腸内細菌と共に生きる ---免疫力を高める腸の中の居候---
- 藤田紘一郎 著
- 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2015.1.16 2015.1.21
- 判型
- 四六
- 頁数
- 192ページ
- ISBN
- 978-4-7741-7117-3 978-4-7741-7186-9
サポート情報
概要
1994年に刊行したベストセラー「笑うカイチュウ」から,昨今,再ブレークした「脳はバカ,腸はかしこい」まで,免疫・腸内細菌・寄生虫・アレルギーなどの分野で幅広く活躍してきた著者が,これまでの歩みを振り返りつつ,生物としてのヒトの姿を浮かび上がらせる。全編を通じてテーマとなるのは「共生」。腸内細菌を中心に,免疫,腸脳相関,ミトコンドリア,エピジェネティクスなどにキーワードを拡げ,科学的・医学的知見をふまえながら生命の世界の全体像を大胆に考察する。
こんな方にオススメ
- 健康に関心のある人,藤田紘一郎ファン
目次
第1章 すべては「共生」で成り立っている
- 共生よりも生き延びること
- 共生の始まりはミトコンドリア
- 腸内細菌のルーツはどこに
- 初めに異物ありき
- 内部のようでいて外部
- 腸内細菌あっての免疫?
- 手洗いで感染は防げない
- 無菌では生きられない
- 腸内で繰り返される生物史
- 腸内細菌がメンタルを操る
- 「サナダムシは薬かい?」
- 悪玉菌が暴れる理由
- 寄生虫がアレルギーを防ぐ
- 噛むことで免疫も進化
- 「チョイ悪」の菌も必要
- 腸壁を守るガードマン
- 日和見菌こそ共生のカギ
- 年をとったらミトコンドリア
- 共生を成り立たせる掟とは
- COLUMN…「共生」のスタイルもいろいろあれど……
第2章 共生思想を生んだ「カイチュウ」との出会い
- 寄生虫との意外な出会い
- 日本からフィラリアを一掃
- ウンチがプカプカ浮かぶ川
- 清潔さがアレルギーを生む?
- アレルギーを抑える物質を発見
- 寄生虫と暮らしてきた日本人
- ウンチが高価だった時代
- 嫌だけどしょうがないもの
- ヒトの体に入って悪さをする
- サナダムシでやせられるか
- エネルギーを横取りする
- 様々な種類の寄生虫
- 「虫を飼わないと学者じゃない」
- サナダムシの幼虫を飲み込む
- 持ちつ持たれつの生物界
- COLUMN…アレルギーを治すとガンが増える?
第3章 共生細菌から見た「腸」と「脳」の不思議なつながり
- 国によってウンチの大きさは違う
- 3Kのレッテルを貼られ
- サナダムシがいる幸福感
- 腸内細菌が多いと賢くなる
- 不安や心配の源は腸にあり
- 納豆菌は善玉菌にあらず
- 土壌菌で朝立ちした?
- 精製した糖質をすすめない理由
- ミトコンドリアといかに共生するか
- 年代に合った食べ方が大事
- お腹の調子で感情が左右
- 腸と心はつながっている
- 菌の種類によって体型が決まる
- ピロリ菌は悪くない
- 皮膚の常在菌の反乱
- 腸内細菌とサーカディアンリズム
- リズムこそが元気の源
- COLUMN…すべては「腸」から始まった?
第4章 共生を支える「エピジェネティクス」とは
- 遺伝子の配列がすべてではない
- 決め手は「環境からの信号」
- 腸内環境もエピジェネティクス
- 病気の遺伝子があっても長生き
- エピジェネティクスのプロセス
- 遺伝子検査でリスクは摘めるか
- 共生とは対極の発想
- 常識を逸脱した「プリオン」
- 恐ろしい遺伝子の水平移動
- ヒトに宿った「共生する力」
- 後天的な努力こそ大切
- 進化も腸内細菌のおかげ
- セックスレスからの脱却
- 若返り遺伝子にスイッチを入れる
- COLUMN…「健全なる腸」が「健全なる精力」の源!
プロフィール
藤田紘一郎
東京医科歯科大学名誉教授。1939年,中国東北部(旧満州)生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。東京大学大学院にて寄生虫学を専攻。テキサス大学で研究後,金沢医科大学教授,長崎大学医学部教授を経て,1987年より東京医科歯科大学教授。専門は感染免疫学,寄生虫学,熱帯医学。マラリア,フィラリアなどの免疫研究の傍ら,「寄生虫体内のアレルゲン」「ATLウイルスの伝染経路」の発見など多くの業績をあげる。また,免疫学を下敷きにした,ユニークなエッセイストとしても活躍している。著書に,『笑うカイチュウ』(講談社出版文化・科学出版賞),『清潔はビョーキだ』,『腸内革命』,『バカな研究を嗤うな』,『脳はバカ,腸はかしこい』など多数。