たった1秒で仕事が片づくExcel自動化の教科書【改訂第3版】

著者の一言

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Excelが社会問題レベルの長時間労働の要因になっている現実

「大変,大変,命を助けていただいております」

これは,弊社がExcel業務支援をおこなっている企業の社員さんが弊社に送ってくださったお手紙の一節です。

この職場では,Excelによるデータ作成作業で毎日終電まで残業が続く,非常に深刻な長時間労働が常態化していました。⁠このままではいけない」と危機感を持たれたマネージャーの方から弊社にご相談をいただき,適切な対処を施すことで長時間作業は激減し,定時で帰れる日常が訪れたとのことです。

なぜ,そこまでの時短を実現できたのか。

業務効率化の大事な手法の1つに「やらないことを決める」という“業務仕分け”があります。しかし,その現場ではムダな作業など1つもなく,いずれの作業も不可欠なもので,非常に複雑かつ膨大な作業量に追われ,どうしても残業時間が増えてしまっていた状況でした。

そこで弊社が実際におこなったのが,長時間かかっていたExcel作業を自動で,かつ一瞬で終わらせる「マクロ」という機能を活用することです。このマクロを使うことによって,従来は2時間かかっていたデータの作成作業が1秒で終わるようになった……そんな実績を次々に積み重ねていったのです。

このマクロ機能による仕事の「自動化」によって,業務の生産性を上げた企業の例は枚挙に暇がありません。働き方改革の一環として,企業には残業時間の上限規制が課せられています。そのような環境下においては,Excel作業による長時間労働など,もうあってはならない状況になってきています。

生成AI時代にも通用する原則を集大成

本書では,実務でExcelマクロをすぐに活用できるようになるために必要なことを,必要な順番で解説しています。さらに今回の改訂版では,2023年に大きな話題となったChatGPTをはじめとする生成AIがExcelマクロの活用にどのような影響を与えるかについて解説を加えました。

「こういうマクロはどう書いたらいいんだ?」

「このマクロはどんな内容なんだ?」

といったケースで,生成AIに「相談」してみる……これは,Excelマクロに限らず,今ではさまざまなプロのエンジニアたちの開発現場においても活用されている,極めて重要なノウハウです。

全員が高度なExcelマクロの知識を持たなくても,本書程度の知識があれば,内容を解読することが可能です。あとは多少わからないところが出てきても,検索して調べるとか,ChatGPTなどの生成AIに相談することで,だいたいの内容を理解することが可能です。

本書『たった1秒で仕事が片づくExcel自動化の教科書』は,2016年に初版が発売されて以来,10万部を超えて読み継がれる書籍になりました。基本的な原則は発売当初と何ら変わるところはありません。今後も引き続き,本書の実践的な内容が現場におけるExcel効率化スキルの「普及と底上げ」に寄与することを願ってやみません。

著者プロフィール

吉田拳(よしだけん)

Excel業務改善コンサルタント。Excel研修講師。株式会社すごい改善代表取締役。

1975年生まれ。東京外国語大学卒。音楽業界での某大物歌手のマネージャー職,複数の企業でのマーケティング業務を経てメルシャン(株)に入社。同社勤務時代に,Excelを触ったこともなかった状態から,営業戦略用のデータ分析を担当し悪戦苦闘する中で,「企業の生産性をより上げるためには,社員のExcelスキルを向上する必要性がある」と痛感。業務効率化のためのExcel技術を追求し始め,社内の上位数%にのみ与えられるS評価を獲得する。その経験から「Excelを武器に人と企業が成長できるサポート」の実現を目指す。

2010年,(株)すごい改善を設立,代表取締役に就任。実務直結主義のExcel研修を毎週開催,高額の受講料にも関わらず,全国から受講者が参加し,常に2ケ月先まで満席状態が続く。また,「大手IT企業における生産性の向上・残業代などのコスト削減」「飲食店チェーンや工務店,メーカー,会計事務所などのシステム開発」「戦略的経理によるキャッシュフロー改善」など,業種・業態・職種を問わず,Excelを駆使したあらゆる分野での業務改善の専門家として知られる。これまでの指導実績は,中小企業から大手企業まで,1万名以上。Excel研修開催実績は600回を超える。

著書に『たった1日で即戦力になるExcelの教科書』『マンガ たった1日で即戦力になるExcelの教科書』(技術評論社),監修に『1万人の業務効率を劇的に改善したExcel速技BEST100』(PHP研究所)がある。

日本経済新聞,週刊ダイヤモンド,プレジデントなど取材記事掲載多数。

公式サイト:https://sugoikaizen.com/
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