知りたい!サイエンスシリーズここまで進んだ次世代医薬品
―ちょっと未来の薬の科学
2011年3月23日紙版発売
2013年6月17日電子版発売
中西貴之 著
四六判/240ページ
定価1,738円(本体1,580円+税10%)
ISBN 978-4-7741-4591-4
ただいま弊社在庫はございません。
書籍の概要
この本の概要
医療が発達した21世紀。こんな現代において,創薬研究者はいったどのような薬を開発しているのだろうか?
副作用の起こりにくい抗ガン剤,薬がなかったアルツハイマー型認知症の治療薬,難病や不治の病……。
そんな“一段上のレベル”の難しい分野へと,創薬の主戦場は移りつつある。次世代医薬品の研究は,航空宇宙産業と並んで“知の集大成”といわれ,世界の中でもごく限られた国でしか生み出すことのできない,特殊な産業である。創薬研究者たちは,あの手この手を用いながら,数々の難病と日夜闘っているのだ。本書は,そんな彼らの活躍ぶりと,次世代医薬品のテクノロジーについて伝えていく。
こんな方におすすめ
- 未来の薬について興味のある方
- 創薬の現状について知りたい方
- お薬マニアな方
目次
第1章 次世代医薬品・総論
- 1-1 医薬品の基本,小さな分子の有機化合物
- 1-2 成長を続ける次世代医薬品市場と問題点
- 1-3 分子標的治療・抗体医薬
- 1-4 核酸を薬として利用する
第2章 薬ができるまで
- 2-1 医薬品が生まれるまで① 低分子化合物医薬品の場合(分子標的医薬品)
- 2-2 医薬品が生まれるまで② バイオ医薬品の場合(抗体医薬品)
- 2-3 医薬品が生まれるまで③ 一般的な臨床試験
- 2-4 医薬品が生まれるまで④ 抗ガン剤の臨床試験
第3章 第一世代バイオ医薬品
- 3-1 第一世代バイオ医薬品の例
- 3-2 抗ガン作用を持つ酵素
- 3-3 バイオシミラー(バイオ後続品)の登場
第4章 第二世代バイオ医薬品①・ガンと戦う
- 4-1 分子標的治療薬とは?
- 4-2 抗体医薬とは?
- 4-3 抗体医薬品はどうして効くのか?
- 4-4 膜タンパク質をブロックする戦略① トラスツズマブの大活躍
- 4-5 膜タンパク質をブロックする戦略② セツキシマブ――大腸ガンの治療薬
- 4-6 膜タンパク質をブロックする戦略③ インスリン様成長因子をターゲットとする抗体医薬の可能性
- 4-7 殺し屋の免疫を集める戦略① ガン免疫療法医薬品とは?
- 4-8 殺し屋の免疫を集める戦略② ガンペプチドワクチン(1) なにが問題なのか?
- 4-9 殺し屋の免疫を集める戦略③ ガンペプチドワクチン(2) 日本における臨床試験
- 4-10 殺し屋の免疫を集める戦略④ T細胞の抑制を妨げることをターゲットにする抗体医薬
- 4-11 殺し屋の免疫を集める戦略⑤ 黒色腫治療薬イピリムマブ
- 4-12 栄養を奪って兵糧攻めの戦略① 血管新生阻害薬(1) 兵糧攻めのエース
- 4-13 栄養を奪って兵糧攻めの戦略② 血管新生阻害剤(2) 血管を治す不思議な作用
- 4-14 栄養を奪って兵糧攻めの戦略③ 血管新生阻害剤(3) ベバシズマブ
- 4-15 栄養を奪って兵糧攻めの戦略④ オーロラキナーゼ
- 4-16 栄養を奪って兵糧攻めの戦略⑤ チェックポイント阻害剤
- 4-17 栄養を奪って兵糧攻めの戦略⑥ 分子標的治療薬の教科書イマチニブ
- 4-18 殺成分を持ち込んで殺す戦略① 武装抗体T-DM1
第5章 第二世代バイオ医薬品②・さまざまな病に打ち勝つ
- 5-1 アルツハイマー型認知症は,抗体医薬でやっつけられるのか?
- 5-2 骨粗鬆症治療薬としても期待される抗体薬品
- 5-3 コメ型ワクチンMucoRice
- 5-4 次世代ワクチンのいろいろ
- 5-5 新型インフルエンザとDNAワクチン
第6章 第三世代バイオ医薬品・未来を拓く
- 6-1 アロステリック医薬品
- 6-2 未来の抗体医薬
- 6-3 オリゴ核酸医薬品
- 6-4 ナノ治療薬
- 6-5 その他の次世代薬品
- 6-6 次世代医薬品の作り方
この本に関連する書籍
-
慢性病薬は,飲み続けなければいけないか? -薬の正しい知識を身につけて,自分の体を守ろう!-
高齢化が進む中,高血圧や糖尿病,メタボリックや脂質異常など生活習慣病が問題になっています。50歳以上の人で薬を飲んでいない人の方が少ないかもしれません。中には...
-
献体―遺体を捧げる現場で何が行われているのか
医療従事者の教育のために,解剖体として遺体を捧げる「献体」。この献体を希望する人が増加し,密かに世間の注目を集めている。 献体をするにはどうすればいいのだろ...
-
なぜ,体はひとりでに治るのか ―健康を保つ自然治癒の科学―
私たちの心身は,皮膚をすりむいたり,ウイルスに曝露したり,さらには自分自身で勝手に傷ついたりと,常にどこかが傷んでいます。にも関わらず,ほとんどの場合は本人...
-
痛みと鎮痛の基礎知識[上]基礎編―脳は身体の警告信号をどう発信するのか
痛みとは,からだの異常を感知する感覚です。単なる感覚ではなく,不快な情動を伴うことによって,警告信号を発信する重要な役割を果します。しかし,からだの異常がな...
-
からだビックリ! 薬はこうしてやっと効く ―苦労多きからだの中の薬物動態―
あたりまえですが,薬は服用すれば効きます。しかし,この“あたりまえ”は,実はあたりまえではありません。薬は体にとっては異物である以上,体はあらゆる手を使って薬...