebサービスと地図・検索基盤の開発に携わる。地理情報系オープンソースソフトウェアの普及を目的としたコミュニティ「OSGeo財団日本支部」の運営委員も務めている。コンピュータとの出会いは,小学生のときNEC PC-8801mk2にふれたことが始まり。「マイコンBASICマガジン」や「LOGIN」などの雑誌を読みながら,BASIC言語でゲームなどを作って遊んでいました。現在の趣味は音楽と自転車と料理をすること。


本城博昭(ほんじょうひろあき)

神奈川県中郡大磯町出身。ソフトウェアエンジニア。趣味はランニング,自転車。特技は球技全般。
twitterID:@honjo2


長谷川行雄(はせがわゆきお)

1977年8月15日生まれ。2006年に株式会社サイバーマップ・ジャパン(現株式会社マピオン)に入社。社会人になってから社内システム,ウェブホスティングプラットフォーム,動画配信プラットフォーム,現職では地図ポータルプラットフォーム,現在は「ケータイ国盗り合戦」のシステムインフラの運用に従事し,システム運用畑を歩んでいる。楽する運用を目指して日々勉強中。埼玉県飯能市在住で週末は自然を満喫しているが,平日は2時間オーバーの通勤をこなす。家では2児の父。


中村和也(なかむらかずや)

1980年10月16生まれ。北海道札幌出身。2005年から派遣としてマピオンの業務に関る。プログラマ採用と聞いていたが,配属先の運用部門で運用業務に興味を持ち2008年マピオンに入社。現在は,Proxy,Web,Apサーバを中心にシステムインフラの運用を担当。日々の晩酌を楽しむため,安定した運用を目指す。


松浦慎平(まつうらしんぺい)

2008年4月にマピオン初めての新卒採用で入社。その後新地図システムのインフラ構築に関わる。2009年1月から開発部門に配属になり,現在まで地図生成/配信のシステム構築および運用に関わる。FOSS4G関係のソフトウェアに学生時代から興味があり,現在はOSGeo財団日本支部の運営委員会にも参加。1児の父で,最近は仕事をほどほどに,いそいそと家路を急ぐ日々。


佐藤亜矢子(さとうあやこ)

1998年より10年以上にわたりMapionに在籍。当初より住所データにかかわり,平成の大合併を最初から最後まで見届け,全国の市区町村の数が半数以下になるのを目の当たりにする。地方の歴史を表す伝統的地名が次々と消滅していくのを惜しみつつ,鹿児島県の「志布志市役所志布志支所」の住所が「志布志市志布志町志布志二丁目1番1号」になるなど,まれに平成のあだ花が新たに咲くことがあるのを楽しみにしている。業務上の座右の銘は「fool-proofはやれるだけやれ」。