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本書について ——ネットワーク技術をどのようにして学ぶか
本書はネットワーク技術,とくに基礎であり中心である「TCP/IP」について興味がある,学習したい,あるいは学習の必要性を感じている人のための本です。
基礎から学びたいけれど,聞くだけ・読むだけではいまひとつ実感できない,何かちょっと試してみたい,確かめてみたい……。
インターネットはあまりに「日常」で,よくわからないままでも便利に利用できています。そんななか,ネットワーク技術について学習しようとすると大抵最初の方に出てくる4つの,あるいは7つの階層や謎の数字と自分がふだん利用しているWebやメールといまひとつ結びつかない。もちろん知っている人にはすべて地続きです。どんな分野でもきっとそうです。でも最初の一歩,最初のひと漕ぎはつらいもの。走り始めれば気にならないことでも,最初はいろいろ気になるものです。
そこで,本書はコマンドライン&ツールからのアプローチを選びました。
コマンドは学習用のものではなく,ネットワーク技術に関わる人であれば日常的に使う,ごく基本的なコマンドです。ネットワーク技術関連の解説を読んでいると,あたりまえのように登場するのに,そのコマンドを実行する方法は書かれていない,そのくらいの位置付けにある存在です。
使用しているネットワークコマンドはネットワーク技術者達の主戦場であるLinux環境用が中心ですが,ふだん使っている環境でも試せるように,WindowsとmacOSのコマンドも取り上げています。本書の見返し(表紙内側のページ)にQuickリファレンスを収録しましたので必要に応じて活用してみてください。
お供にするのは「パケットキャプチャ」(packet captureing)と呼ばれる種類のソフトウェアです。コマンドを動かして,結果を見て,その過程でネットワークを飛び交ったナニカ=パケットなるものを,カラフルな画面で観察します。普段は目にしないところで飛び交っているパケットなるものが,自分の目の前の画面に,自分が入力したコマンドに応じて表示されるのは,ちょっとうれしいものです。実行結果も掲載していますがぜひご自身でも試してみてください。無償のソフトウェアで本書と同じことを試せるように,入手先とインストール方法も掲載しています。
TCP/IPを技術的な観点から分割し,いま学習している位置はここ,とわかるようにしていますが,すべてを体系立てて解説するというより,特に重要なトピックと日常で触れやすいトピックを中心に,確認しながら進む,という方針になっています。さらにちょっと欲張って,仕様書の世界にも少しだけ足を踏み入れました。
本書で学ぶことで,他の技術書を読む力がつきます。ネットワーク技術の解説書に書かれているあれこれが,「あ,これか」「見たことあるかも」「あのとき試したあれか」と感じられる事は,学習において,そしてこれからの生活において,絶対に力になる,筆者はそう信じています。
本書でTCP/IPの基礎知識とステップアップするための力を身につけて,次の一歩への助けとなる,そんな位置の本でありたいと願っています。
西村めぐみ
TCP/IP&コマンドラインQuickリファレンス[Linux/Windows/macOS対応]
「TCP/IP&コマンドラインQuickリファレンス」は,以下よりダンロード可能です。
文中の「➡︎X.X節」などは,書籍内の関連箇所への参照を示しています。書籍とあわせて,ぜひご活用ください。
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