つい顔色をうかがってしまう私を手放す方法
- 佐々木正悟 著
- 定価
- 1,628円(本体1,480円+税10%)
- 発売日
- 2021.10.13 2021.10.8
- 判型
- 四六
- 頁数
- 176ページ
- ISBN
- 978-4-297-12327-7 978-4-297-12328-4
サポート情報
概要
他人に気をつかいすぎて疲れる。
「人の目を気にしない」なんてムリだし、「心を強くする」なんてできない。
嫌な人とは距離を置こうとしてもうまくいかない――
「ライフハック」「仕事術」を駆使して怒られない方法を模索していきながらも問題が解決しなかった著者がたどりついた解決策とは?
人間関係で消耗しないための最終結論、教えます。
イラストは『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』をはじめとした著作で人気の永田カビ氏。
こんな方にオススメ
- 他人に怒られることに敏感な方
- 他人に気をつかいすぎて疲れる方
- 人間関係で消耗しやすい方
目次
第1章 「警戒」しても怒られる
- 怒られないためのライフハックを探し求めた
- 怒られたくない人は警戒している
- 警戒しても問題は解決しない
- いくら顔色をうかがっても「叱責ゼロ」は実現できない
- 「嫌な人とは距離をおく戦略」では自分を守り切れない
第2章 怖さの原因は脳にある
- 恐いときに扁桃体が活性化する
- 怖いと腹が立つ
- 扁桃体モードが「自分」を傷つけてしまう仕組み
- 怖がると行動がおかしくなる
- コルチゾールで問題解決!?
- 警戒にはコストがかかっている
- 恐れや怒りは、自分の身を守ってくれないどころか、自分を傷つける
第3章 解決に必要なのは「甘え」である
- もともとHSPは、日本ではごくあたりまえの性格だった?
- 安全な「居場所」を求めて
- 叱責恐怖症の人は、「甘え」は許されないと信じている
- 本当に怖いのは、怒られることではなく、自分が守られていると感じられないこと
- 繊細さんの静かな怒り
- 怒りに怒りを返さずに「甘え」させてみよう
- 「甘えさせる」とはどういうことか?
- 静かな怒りからフラットな信頼関係へ
- 「甘える」「甘えさせる」とはお互いの好意を再発見すること
- わたしたちは本当の意味で「甘え」を脱することはできない
- 人の顔色をうかがうとは、客観的評価におびえるのと同じ意味
第4章 「甘え」を活かした仕事術
- 「自己愛」の基本は親子関係にある
- 弱い自分への過剰な防衛本能が、上司の腹黒さを「生み出して」しまう
- 「強い人間になること」を目指す必要はない
- 「数字による根拠」は決して心を癒やせない
- 「自分の関係者」を甘えさせてあげられると、「自分」に大きな自信をもてる
- ①即座に依頼に応える
- ②約束を守る
- ③シングルタスクで依頼に集中する
- ④タイマーを使って、制限時間内だけでもマルチタスクをしない
- ⑤「雑だ」と言われるより、「遅い」と怒られるほうを選ぶ
- ⑥積極的にものを貸し借りする
- 依頼に応じるのと「ご機嫌取り」は別物
第5章 「パワハラ上司」がどうしても我慢ならない人へ
- 怒る人はおびえている
- 怒る人は無神経ではなく、むしろ繊細なのかもしれない
- 怒りっぽい親をもつ人に
- 「反撃」によって問題を解決することはできない
- 扁桃体モードでいることは銃を突きつけあうようなもの
- 心理的弾力性、鈍感力、ストレス耐性ではどうにもならなかった
- 「怖くなくなる」ことが唯一の現実的な解決策
- 「怒っている人」の真似をしてみる
- VRで怒られてみる
- どうしても忘れられないならスクワット
- 静かな怒りは自分だけを傷つける
第6章 休むのは甘えである
- まずは自分の身体を「甘え」させる
- 会社を休んで自分を甘えさせる
- 甘えさせているから、甘えられるようになる
- 怒られたときには動悸を鎮める
- 110%の睡眠時間をとる
- 休むことだけに時間を費やす
プロフィール
佐々木正悟
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道旭川市生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスで派遣社員として働く。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。2005年に帰国。
幼稚園のころから大人の叱責に神経質すぎるところがあり、かくべつ厳しい家庭で育ったわけでもないのに母親の顔色をよくうかがっていた。
成人後も上司や先輩社員などの些細な指摘に耐えられず、組織で働くことを拒否して、心理学を勉強するために渡米する。
帰国後も対人関係への苦手意識から在宅での仕事に中心とし、人前で失敗しないための「ライフハック」を追求し、それを題材とした文章発信で生計を立てる。
本書は「HSP」や「甘え」など、自分の性格の弱さと関係が深そうなテーマを追求し、まとめた内容である。
本書以外の著書に『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?』『たった1日で即戦力になるMacの教科書』『iPhone情報整理術』(技術評論社)、『スピードハックス』(日本実業出版社)、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(KADOKAWA)などがある。
ホームページ:https://nokiba.github.io/
Twitter:@nokiba
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著者の一言
「休むのは、甘えです」
そんな厳しいことを言われてはたまったものではない、と多くの人は思うでしょう。
「休むのは甘えかもしれないが、人間は休まないわけにはいかない」
「休むのは甘えではない、権利だ!」
そんなふうに反発したい気持ちが起こったでしょうか?
もし、本書をひととおり読んでもらえたら、冒頭の文章から受ける印象は一変しているはずです。
本書は、最近よく耳にするようになったハイリー・センシティブ・パーソン(以下HSP)や、発達障害と呼ばれる方々など、
「つい人の顔色をうかがってしまう」
「怒られるの怖くて社会生活が難しい」
といった方を対象に書きました。
HSPと、たとえばADHDなどの発達障害は異なる心理現象です。けれども、両者には1つ、特徴的な共通点が見受けられます。それは「怒られる」ということを過剰に恐れている点です。「怒られるのが怖くて社会生活が営めない人」や「他人の顔色をうかがってしまう」人は、たとえHSPでも発達障害でもなくても、本書の読者対象です。
なぜ、怒られることをそこまで過剰に恐れなければならなくなっているのでしょうか? わたしは、その原因を
「甘え」を悪いことだとみなしているから
と考えます。甘えを悪いことだとみなしているから、甘えていると指摘されることが恐ろしいのです。甘えていると思うと、怒られているような気持ちになってしまうのです。
もちろん、甘えをどのくらい、またなぜ悪いこととみなしているかは、人によってちがいます。おもにHSPの人は、「自分が無能力だから甘えさせてほしいが、それは悪いことだ」と考えています。発達障害の人は、「そもそも人間は他人に甘えず、自立して生きていくべきだ」と過剰に考えすぎてしまって、他人とのコミュニケーションがうまくとれないようです。
しかし、どちらの場合にも「甘えている」と指摘されることは耐えがたいのです。
おまえは無能だから、他人に迷惑をかけて甘えているのだ!」と言われるのは、このうえなくつらいことです。
「おまえは人に甘えて油断しているから、つまらないミスばかりするのだ!」と非難されるのは、悔しいことです。
こうしたネガティブな思いをすることが増えてくると、HSPの人などは「わたしは人並みに働けないんだから、休日も出社するべきではないだろうか」などと考えて、気が休まりません。人に嘲笑されて腹立たしいことがあったりするADDの人などは、「リベンジするためにも、もっと能力を高めよう!」などと考えて、休日にもライフハックセミナーに通わなければなりません。だから疲れてしまうのです。
「甘えは悪いことだ」と考えている人にとって、「休むのは甘えです」という指摘は非常に厳しいものです。そういった人は、多くの場合、休日があっても長期休暇を取っても少しも気が休まりません。
本書の最終目的は、読者に「他人の顔色などうかがわなくても済むようになってもらう」ことです。そのためには、「甘えること=悪いこと」という等式を手放してもらう必要があります。甘えることが必ずしも悪いことでなくなれば、「休むことは甘えです」と指摘されたとしても、心にダメージを受けることはなくなるのです。そのころには、身心が必要としている真の休息を心ゆくまで堪能できるようになっています。長期休暇を取らなくても、いつまでも疲れを引きずるようなこともなくなっているでしょう。
「怒られるのが怖いから、どうしても他人の顔色をうかがわずにはいられない」
これを「自分のことだ」と思う人は、先を読んでみてください。心を鍛えたりスルー力を身につけるのとはまた違った処方を、徹底的に検討したのがこの本です。