スマートフォンUIデザインパターン
~心地よいユーザーインターフェースの原則~

[表紙]スマートフォンUIデザインパターン ~心地よいユーザーインターフェースの原則~

紙版発売
電子版発売

B5変形判/176ページ

定価2,508円(本体2,280円+税10%)

ISBN 978-4-7741-5822-8

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この本の概要

スマートフォンのアプリ,サイトをデザインするうえで,知っておかなければならない基礎知識を1冊にまとめました。
「とにかく機能は豊富だけど,いまいち使いづらく,イライラする…」というありがちな落とし穴を抜け出し,使いやすく魅力的なスマートフォンアプリにするためのポイントを「情報検索」「情報入力」「情報共有」「情報閲覧」といったスマートフォンの操作シーンごとに,デザインパターンを体系化して解説しています。

こんな方におすすめ

  • スマートフォンアプリやスマートフォン用Webサイトのデザインの基礎を知りたいデザイナー,プランナー

著者の一言

「スマートフォンのUI 設計を,もっと効率的に行えないだろうか?」
この本を執筆するきっかけは,そんな些細な悩みから始まりました。
2012 年,スマートデバイスの台頭に合わせて,私のところにやってくる相談依頼の多くが,これまでのPC 向けから「スマートフォンのWeb 制作」や「アプリケーションの開発」へと移っていきました。手に取るように実感できる変化の中で,私と同じような悩みを抱える人たちの一助になればと思い,完成したのが「スマートフォンUI デザインパターン」です。
一般的に,Web 系と言われる開発現場の,「プランナー」「ディレクター」「デザイナー」など,少なくとも「インタフェースの設計」に関わる方たちは,日々,目の前の業務に追われています。単なる論評としてではなく,あくまでも「実用書」として活用できるよう,これまでの経験と実例をもとに,設計のポイントがすぐにわかるよう心がけました。
ヒントを得た本は,クリストファー・アレグザンダーの『パタン・ランゲージ -環境設計の手引-』です。
アレグザンダーは,著書の中で「個々のパターンが集合しランゲージを形成することで,1つのコミュニティが成り立つ」と説明しています。
これをWeb に置き換えると,いくつかの「デザインパターン」が集まって,情報と機能を併せ持つ「インタフェース」が形成され,1 つの「Webサイトやアプリケーション」が成立する,と言えると思います。
Web サイトやアプリケーションも,言うなれば「デザインパターンの集合体」でしかありません。
デザインパターンの集合体として,完成したWeb サイトやアプリケーションは,意匠家のそれと同じで「設計思想」が感じられるものです。スマートフォンUI のデザインパターンは複数ありますが,何かひとつの目的を達成させる画面を別々の人に設計してもらうと,各人が考えた様々なインタフェースが出来上がります。ただ,その中でも,うまくデザインパターンを組み合わせて設計された「よいインタフェース」と,そうでない「悪いインタフェース」ができることがあります。
その違いはどこにあるのでしょう?
ひとつ鍵になるのは,それが「利用者の行動を想定した設計なのかどうか」というところにあると思います。
そこで,本書は次の4 つのシーンに分けて構成しました。

  1. 情報検索
  2. 情報入力
  3. 情報共有/ 発信
  4. 情報閲覧
これらは,スマートフォンを手にしたユーザーの行動を大別したものです。それぞれのシーンごとに,実際,よく目にするWeb サイトやアプリケーションの事例を踏まえながら,スマートフォンUI のデザインパターンの考察とメリット/ デメリットをまとめてあります。
これから,スマートフォン向けのWeb サイトやアプリケーション開発に関わる方々が,いざ設計となった場合に,本書を手に取って想定される利用シーンをひもとけば,そのデザインパターンの善し悪しがわかってくることと思います。
「スマートフォンならではの,何か特別な技巧を使わない限り,ユーザーが満足するUI なんてできないのでは?」
決して,そんなことはないのです。
むしろ,「普遍的に使いやすいスマートフォンUI」は,「基本的なデザインパターンの組み合わせ」から成り立っていることのほうが多いと感じます。
設計者の腕の見せ所は,まさにここにあるのです。1 つ1 つのデザインパターンの集合が「単なる部分の総和」ではなく「相乗効果を持つインタフェース」となり得るには,そこにどんな設計思想を「シグナル」として打ち込むかに尽きると思います。
  • なぜ,このデザインパターンなのか?
  • どうしてこれが効果的なのか?
  • その妥当性はどこにあるのか?
設計したインタフェースに対して,クライアントから説明を求められることもあるかもしれません。「もっと,華やかなギミックを取り入れたUI の方がいいのではないか」と詰め寄られることもあるかもしれません。
そんな時は,ぜひ本書を活用いただき,基本に立ち返ってインタフェースを設計いただければと思います。設計者の意思,その思想が感じられる「最良のインタフェース」が提供できることを願って。

著者プロフィール

鈴木雅彦(すずきまさひこ)

1978年生まれ。株式会社インクスにて,金型設計のインタフェース開発に従事後,独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構にて,主に発達障害,視覚障害など様々な障害者に対する職業支援やPCを使った職場環境適応訓練などのコンサルティング業務を経験。
その後,株式会社ミツエーリンクスにて,ウェブサイト構築に関わるプランナーとして上流工程の要件定義から情報構造の設計業務に従事。2008年,インクスの同期だった山谷,木下とともに株式会社ミルの設立に参画。2013年4月,スマートフォン向けのUI設計やUXデザインを専門とする株式会社サインを設立。ウェブおよびスマートフォンアプリのUI/AIなど全般を手がけている。
東北大学大学院情報科学研究科修士課程修了(情報科学)