Linux Daily Topics

Linux 6.0がリリース、ハードウェアサポート拡大、Rustの採用は6.1以降に

Linus Torvaldsは10月2日(米国時間⁠⁠、⁠Linux 6.0」の正式リリースをアナウンスした。前回の「Linux 5.19」から約2ヵ月、7本のリリース候補版を経ての公開となる。

Linux 6.0 -Linus Torvalds

2019年3月にリリースされた「Linux 5.0」以来、約3年半ぶりにメジャーバージョンがアップデートされたが、Linusは「⁠⁠5.20ではなく6.0にしたのは)手と足の指の数の合計より多くのナンバリングを重ねたくなかっただけ」とコメントしており、Linux 6.0が基本的に大きな変更を伴うリリースではないことを強調している。もっともLinux 6.0のコードは決して小さくなく、Linusによれば「non-mergeコミットが1万5,000を超えており、過去のリリースの中でも大きいもののひとつ」だという。

Linux 6.0の主なアップデートは以下の通り。

  • 64ビットArmアーキテクチャ(arm64)でTHP(Transparent Huge Page)スワップをサポート、最初にベースページに分割することなく、スワップパフォーマンスを大幅に高速化(約40%増)
  • OpenRISCアーキテクチャおよびLoongArchアーキテクチャにおけるPCIサポート
  • RISC-Vアーキテクチャにおいてキャッシュブロック管理の拡張機能「Zicbom」が利用可能に
  • io_uringでバッファリングされた書き込みのパフォーマンスが約2倍に向上、またゼロコピーネットワーク転送をサポート
  • ハイエンドなノートPCで人気が高いSoC「Qualcomm Snapdragon 8cx Gen3」とSnapdragonを搭載した「Lenovo ThinkPad X13s Arm」ラップトップの早期サポート
  • 「AMD Zen」のNUMAバランス改善などを含むスケジューラの変更、パフォーマンスが大幅に改善へ
  • Intelハードウェアで熱制御回路(TCC)の起動温度を調整する冷却ドライバ(intel_tcc_cooling)のサポート対象に「Raptor Lake」が追加
  • Intel CPUのソフトウェア機構「Intel Software Guard Extetensions 2(Intel SGX2⁠⁠」のメインラインへのマージ
  • Btrfsファイルシステムにsendプロトコルのバージョン2が追加、より大きなデータチャンクの送信が可能に(バージョン1も引き続きサポート)

全体的にハードウェアサポートの追加が目立つアップデートとなっている。

Rustの導入は「よほどのことがないかぎりLinux 6.1になる」

なお、期待されていたRustの導入はLinux 6.0では見送られたが、Linusは「ZDnet」のインタビュー「⁠⁠Rustの導入は)よほど何かが起こらないかぎり、Linux 6.1になる」と答えており、次のLinux 6.1でサポートされる可能性は高い。LinusはすでにLinux 6.1のマージウィンドウをオープンしており、いよいよ⁠Rust in Linux⁠に向けて本格的な動きが始まりそうだ。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧