tanQブックスシリーズ薬なしで生きる
―それでも処方薬に頼りますか―

[表紙]薬なしで生きる―それでも処方薬に頼りますか―

紙版発売

四六判/240ページ

定価1,518円(本体1,380円+税10%)

ISBN 978-4-7741-4035-3

→学校・法人一括購入ご検討の皆様へ

書籍の概要

この本の概要

昔はあきらめていた命も,今では新薬の登場で助かるようになったといいます。しかしこの常識が次々に覆されてきているのです。大規模に行う新しい調査法によって,病院で処方されている殆どの薬は,のんでものまなくても,寿命に差がないことがわかってきたのです。なかには効果自体が疑わしかったり,むしろ短命になったという恐ろしい薬さえあります。本書は,そのような驚きの結果を紹介するものです。単にセンセーショナルにとりあげるような偏った内容ではなく,著者が20年の歳月をかけ,いろいろな分析した結果です。

こんな方におすすめ

  • 病気や薬に関心がある人
  • 病気や薬にかかわりを持って生活をしている人

目次

第1章 薬はなぜ効き,どうして副作用があるのか

薬の法律

  • 薬,サプリメント,食品の違い/病院の薬と薬店の薬

薬の作用

  • 薬は体内を巡る/ポイントは血液中の濃度
  • のみ合わせ/薬は水でのむ
  • 用法・用量/薬が認可されるまで
  • ジェネリック

なぜ薬には副作用があるのか

  • どんな薬にも副作用がある/予測できない副作用
  • 薬のアレルギー/肝臓が薬の犠牲に
  • 胃腸障害/コンピューターでつくられた薬
  • 反対派,賛成派/テーラーメイド?

第2章 身近な風邪薬・胃腸薬に潜む危険

風邪薬の中身

  • 人はなぜ風邪をひくのか/熱冷ましの功罪
  • 誰でものんでる風邪薬/風邪薬の定番,アセトアミノフェン
  • 大規模に調査を行ってみたら/信憑性の検証
  • 対立するデータ/気休めの効果

売れ筋ナンバーワンの胃腸薬

  • 胃腸の病気/胃腸薬いろいろ
  • 潰瘍治療薬の副作用/人々の思惑
  • ピロリ菌退治の大騒動/反論続出
  • ピロリ菌は胃がんの原因か

大規模調査とはどんなものか

  • 間違っていた知識/大規模調査の条件
  • エビデンスという流行語

第3章 薬で血圧を下げても寿命は延びない

他人事でない話

  • 都市伝説/二人に一人が高血圧?
  • ガイドラインには逆らえない

血圧が上がるわけ

  • 心臓のしごと/大切な血液の流れ
  • 司令塔は自律神経と腎臓/血管の柔軟性に秘密が
  • 危険因子とは/血圧が高いとなぜ悪いのか

血圧の薬

  • 安い薬の運命/最新の血圧治療薬
  • 自分がのんでいる薬を調べよう

意外なエビデンス………

  • 最初のエビデンス/医療の究極の目的とは
  • 意外な副作用/誇大広告
  • ガイドラインを検証する/はっきりしない結論
  • 論文の書き方に異議あり/寿命が延びないわけ

第4章 それでも薬をのみますか

メタボ騒動

  • 日本人の六人に一人が糖尿病予備軍?/基本検査は二つ
  • 病人を大量生産するメタボ健診

正常値はどうやって決めたのか

  • 境界型って?/正常値も大規模調査で決める時代

寿命が短くなる薬

  • 薬が必要な人とは?/覆らなかった結論
  • 危険な組み合わせ/間違っていたガイドライン
  • うさん臭い話

薬を巡るスキャンダル

  • 日本発の薬/発売停止
  • ライバル/政党を巻き込んだ騒動
  • 悲劇のヒロイン/後日談
  • 薬としてのインスリン

崩れた安全神話

  • コレステロールを知る/コレステロールはなぜ悪いのか
  • 検査値をチェックせよ/LDLコレステロール値を下げる薬
  • 中性脂肪の薬はいらない/ドクターは薬がお好き
  • がんになる薬/空白の二年間
  • 追記

第5章 抗がん剤—がんを治す薬はない

抗がん剤の背景

  • 過激分子/抗がん剤の種類と副作用
  • 抗がん剤の認可基準とは

さまざまな抗がん剤

  • 日本人のがん/話題の胃がん治療薬
  • 進行度によって異なるデータ/悩ましい判断
  • 人生哲学の問題/はっきりしない肺がん治療
  • 乳がんのホルモン療法/薬が効かない子宮がん

惑わしのテクニック

がんの常識を疑え

  • 早期がん進行がん/がん検診の効果?
  • 大きくならないがん/薬の値段を知っていますか?
  • 三〇年前と同じ

第6章 薬を巡るスキャンダル

裁判沙汰―海外の事例………

  • すべての薬に通じること/怒りの告発
  • 裁判ラッシュ/統合失調症の薬も
  • 精神活動に作用する薬/過当競争の果て
  • ジェネリックのトラブル/アメリカの事情

日本の事情

  • 日米の違いに学ぶ/薬害という言葉
  • あきれた話/ワルファリンという薬
  • 判決/医科系大学の研究費
  • 諸悪の根源

終章 薬に頼らない生活

予防できる病気

  • 自然界にある危険/家の中に潜む危険
  • 最強の発がん要因/がんにならないための生活術
  • 病気になりやすい体質/骨粗鬆症には運動を
  • 予防できるアルツハイマー病/運動の仕方

病気になったとき

  • 風邪をひいたとき/腹痛,吐き気,下痢など
  • 手足の痛み/生活習慣病
  • あれこれ,まとめ

著者プロフィール

岡田正彦(おかだまさひこ)

1946年,京都府生れ。新潟大学医学部卒。1990年より同大学医学部教授。医学博士。専門は予防医学,医療統計学。米国学会誌IEEE Transactions on Biomedical Engineering副編集長,学会誌「生体医工学」編集長などを歴任。2002年,臨床病理学研究振興基金「小酒井望賞」受賞。『医学・生物学のためのデータ解析入門』(コロナ社),『人はなぜ太るのか』(岩波新書),『がん検診の大罪』(新潮選書),『医療機器が一番わかる』(技術評論社)など著書多数。