知りたい!サイエンス
ここまで来たナノテクノロジー
―産業化する原子の世界―
- 吉田典之 著
- 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2010.2.17[在庫なし]
- 判型
- 四六
- 頁数
- 224ページ
- ISBN
- 978-4-7741-4160-2
概要
原子2、3個程度の長さであるナノメートル。普通の物理法則が通用しないこのナノスケールの世界が、人間の実生活を大きく動かそうとしている。電子顕微鏡でさえ見えない世界で何が行われているのか? 何をしようとしているのか? 本書では原子世界での法則やナノテクノロジーの基本理論を解説しながら、工業、医療など身近な世界へ広がっている現在のナノテクノロジーの現場を紹介する。
こんな方にオススメ
- ナノテクノロジーを支える基礎理論を知りたい人
- ナノテクノロジー関連産業や製品の概要を知りたい人
目次
第1章 時代は「超微細化」へ
- 1-1 新しいフロンティアを切り開く「超微細技術」
- 1-2 10億分の1の世界へようこそ
- 1-3 ナノテクの歴史
- 1-4 分子、原子─物質を形づくる基本部品─
- 1-5 光─ナノの世界と深く関わるエネルギーの形─
- 1-6 トップダウンとボトムアップ
第2章 微細な世界ではこんな事が起こっている
- 2-1 ミリからマイクロ、ナノへ
- 2-2 コロイド─ナノサイズの粒子が分散─
- 2-3 色と光の七変化
- 2-4 結晶のサイズ次第で強さが変わる
- 2-5 磁石としての性質もナノ化で強く
- 2-6 ポリマー、繊維もナノレベルの制御でより強くしなやかに
- 2-7 原子や分子に働くさまざまな力
- 2-8 ナノ構造の制御で熱を遮断
- 2-9 波と粒、アナログとデジタル─量子効果─
第3章 自然・生物に学ぶナノテク─古来からのお手本─
- 3-1 条件を整えれば、自然に秩序を作り出す─自己組織化─
- 3-2 生体が作るあらゆるもの、現象を情報化しているDNA
- 3-3 生物の中の多彩なナノ構造
第4章 微細な世界をのぞく─ナノテクを支えるのに欠かせない、ナノを見る技術、操作する技術
- 4-1 光で見る─光学顕微鏡─
- 4-2 微細な穴からにじみ出る“光のしずく”─近接場光─
- 4-3 レントゲン写真でおなじみ、透過力が強いX線
- 4-4 もっと強い光のビーム─放射光─
- 4-5 光の代わりに電子を使い原子を観察
第5章 ナノの世界を操る
- 5-1 光で微粒子をつかまえ、動かす─光ピンセット─
- 5-2 原子を弾き飛ばすナノの彫刻刀─集束イオンビーム─
- 5-3 ナノ粒子をつくる
- 5-4 表面を加工する
第6章 ナノエレクトロニクス
- 6-1 ムーアの法則は越えられるか
- 6-2 ハードディスク─磁気記録の限界に挑戦─
- 6-3 メモリー
- 6-4 ディスプレー
- 6-5 光ディスクの読み取り、書き込みに欠かせない半導体レーザー
第7章 出番を待つ最先端技術
- 7-1 炭素のサッカーボール─フラーレン─
- 7-2 炭素の微細管─カーボンナノチューブ─
- 7-3 エネルギーを生み出す
- 7-4 生命の仕組みを応用した分子機械
- 7-5 ナノマテリアルは人体や環境に安全か
プロフィール
吉田典之
1964年生まれ。名古屋大学理学部物理学科卒。1991年読売新聞社入社。山梨県甲府支局、メディア企画局開発部を経て、1997年から東京本社科学部に配属し現在に至る。宇宙、物理、情報通信、ナノテクノロジー、ロボットなどの分野を担当。著者に『トロンが拓くユビキタスの世界』『ロボットもの知り百科』(以上、電波新聞社)、『「すばる」が探る宇宙のはて』(PHP研究所)など。