tanQブックスシリーズバカな研究を嗤うな
―寄生虫博士の90%おかしな人生力
2011年12月16日紙版発売
藤田紘一郎 著
四六判/224ページ
定価1,628円(本体1,480円+税10%)
ISBN 978-4-7741-4956-1
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書籍の概要
この本の概要
寄生虫によるアレルギー抑制の機序を明らかにするために,自らのお腹にサナダムシを飼い,おまけに「きよみちゃん」などと名前をつける。世界中のウンコを集めて腸内細菌を調べ病気との相関関係をさぐる。血液型性格診断は非科学的ではないと言っては「エセ科学者」のレッテルを貼られる。“寄生虫博士”として知られ,どんな逆境にもめげず,人とは少しはずれた道を歩んできた著者が,自らの人生を振り返りながら,この類まれなる研究者誕生の秘話と,その人生に一環して流れる「タブーに挑む」科学者の精神を記した痛快青春一代記。
こんな方におすすめ
- 研究者として行き詰っている人
- 仕事や生き方に悩んでいる人
- 科学について広い知識を得たい人
目次
第1章 幼少期の体験が私を複雑な性格にした
- 中国大陸で生まれ,死にそうになって東京へ脱出/東京で大空襲を受ける/幼児期に受けた性的いたずらと性的興奮/女性に対する異常なあこがれ/私は境界性のパーソナリティ障害だろうか/結核療養所宿舎の生活と激しいいじめ/医学部に入るため,ガリ勉開始/兄弟愛にさえ恵まれなかった/祖父だけに無言の愛を感じた/二人の祖母に嫌われた/貧乏がケチを生み,ケチが辛抱強さを生んだ/とにかく女性にもてなかった/人とは違った視点から物事をとらえる
第2章 風土病との闘いに青春をついやす
- トイレで会ったのが「ウンのつき」/陰嚢水腫や象皮病を起こすフィラリア/フィラリア病撲滅活動に身をささぐ/記念すべき初の学術論文は『蚊の観察日記』/危険をともなう調査だとあとから気づいた/五島列島におけるフィラリアの血清疫学的研究/九州沖縄に多発する白血病は,感染症だった/フィラリアと成人T細胞白血病(ATL)の関係/世界初の発見もあった
第3章 地球温暖化が気になる
- 世界中の蚊を飼ってみたい/日本脳炎・デング熱は日本で再流行するか/コレラは東京にこなかった/温熱環境が人体に及ぼす免疫学的研究
第4章 インドネシアで人生観が変わった
- キレイはキタナイ,キタナイはキレイ/「ありがとう」は「もらって当然」という意味/喜捨と偽善の違い/あるがままの生き方/アトピーや喘息の子どもがいない島/虫との共生を終わらせた日本/寄生虫からアレルギーを抑える物質を分離した/ 寄生虫によるアレルギー抑制説/『笑うカイチュウ』を書く
第5章 インチキもいつか本物になる――アメリカでの研究生活
第6章 ウンコの研究から,人の心を探る
- 世界のウンコを集めてみた/ウンコは腸内細菌の情報源/日本人のウンコが小さくなってきた/自殺しない国のウンコは大きい/幸せ物質を脳に送る腸内細菌
第7章 血液型から人の性格を知る
第8章 水惑星の旅で多様性を知る
- 水の中の微生物多様性/水は地域と共生していた/多様性を認めない日本/自由な生き方を教えてくれたインドネシア
第9章 自分の体で実験したい
- お腹にサナダムシを飼ってみます/サナダムシを飲んで人が変わった/サナダムシによる治療は,薬事法違反か/土壌菌まで飲んでしまった/医学界での常識は,本当は非常識/自分の体を使う実験は科学の発展に寄与したか
第10章 自分の生き方をつらぬく
- 医学部長か,図書館長か/こんな私が,賞状を?/御徒町の靴屋の2階が研究室/食事を変えると,優しくなった/車はベンツか,トヨタのパッソか/何歳になっても恋をする
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