冒険で学ぶ はじめてのプログラミング

[表紙]冒険で学ぶ はじめてのプログラミング

紙版発売
電子版発売

A5判/184ページ

定価1,958円(本体1,780円+税10%)

ISBN 978-4-7741-9918-4

電子版

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この本の概要

早稲田大学の中高生向け情報科学教室の人気プログラミング講座がついに書籍化!
アイテムを集めたり,モンスターと戦ったり,炎の洞窟を探検したり……。C++を使って,主人公が冒険する世界をプログラミングで作りながら,楽しくプログラミングの基本を学ぶことができます。
プログラミングをはじめてみたいと思っている小中高生のみなさんはもちろん,プログラミングやC++初心者という方におすすめの一冊です。
※開発環境として,書籍内でVisual Studio 2017,Xcode,Webサイトの3通りの方法を解説しており,あらゆるPC・タブレットに対応しています

こんな方におすすめ

  • プログラミングに興味を持っている中学生,高校生
  • C++を学びたいと思っている方

著者の一言

遊ぶだけではつまらないあなたへ

ソフトウェア

あなたが使っているコンピューターやスマートフォンには,友達との情報交換や写真の共有に便利なアプリや,ついつい夜遅くまでプレイしてしまうゲームがいくつも入っていることでしょう。このような,デジタル機器で操作したり遊んだりできるもののことを「ソフトウェア」といいます(※1)。どんなに値段が高くて高性能なコンピューターやスマートフォンでも,ソフトウェアがなければ私たちは何もすることができません。ソフトウェアはデジタル機器に命を吹き込む魔法なのです。
ソフトウェアは私たちの目に見えないところでも活躍しています。テレビや映画できれいな映像を表示する技術や,自動車が安全に効率よく運転できるための制御,難病を直すための新しい薬の成分の発見,地球から遠く離れた星で生命の痕跡を探索するロボットの操縦など,ありとあらゆる分野でソフトウェアが使われています。21世紀の世界で,私たちの生活をより良くしたり,科学を前進させたりするために,ソフトウェアの技術はもはや欠かせないものになっています。

プログラミング

ソフトウェアはだれでも作れるものなのでしょうか。答えは「Yes」です。ソフトウェアを作ることは,料理のレシピを書くことと似ています。つまり,コンピューターやスマートフォンやロボットに,何を使って,どういう手順で,どういう作業をしてほしいかを伝えることが,ソフトウェア開発の基本的な考え方です。ソフトウェアの世界では,このレシピのことを「プログラム」といい,レシピを書くことを「プログラミング」といいます。ソフトウェアを作れるようになるためには,プログラミングの方法を学ぶ必要があります。

プログラミング言語

プログラミングをするときは,ふだん私たちが話をするときとは違った言語を使います。ためしに,この本の真ん中あたりのページをめくってみましょう。英語の単語と記号と数字がならんでいます。これがプログラミングをするときに使う「プログラミング言語」です。人間はふだんの会話で聞き間違いをしたり,頼まれた仕事を忘れてしまったりすることがありますが,コンピューターは正確なプログラミング言語で書かれたプログラムであれば,いつでも正しく理解し,仕事をさぼったり忘れたりすることはありません。プログラミング言語を使ってコンピューターと対話をすることで,あなたの思いどおりの仕事や作業を,優秀な助手であるコンピューターに手伝ってもらうことができるのです。

C++

私たちの世界にさまざまな言語があるように,ソフトウェアの世界にも数多くのプログラミング言語があります。例えば,昔は今よりもずっと小さな容量と性能のコンピューターに適した言語が使われていました。最近ではインターネット上のサービスを作るのが得意な言語や,同時にたくさんの計算装置を制御する並列処理性能に力を入れた言語,小学生でも学べるように絵やブロックでプログラムが作れる言語など,目的や使用者,コンピューターの性能,開発方法論の発展と拡大に応じてさまざまなプログラミング言語が考案されてきました。
この本で扱うのは「C++(シー・プラス・プラス)」というプログラミング言語です。C++を発明したのはデンマーク生まれのコンピューター科学者,Bjarne Stroustrup(ビャーネ・ストラウストラップ)博士で,彼は1983年に最初のC++を発表しました。その後多くの専門家によってC++は進化や改良が重ねられ,現在でも新しい機能が活発に議論,実装されています。

C++の特徴

C++はコンピュータの性能を最大限に引き出す大規模なソフトウェアの開発が得意で,世界中のコンピューターやスマートフォン,ゲーム機や家電,工場や研究所で動くソフトウェアの開発に使われている本格的なプログラミング言語の1つです。世界のプログラミング言語の人気ランキングでも長年上位にランクインしています(※2)。私たちがよく耳にするWindowsやGoogle Chrome,PhotoshopやゲームエンジンUnityなどの有名なソフトウェアも大部分がC++のプログラムで作られています。最近登場している新しいプログラミング言語も,C++と構造が似ていたり,一部の文法が共通していたりするものが多くあります。C++の基本を知ることは,あなたの将来の学習や仕事に必ず役に立つでしょう。

この本のねらい

この本は,世界の未来を切り開いていくあなたに,新しいソフトウェアを作り出す技術を授けます。プログラミングをまったく知らなかった方でも,読みはじめると,家族や友達に遊んでもらえるようなソフトウェアを作れるようになります。そして,自分の作ったソフトウェアが,まわりの人たちに「面白い!」「便利だ!」と言ってもらえるうれしさを味わうことでしょう。やがて,ソフトウェアを使ったり遊んだりすることよりも,作ることのほうが断然おもしろいと思うようになるかもしれません(筆者もその一人です)。

冒険づくりの冒険へ

あなたがこの本で取り組むのは,12歳の少年プラスが冒険する世界に,謎解きや戦略,困難やよろこびをプログラミングで用意することです。いじわるなダンジョンを作ることもできます。絶対に勝てないような勝負に挑ませることもできます。それでも主人公のプラスはくじけずに挑戦してくれます。ページをめくるたび,プラスと一緒にあなた自身もレベルアップする。そんな「冒険づくり」の冒険が始まります!

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プログラミングという剣を手に,冒険づくりの旅に出よう!
IoT(Internet of Things),ビッグデータ,AI(人工知能),ロボットなどの「第4次産業革命」によって,今後ますます,暮らしのなかにコンピュータがとけこんでいくと考えられます。

著者プロフィール

鈴木遼(すずきりょう)

2016年早稲田大学表現工学専攻修士課程修了。早稲田大学メディアデザイン研究室博士後期課程。IPA未踏事業スーパークリエータ認定。プログラミングを楽しく簡単にするツール「Siv3D」「Enrect」を開発するかたわら,早稲田情報科学ジュニア・アカデミーや未踏ジュニアで,小中高生へのプログラミング指導を行う。