ほんの1秒もムダなく片づく 情報整理術の教科書

[表紙]ほんの1秒もムダなく片づく 情報整理術の教科書

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電子版発売

A5判/328ページ

定価1,958円(本体1,780円+税10%)

ISBN 978-4-7741-7409-9

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この本の概要

「必要なデータがどこにいったかわからなくなった……」
「やるべきことがあれこれあって,収集がつかない……」

そんなことが常態化していませんか?

30年間,雑誌編集長,Webサイトのディレクター,プログラマなどITの最前線でさまざまな仕事を手がけてきた著者が,効率的に仕事を進めるために欠かせない最新の整理の技術を集大成。パソコンのファイル,メール,スケジュール,ToDo,ノートやメモ,ネットの情報まで,あらゆる整理のポイントがこれ1冊でわかる!

こんな方におすすめ

  • 効率的な仕事の仕方を知りたい人

著者の一言

なぜ,仕事には整理が必要なのか?

そもそも「仕事」とはどういうものか

世の中にはいろいろな仕事がありますが,現代社会ではいわゆる「ホワイトカラー」が増え続けていて,いまや労働人口の55%以上を占めています。ホワイトカラーとは,農業や工場などの肉体労働者ではなく,机に向かって仕事をする人を指します。一般には,営業,企画,総務,人事,経理などの職種が思い浮かびますが,ウェブやアプリを作るソフトエンジニア,制作の仕事,広報,研究開発職などもホワイトカラーの一種です。また,農業や工場でも,管理者や経営者になるとホワイトカラー的な仕事になってきます。

これらの人は何をやっているのでしょう?

「記録し,整理して,文書化する」

極論すると,こうなります。

ひと言で「文書」といってもさまざまです。発注書,見積書,請求書,企画書,提案書,稟議書,議事録,報告書,精算書,事業計画書,プレスリリース,ラフレイアウト,ワイヤーフレーム,HTML,イラスト,写真,ポスター,原稿,版下,論文,特許出願書,etc.

たくさんの文書がありますが,これらの目的はたった1つ。「読む人に情報を伝えること」です。発注書は「注文する製品の種類と数と価格」を伝えます。企画書は「新しく行う仕事の目的と方法と効果」を伝えます。議事録は「会議で何が話し合われ決定したか」を,ラフレイアウトは「どんなデザインや配置にしたいか」を伝えます。つまり,文書を作る目的は,「情報を伝える=コミュニケーションする」ことです。

文書に記載される情報は整理されていることが大切です。

いつまでに(日時),何を(対象),いくつ(数),どこに(場所)届けてほしいのか。
そういった情報を,読む側がまちがえないように整理して伝える。
そのために,正確で伝わりやすい文書を作る。

それがホワイトカラーの仕事のかなりの部分を占めています。

なぜ,仕事がスムーズにいかないのか

「そんなかんたんなこと」と思うかもしれません。しかし,そのかんたんなことができないばかりに,仕事の効率が落ちていませんか?

2014年1月13日の日本経済新聞に掲載された『改善すべきは「労働生産性が低い」日本人の働き方』という記事では,以下のような日本人の労働生産性の低さや長時間労働が問題になっていることが指摘されています。

  • 2011年のOECD(経済協力開発機構)の調査では,日本人1人あたりの総労働時間は平均1700時間で,ほかの先進国と比べると200~300時間も長い
  • 1時間あたりの労働生産性は,アメリカが約60ドルなのに対して,約40ドルしかない

朝9時から夜の9時,10時ごろまで,12時間以上働いている人の話はめずらしくありません。長時間働く理由は,仕事が多いからです。

しかし,すべてが本当に必要な仕事でしょうか?

仕事の目的や条件を上手に伝えられなかったために,ムダな仕事や,まちがいによるやり直しが生じていませんか?

筆者は30年以上に渡ってさまざまな会社のさまざな現場で働いてきましたが,効率の良い現場と悪い現場,仕事ができる人とできない人の差をたくさん見てきました。効率が悪い人,仕事ができない人の特徴はだいたい決まっています。

  1. いつも目の前の仕事を片づけるのに追われていて余裕がない
  2. 情報が整理されておらず,探すのに時間がかかる
  3. 発注でも受注でもミスや漏れが多い

こういう効率の悪さを,長時間労働の力業でカバーできる人もいます。しかし,そういう人は周囲に迷惑をかけて全体の効率を落としたり,最終的に自分の心や体をすり減らしてしまったりします。

整理をすれば,すべてが変わる

目の前の仕事に追われて,次の仕事の準備が疎かになる。
次の仕事も,準備不足のために,試行錯誤やミスによる手戻りが多発して,時間を使いすぎる。
その結果,その次の仕事も準備不足で……。

この悪循環を断ち切る方法は,ただ1つ。「整理を怠らない」ことです。

情報を整理することで,仕事の材料を抜け漏れなく準備でき,まちがいや手戻りがなくなります。

スケジュールとToDoを整理することで,仕事の順番に優先順位をつけて,心と時間の余裕をもって仕事に集中できます。

目的,課題,アイデアを整理することで,何をすべきで,何をやる必要がないのかが明確になり,ムダな仕事が減ります。

整理を始めると,いろいろなことが明確になってきます。それまで,ぼんやりと霧がかかったような状態で手探りでやっていた仕事が,目的と状況がはっきりと見えて,自信を持ってできます。

必要な仕事を,十分なクオリティでできるから,遠慮なく定時で帰れます。いままで,周囲の空気を読んで定時で帰れなかったのは,たぶん自分の仕事=自分自身に自信が持てなかったからなのです。

情報と状況を整理し,ビジョンを持つ者だけが仕事を制します。勇気をもって整理と準備に時間をかけるべきなのです。

すべての仕事は3ステップで整理できる

筆者は30年近くの間にさまざまな仕事をしてきました。大型汎用コンピュータのソフトウェアエンジニアから出発し,雑誌記者/編集者,Webサイトのディレクター,プログラマー,広告企画の立案,セルフ電子出版の運営企画などなど。出版とITにまつわる何でも屋です。

その中で,ありとあらゆる「文書」を作成しました。企画書,仕様書,提案書,事業計画書,契約書,ラフレイアウト,雑誌や単行本の原稿,プレゼンのスライド,プレスリリース,各種プログラム,ウェブサイトのHTMLとCSS,電子書籍のEPUB,チラシのDTP版下,etc.

これらは異なった仕事に見えますが,実際にはどれも同じ手順でした。

  1. 必要な要件を整理して決める
  2. 素材を集めて整理する
  3. 見やすく整形(整理)してアウトプットする

この3つのステップのすべてが,「何かを整理する」ことです。

最新の手段を活用して情報整理を効率化しよう

文書を整理するための手段として,現在はパソコンとインターネットという便利な道具を使えます。特に,ここ最近急速に進化した「クラウドサービス」によって,ビジネスの情報整理はとても便利になりました。それまでバラバラだった情報を1カ所に集め,同じやり方で整理できるようになったのです。さらに,ビジネスでつながった人たちの仕事環境がつながって,スムーズにコミュニケーションできるようになりました。

クラウドサービスを使いこなせば,ミスとやり直しを減らし,仕事のクオリティを上げ,残業を減らせます。しかも,クラウドサービスの多くは無料であったり低価格です。

若い頃は長時間会社に滞留しながらも締め切り破りの常習犯であった筆者ですが,いまはほとんど残業せず,締め切りを守れるようになりました。ミスや失敗によるやり直しが減った代わりに,レポートや企画書などの成果物を出すときは早めに第一稿,第二稿を出して意見をもらって調整し,仕事の精度を上げることに力を注げるようになったためです。

より高い成果をあげて,堂々と定時で帰るために,最新の手段を使って仕事を整理していきましょう。

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「必要なファイルがどこにいったかわからなくなった……」「大量のメールに埋もれて,大事な要件を見逃してしまってエラいことに……」

著者プロフィール

根岸智幸(ねぎしともゆき)

1963年生まれ。大学時代はマジックサークルでエンターテインメントとショウビジネスの作り方に触れ,アルバイトでは某レストラングループで赤字店の改革を得意とする名物店長の下,顧客サービスのあり方と能力を超えた仕事の片づけ方を学んだ。
卒業後,株式会社CSKにてIBM製大型コンピュータのソフトウェアエンジニアとして,入社早々に難関プロジェクトのOSコア周辺を担当。精鋭SEが集まった大規模なシステム入れ替えプロジェクトにおいて,プロフェッショナルの流儀を学んだ。
1989年に株式会社アスキーのコンピュータ総合誌『月刊アスキー』編集部に転職。編集記者として,硬派な専門記事に加えてビジネス向けの記事やアイドル企画まで幅広く担当。15年間で8つの雑誌に関わり,8度の創刊やリニューアルに参加。1998年に月刊インターネットアスキー編集長,2003年に月刊アスキーPCエクスプローラー編集長。
インターネットアスキーの取材を通してネットコミュニティの開発に興味を持ち,2000年にクチコミ・グルメサイトの先駆けとなった「東京グルメ」を企画・開発。個人サイトながら大手商業サイトと並ぶ評判となり,2004年に株式会社ライブドアに営業譲渡。同時にライブドアに入社。野球騒動,フジテレビ騒動,ライブドア事件のなかで,ひと回り年下の若者たちと仕事をしながら,先端IT企業の開発手法と仕事の進め方を学び吸収した。
2006年にライブドアを退職し,出版社の献本を書評ブロガーに届ける書評コミュニティ「本が好き!」を企画・開発。その後,複数のCGM/ソーシャルメディア系プロジェクトを手がけたり,出版社向けWeb広告企画の立案・制作を行った。
2013年には,電子書籍専門レーベル「カドカワ・ミニッツブック」の創刊に関わり,公式Webサイトや電子書籍を企画・制作。
現在も電子書籍関連の仕事を中心に活動している。
著書に『Twitter使いこなし術』『facebook使いこなし術』(ともにアスキー・メディアワークス)など。
Twitter:@zubapita