この記事を読むのに必要な時間:およそ 1 分
本書は,ネットワークスペシャリストを目指す皆さんが,試験に合格されることを願って書いた本です。
この試験は非常に難関です。令和4年度も,これまでと同様にとても難しい問題でした。加えて,これまで問われたことがなかった新しい技術の出題がありました。たとえば,午後Ⅰ問2のVRF(Virtual Routing and Forwarding)や午後Ⅰ問3のケルベロス認証,午後Ⅱ問2のコンテナ技術です。試験会場にて,初めて目にするこれらの技術を理解し,そして設問を解くというのは大変な作業です。
ですが,問題文の内容が難しくても,設問も同じように難しいかというと,必ずしもそうではありません。正答を導くヒントが問題文や設問文に埋め込まれているからです。ネットワークの基礎知識を持った上で,問題文のヒントを活用しながら解くことで,満点は無理でも,合格ラインである6割は突破できるのです。本書はそこに着目し,単にネットワークの知識解説だけでなく,問題文にちりばめられたヒントや解答の導き方,答案の書き方までも解説しています。
本書は,サブタイトルに「最も詳しい」「過去問解説」と付けています。文字どおり,どの本よりも詳しい解説を掲載しています。そして,「本物のネットワークスペシャリストになるための」とも付けています。それは,試験合格はもちろんのこと,「本物のネットワークスペシャリスト」になってもらうことを意識して書いた本だからです。つまり,「こう問われたらこう答える」などの試験テクニックだけを身に付けて合格するための本にはしていません。
資格だけ持っていて,業務がまったくできないネットワークスペシャリストでは意味がありません。プロ中のプロ,「さすがネットワークスペシャリストは違うなあ」「彼(彼女)は本物だ!」といわれるような知識・経験を身に付けられるような本にしました。ですから,実務での実情や,実際の設定も紹介しています。また,各技術の裏側にある本質的なところも,なるべく丁寧に解説しました。
ネットワークスペシャリストに合格するための勉強方法は,基礎学習と過去問演習です。この二つの勉強を,愚直に,真剣に取り組んだ方が合格されています。
基礎知識に関しては,拙書の『ネスペ教科書改訂第2版』(星雲社),そして過去問については本書を含む「ネスペ」シリーズ(技術評論社)で学習してください。また,単にテキストを読むだけでなく,手を動かしながら知識が拡充されるように『手を動かして理解する ネスペ「ワークブック」』を令和4年8月に発行しました。これらの本を活用しながら,ぜひとも合格を勝ち取っていただきたいと思います。
皆さまがネットワークスペシャリスト試験に合格されることを,心からお祈り申し上げます。