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第161回 オーディオインターフェイスを使う ― Firewire活用編

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FFADOミキサーの利用

さて,FFADOが公式にサポートしている特定のオーディオインターフェイスでは,FFADOミキサーを利用することができます。

FFADOミキサーは,サウンドデバイスのハードウェアミックス機能を操作するためのソフトウェアです。ハードウェアミックスとは,入力と出力のミックスをハードウェア内で完結する機能のことです。コンピュータと音声データのやりとりをしないため,通信やソフトウェアの処理による遅延(レイテンシ)を考える必要がありません。

FFADOミキサーは,パッケージ「ffado-mixer-qt4」にてインストールすることができます。パッケージをインストールすると,メニューの「サウンドとビデオ」「ffado-mixer」が追加されます。

このパッケージをインストールすると,依存関係で「ffado-dbus-server」もインストールされます。FFADOミキサーを使うためには,この「ffado-dbus-server」が先に動いている必要があります。MaverickやNattyの「ffado-mixer」はこのソフトウェアを自動起動しますが,Lucidのパッケージは自動実行しないため,前もって端末でコマンド「ffado-dbus-server」を実行し,起動しておく必要があります。

$ ffado-dbus-server &;

図8 Echo Audiofire Pre 8のFFADOミキサー画面。アナログ入出力8系統とADAT入出力8系統,光デジタル入出力2系統の合わせて18系統が画面に表示されるため,横に長く画面におさまりきらない

図8 Echo Audiofire Pre 8のFFADOミキサー画面。アナログ入出力8系統とADAT入出力8系統,光デジタル入出力2系統の合わせて18系統が画面に表示されるため,横に長く画面におさまりきらない

デイジーチェーン

JACKサウンドサーバやFFADOミキサーは,デイジーチェーンにも対応しています。デイジーチェーンとは,複数の装置を「数珠つなぎ」して作る接続形態のことです。IEEE1394/Firewireの仕様にはこの接続形態が盛り込まれており,そのため,大抵のIEEE1394/Firewireの装置はポートを2つ備えています。

ここでは,筆者所有のEcho Audiofire Pre 8とMOTU 828 Mk2を接続してみました。まず,前回で紹介したコマンド「ffado-test」で,デバイスの認識状況を確認してみます。なお,旧カーネルモジュールセットを使っています。

$ ffado-test ListDevices;
-----------------------------------------------
FFADO test and diagnostic utility
Part of the FFADO project -- www.ffado.org
Version: 2.0.0
(C) 2008, Daniel Wagner, Pieter Palmers
This program comes with ABSOLUTELY NO WARRANTY.
-----------------------------------------------

=== 1394 PORT 0 ===
  Node id  GUID                  VendorId     ModelId   Vendor - Model
   0       0x0001f2000001480f  0x000001F2  0x00101800    - 
   1       0x0014860a5b6bdb9b  0x00001486  0x00000AF9   Echo Digital Audio - AudioFirePre8
   2       0x001d72ff883f4aff  0x00001D72  0x00000000   Linux - ohci1394  - 
no message buffer overruns

MOTU社の製品のサポートはFFADO開発者がリバースエンジニアリングによって実現しており,その影響か,Vendor名とModel名が不明となっています。

次にFFADOミキサーを起動してみます。画面はMOTU 828 Mk2に対応するミキサー画面ですが,タブでEcho Audiofire Pre 8に対応するミキサーに切り替えられるようになっています。

図9 FFADOミキサーの画面。タブ「MotuMixer」でMOTU 828 Mk2に対応するミキサーに,タブ「Generic FireWorks」でEcho Audiofire Pre 8に対応するミキサーに切り替えることができる

図9 FFADOミキサーの画面。タブ「MotuMixer」でMOTU 828 Mk2に対応するミキサーに,タブ「Generic FireWorks」でEcho Audiofire Pre 8に対応するミキサーに切り替えることができる

次に,JACKサウンドサーバを起動してみます。Connectionウィンドウに両方のサウンドデバイスの入出力ポートが表示されますはずですが,表示ポート数が多くなってしまったので,本連載の第149回で紹介したPatchageというソフトウェアでポートを見てみます。

図10 Patchageの画面

図10 Patchageの画面

MOTU 828 MK2とEcho Audiofire Pre 8により,アナログ入出力18系統とADAT入出力16系統,光デジタル入出力4系統の合計38系統もの入出力ポートを利用することができるようになります。ポートの名称は任意に書き換えることができますので,どのポートがどのハードウェアのどのジャックに対応したものなのかを実際に音声を流して確認し,ポートの名前を変更しておくと使い勝手がよくなります。

JACKシーケンサとALSAシーケンサ

本連載の第150回で,ALSAシーケンサ機能を紹介しました。USB/PCIバス/PIC-Expressバス接続のサウンドデバイスのMIDI機能は,このALSAシーケンサがサポートします。それではFirewire接続のサウンドデバイスの場合はどうかというと,JACKシーケンサ機能がカバーします。先のPatchageの画面では,EMU 0404 USBがALSAシーケンサに設けたMIDI入出力ポートとは別に,デイジーチェーンによって接続された2つのデバイスが,⁠firewire_pcm」にMIDI入出力ポートを設けているのがわかるかと思います。この2種類のシーケンササブシステムの連携に関しても,また機会を改めてお伝えしたいと思います。

最後に,ここまでを概念図にまとめておきます。

図11 Firewireオーディオインターフェイス利用時の各サブシステムの連関

図11 Firewireオーディオインターフェイス利用時の各サブシステムの連関

昨今話題のUSB Audio Class 2.0注3やUSB 3.0など,オーディオインターフェイスは今後USB接続のものが主流となっていくかと思いますが,Firewire接続のものもまだまだ現場では大活躍しています。最新のデバイスはALSAやFFADOが対応していないかもしれませんので,導入の際はALSAやFFADOのウェブサイトで検索したり,Ubuntuフォーラムですでに試しているユーザがいないかどうか尋ねるなどして,事前に情報を集めるのがよいでしょう。

注3
ALSAサウンドドライバも2010年4月16日にリリースされたバージョン1.0.23において,このUSB Audio Class 2.0に対応しています。Ubuntuの場合,Maverickからこのバージョンが利用可能です

著者プロフィール

坂本貴史(さかもとたかし)

Ubuntuのマルチメディア編集環境であるUbuntu Studioのユーザ。主にUbuntu日本コミュニティとUbuntu Studioコミュニティで活動。いつかユーザ同士で合作するのが夢。