レポート

人生を変えたPythonとの出会い ―「PyCon Indonesia 2019」レポート

この記事を読むのに必要な時間:およそ 5 分

キーノート

1つ目のキーノートはInggriani Liem博士によるトークでした。内容はよりよいソフトウェア開発者になるための学び方や現在の状況などのようです。⁠ようです」と書いたのは,スライドは英語だったのですが発表がインドネシア語だったためまったくわかりませんでした。写真の通り小柄な女性ですが,すごいパワフルなトークと,場内がものすごい楽しそうに話を聞いていたのが印象的でした。あとでIskandarが教えてくれたんですが,インドネシアではすごい有名な先生で,Iskandar自身も彼女に教わったそうです。

Inggriani Liem博士

Inggriani Liem博士

2つ目のキーノートはFauzan Erich Emmerling氏による「How Python Changed My Life」です(このトークは英語でした⁠⁠。Fauzan氏は2000年からプログラミングをはじめ2010年にPythonを使い始め,現在はGojekのモバイル部門のリードエンジニアだそうです。

Fauzan Erich Emmerling氏

Fauzan Erich Emmerling氏

Gojekはライドシェア,配送,出前,決済など統合的なサービスを提供するインドネシアのベンチャー企業です。最近,創業者がインドネシアの閣僚となるというニュースでも話題となっている企業です。

まずはPythonに出会う前の暗黒時代(The Dark Ages)から話がはじまります。1999年にインターネットと出会いHTMLコードを書いてGeocitiesでWebサイトを公開していたそうです。次にVB6の本を読んだがあまり理解ができず,2002年に大学に入ってCのプログラミングを学び始めたそうです。当時は今と違い学習のためのリソースも限られていました。

その後はVB6でビジュアルプログラミング,JavaとJSPでWebアプリケーション,PHPを習得していきました。PHPは氏にとって初めてのインタプリター言語で,JSPや.Netに比べてPCが軽く,Webにリファレンスがあり,軽いサーバで動作するなどいろいろ楽しかったそうです。しかし,PHPは自分をインスパイアする部分がなく,IRCコミュニティで質問すると厳しく扱われ,よいコーディング哲学がないと感じたといいます。とはいえ,他の言語より早く開発できるので,PHPのプログラムで卒業し,PHPのWebで仕事をはじめました。

つぎに悟りの時代(The Age of Enlightment)の話になりました。最初にPHPとZENDで作成したサービスをGoogle App Engineに載せ替えることとなり,そこでPythonと出会ったと言います。Pythonを使ってみるとシンプルでわかりやすく,簡単に学習でき,コード量も少なく書けたそうです。また,多くのプログラミングのコンセプトを学び,テストやセキュリティなどを学ぶモチベーションとなったそうです。またIRCのコミュニティはとてもあたたかく,豊富な標準ライブラリ,ネット上のチュートリアル,BDFL(Python作者のGuido van Rossum氏のこと)はとてもクールだと感じたそうです。

Pythonを使用してから参加したハッカソンで賞を取り,スタートアップに名前を知られるようになりました。その後,さまざまなスタートアップで仕事をし現在はGojekにいるそうです。

現在はモバイル部門のためPythonはメインでは使用していませんが,Pythonの哲学は現在も生きているといいます。現在も学習を続けており,iOS,Androidの開発を学んだ後は他の言語やDevOps,スタートアップの立ち上げなどについても学んでいるそうです。

最後にGuido van Rossum氏のKing's Day Speechの一節を引用していました。意味としては「プログラミング言語はプログラマーがアイデアを表現,伝えるための方法であり,その聞き手はコンピューターではなく他のプログラマーです。」といった内容になります。

In reality, programming languages are how programmers express and communicate ideas - and the audience for those ideas is other programmers, not computers.

また自身が2013年からPython Indonesiaに参加している話をして,コミュニティへの参加を呼びかけていました。

Pythonを知ってまさに人生が変わった人という感じで,刺激的な内容でした。キーノートの発表が終わった後は質問タイムがあるのですが,スピーカー2名がソファに座って質問を受けるという変わった趣向でした。キーノートスピーカー同士の対話などもあるので,これはこれで面白いなと思いました。

キーノートスピーカーへの質問タイム

キーノートスピーカーへの質問タイム

ランチ

ランチは1Fにあるダイニングルームでとりました。ポップな大学のカフェテリアという感じです。

ランチ会場

ランチ会場

前日も一緒だったフィリピンのJesefらと一緒に昼食をとりました。Josefはスピーカーではないそうです,PyCon TaiwanでのLTがはじめての外部での発表だったそうです。ランチはシンプルなお弁当で味はおいしかったです。ただ,骨付きチキンをスプーン1本で食べないといけなかったので,なかなか難しかったです。

ランチのお弁当

ランチのお弁当

著者プロフィール

鈴木たかのり(すずきたかのり)

一般社団法人PyCon JP,副代表理事,株式会社ビープラウド所属。

部内のサイトを作るためにZope/Ploneと出会い,その後必要にかられてPythonを使い始める。PyCon JPでは2011年1月のPyCon mini JPからスタッフとして活動し,2014年-2016年のPyCon JP座長。他の主な活動は,Pythonボルダリング部(#kabepy)部長,Python mini Hack-a-thon(#pyhack)主催など。

共著書に『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書(2018 翔泳社刊)』『Pythonプロフェッショナルプログラミング 第3版(2018 秀和システム刊)』『Pythonエンジニア ファーストブック(2017 技術評論社刊)』『いちばんやさしいPythonの教本(2017 インプレス刊)』などがある。

最近の楽しみはPython Boot Campの講師で訪れた土地で,現地のクラフトビールを飲むこと。2019年は世界各国のPyConでの発表に挑戦している。趣味は吹奏楽とボルダリングとレゴとペンシルパズル。

Facebook:takanory.net

Twitter:@takanory

Github:takanory