tanQブックスシリーズ献体
―遺体を捧げる現場で何が行われているのか
2011年6月21日紙版発売
2018年6月21日電子版発売
坂井建雄 著
四六判/200ページ
定価1,628円(本体1,480円+税10%)
ISBN 978-4-7741-4699-7
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書籍の概要
この本の概要
医療従事者の教育のために,解剖体として遺体を捧げる「献体」。この献体を希望する人が増加し,密かに世間の注目を集めている。
献体をするにはどうすればいいのだろうか? 献体登録をすると報奨金がもらえるのか? その瞬間,遺族は何をすればよいのだろうか? 遺体はどう扱われ,どのような状態で戻ってくるのだろうか? 日本人の死生観は,なぜ海外と違うのだろうか?
デリケートなテーマだけに,語られることが少なかった献体。本書は,その現状を真正面から伝える初めての書籍である。
こんな方におすすめ
- 献体,医学部に興味のある方
- 自分の死について見つめ直してみたい方
- 死後の始末に悩んでいる方
目次
第一章 献体をすること
- 献体登録はどのように行うのか?
- 自分の意志を尊重してもらうには
- 献体登録をすると何が得られるか?
- 交流の場として――献体団体の総会
- 絆として――献体団体の会報
- 献体登録をする動機
- 献体を進める動因の強さ
第二章 献体者を見送る側――遺族の立場
- 献体者がお亡くなりになると
- 会員の確認と代表者の決定
- 死亡届の提出
- 遺体の引き渡し,その後
- さまざまな献体,さまざまな遺族
- 解剖慰霊祭への招待
- 解剖慰霊祭
- 遺骨の帰りを待つ遺族
- 遺骨返還式の風景
- 遺族が安堵する瞬間
第三章 献体者を受け入れる側――大学側の実務
- 献体登録の受け付け
- 献体をお断りするケース
- 献体団体と総会
- 教育の場としての総会
- 遺体の引き取り
- 遺体引き取りを悩むケース
- 遺体の保存処置
- 解剖実習における学生の指導
- 遺体の火葬
- 遺骨の返還
第四章 遺体の扱い――解剖実習と学生
- 3種類の人体解剖
- 正常解剖とその他の解剖との違い
- 遺体の保存処置
- ホルマリンの注入
- ホルマリンの低減と保管
- 解剖実習室に搬入される遺体
- 解剖実習にあたって
- 解剖実習序論
- 一人の人間との出会いを忘れないこと
- 解剖実習の始まり
- 身体の中の世界
- “一人の人間”を強烈に意識する瞬間
- 解剖実習の最終日
- 解剖体が遺体に戻るとき
- 遺骨返還式――感謝の意を表する場
- 感謝の言葉
第五章 献体運動はどのように行われているのか
- 篤志解剖全国連合会とは
- 献体と解剖の将来について考える場
- 難しいマスコミを通じた広報活動
- 誠意あるテレビの取材
- 連合会の作成する広報資料
- 献体の現況調査
- 相談の窓口としての事務局
第六章 世界と日本の献体事情
- アメリカの献体事情
- “契約”としての献体
- 報酬と費用――法的な規制,自己負担
- 広範囲に用いられる遺体
- 大学の墓所に埋葬
- 自由すぎることの弊害
- ドイツの献体事情
- プラスティネーション研究所
- イギリスの献体事情
- 中国・台湾の献体事情
- 世界と比較した日本の献体の特徴
- 解剖と献体について規定する法律
第七章 日本における人体解剖と献体の歴史
- 初めての人体解剖を記録した山脇東洋の『蔵志』
- 遺体と慰霊
- 江戸時代に行われた人体解剖
- 江戸時代の解剖事情
- ポンペによる人体解剖
- 東京大学医学部で始まった人体解剖実習
- 明治から戦前における解剖体供給事情
- 戦後の解剖体供給事情
- 献体運動の高まり
- 献体運動がもたらしたもの
- 献体の概念を変えた運動
- 献体運動のこれから
第八章 世界における人体解剖の歴史
- 古代ギリシャの人体解剖
- 古代ローマのガレノスの解剖学
- 詳細な記述と卓越する技術
- 影響を与え続けたガレノスの偉業
- 中世・ルネサンスの人体解剖
- 16世紀前半の人体解剖――ヴェサリウスの前夜
- 16世紀後半の解剖学――ヴェサリウスが切り開いた人体解剖の世界
- 圧倒的な『ファブリカ』
- 17世紀の解剖学――人体理解の変貌
- 17世紀の解剖学書と解剖図
- 18世紀の解剖学――人体の理念と解剖学教育
- 18世紀の解剖学書と解剖図
- 19世紀の解剖学――医学・生物学の発展による解剖学の再編成
- 19世紀の解剖学書と解剖図譜
- 20世紀と現代の解剖学書と解剖図譜
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