未来エコ実践テクノロジーシリーズ図解でわかるエネルギーDX
~デジタルで効率化する電力システム大転換技術~

[表紙]図解でわかるエネルギーDX ~デジタルで効率化する電力システム大転換技術~

紙版発売

A5判/336ページ

定価3,080円(本体2,800円+税10%)

ISBN 978-4-297-14630-6

電子版

→学校・法人一括購入ご検討の皆様へ

書籍の概要

この本の概要

2050年カーボンニュートラル達成に向け,エネルギー産業も大転換期を迎えている。

欧米ではDXをうまく活用して需給バランスを決め,効率よく電力を供給している。アジア諸国でも,欧米の送電オペレーションシステムを導入し,電力の効率的な送配電をおこなっている。それにならい,日本でもDXを取り入れた電力システムの改革に乗り出した。

本書では,現状の日本の電力システムの問題点を挙げ,DXその先のGX(再エネの大量導入電力網)を本格的に行う上で,これからどのようなシステムを構築していかなければならないかを技術面,ビジネス面から解説する。

こんな方におすすめ

  • エネルギー産業に携わっている技術者,事業者の方
  • GX(再エネ)を見据えたDXで電力システムを構築しようとしている産業関係者の方

本書のサンプル

本書の一部ページを,PDFで確認することができます。

本書の紙面イメージは次のとおりです。画像をクリックすることで拡大して確認することができます。

サンプル画像1

サンプル画像2

サンプル画像3

サンプル画像4

サンプル画像5

目次

第1章 エネルギ-分野で進むDX

  • 1.1 アナログの世界だったエネルギ-
  • 1.2 ネットワ-クの自然地域独占
  • 1.3 エネルギー需要と供給の課題
  • 1.4 地域自然独占の悪用と対応策
  • 1.5 世界に発展するDX技術
  • 1.6 欧米のエネルギ-改革「ガスから電気へ」
  • 1.7 コンピューターで管理するエネルギーDX
  • 1.8 エネルギー配給事業者レベルのDX
  • 1.9 ガスグリッドに組み込まれるバイオエネルギー

第2章 ヨーロッパの天然ガスの歴史とDX

  • 2.1 DXのはじまり:天然ガス需要拡大によるパイプラインの導入
  • 2.2 国境をまたぐパイプラインの枠組み
  • 2.3 ロシアのウクライナ侵攻によって表面化したエネルギー問題
  • 2.4 EU 加盟国ドイツのガス価格と市場化
  • 2.5 EUのガス指令とガス事業の自由化
  • 2.6 ノルドストリームとエネルギー憲章条約
  • 2.7 エネルギー憲章条約の役割終焉
  • 2.8 ロシアを経由しない天然ガスの導入
  • Column 1 エンロンの初期の調達手段としてのハイイールド債

第3章 北アメリカの天然ガスの歴史とDX

  • 3.1 アメリカのガス事業の自由化
  • 3.2 巨大パイプライン事業者エンロンの登場
  • 3.3 ガス供給を最適化するHub Pricing Program
  • 3.4 ガス銀行の創設とSPC
  • 3.5 ビジネスを拡大するファイナンシャル取引
  • 3.6 デリバティブ商品の開発
  • 3.7 エンロンのマーケットと終焉

第4章 イギリスとヨーロッパのガス市場改革

  • 4.1 イギリスのガス事業改革と市場化
  • 4.2 NBPの仕組み
  • 4.3 オランダ天然ガスの仮想取引所の仕組み
  • 4.4 イギリスの市場運営とAPX Gas UK
  • 4.5 ドイツのガス市場と日本

第5章 ガスエネルギー取引市場の発展

  • 5.1 ガス取引市場の設立
  • 5.2 ガス先物の上場
  • 5.3 ガス取引市場の契約システム
  • 5.4 先物市場の清算機構
  • 5.5 ガス市場の運営会社
  • 5.6 エネルギー取引市場のDX:電子プラットフォーム

第6章 産業を支えるLNG

  • 6.1 日本のLNG導入の背景
  • 6.2 LNG開発の仕組み
  • 6.3 LNG価格の決定プロセス
  • 6.4 日本のLNGインフラの課題
  • 6.5 韓国のガス事業とLNGターミナル
  • Column 2 アンモニアの次世代発電燃料の可能性

第7章 アメリカのパイプライン事業者

  • 7.1 アメリカのパイプライン事業
  • 7.2 第三者によるガスインフラ施設へのアクセス
  • 7.3 パイプライン使用料金の設定とサービス
  • 7.4 需給のマッチング
  • 7.5 パイプライン輸送容量の解放
  • Column 3 アメリカのシェールガスの発見を支えた鉱業権賃貸制度

第8章 電力のDX:なぜエネルギー分野でDXは進んだのか

  • 8.1 DX前のエネルギーは中央集権型
  • 8.2 変動する需要に合わせた中央集権的な出力調整
  • 8.3 分散エネルギー源の出現
  • 8.4 市場の変化と市場独占
  • 8.5 中央集権と地域分散の熾烈な争い
  • 8.6 電力の民主的な流通とは

第9章 電力のDX:再生可能エネルギーの出現とDX

  • 9.1 再生可能エネルギーは面的に分布する膨大な供給源
  • 9.2 再生可能エネルギーには出力が自然変動するものが多い
  • 9.3 地場資源の再生可能エネルギーを最大限利用
  • 9.4 膨大な再生可能エネルギーと需要のマッチングにはDXが不可欠
  • 9.5 需要も再生可能エネルギーも天気予報と連携

第10章 電力のDX:どのように需給調整するか

  • 10.1 電力の公平性と効率性の原則
  • 10.2 エネルギー源を経済的に選択
  • 10.3 電力の送電制約
  • 10.4 経済的選択と送電制約の調整:計算機で潮流シミュレーション
  • 10.5 経済的選択の結果を微調整するリ・ディスパッチ
  • 10.6 DXで管理する電力管理システム
  • Column 4 トマスペインとベーシックインカム

第11章 電力のDX:電力会社・市場でさらに進むDX

  • 11.1 コンピューターで行う市場価格のリアルタイム監視
  • 11.2 地域ごとのWEB市場価格設定ノーダルプライシング
  • 11.3 電力の地産地消とDSO
  • 11.4 自立した地域電力とは?
  • 11.5 需要を管理するDX

第12章 貯蔵をコントロールするDX

  • 12.1 国内外のガス貯蔵施設
  • 12.2 再生可能エネルギーの季節による活用

第13章 スマートエネルギーとDX

  • 13.1 欧米のガスのスマートメーター
  • 13.2 イギリスのスマートエナジー政策
  • Column 5 エネルギー産業でのサイバーセキュリティの重要性

第14章 日本の総合取引所 275

  • 14.1 日本の総合取引所が設立された経緯
  • 14.2 日本のガス先物市場設立の課題
  • 14.3 ISO・TSOの運営する電力市場
  • Column 6 グローバリズムを支えるのは誰か?

第15章 再生可能エネルギーを評価するシステム

  • 15.1 再生可能エネルギー価値取引の経緯
  • 15.2 再生可能エネルギー価値取引の位置づけの変化
  • 15.3 属性トラッキングシステム
  • 15.4 RE100技術基準でのトラッキングシステム

付録 エネルギー産業の歴史

  • 付録1 エネルギーとして使われはじめた石油の歴史
  • 付録2 石油メジャーの誕生と発展
  • 付録3 ナショナリズムとOPECの創設
  • 付録4 オイルショックとスポット市場の設立
  • 付録5 天然ガスと石油メジャー
  • 付録6 ヨーロッパの天然ガスの歴史

著者プロフィール

内藤克彦(ないとうかつひこ)

【現職】東北大学大学院・環境科学研究科・特任教授。

【経歴】東京大学工学部物理工学科卒,東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。環境省自動車環境対策課長,港区副区長等を経て,2023年まで京都大学大学院経済学研究科再生可能エネルギー経済学講座特任教授,現職に至る。

【主な著書】『環境アセスメント入門』(化学工業日報社 1998年),『いま起きている地球温暖化』(化学工業日報社 2005年),『展望次世代自動車』(化学工業日報社 2011年),『PRTRとは何か』(化学工業日報社1997年),『「土壌汚染対策法」のすべて』(化学工業日報社 2003年),『再生可能エネルギ-政策の国際比較』(京都大学学術出版会2017年),『2050年戦略の提言』(化学工業日報社2017年),『欧米の電力システム改革』(化学工業日報社 2018年),『イノベ-ションのカギを握る米国型送電システム』(化学工業日報社 2020年),『欧米のガスシステム-活性化する市場改革の基本と仕組み-』(化学工業日報社 2020年)


蝦名雅章(えびなまさあき)

蝦名 雅章(えびなまさあき)

【現職】慶應義塾大学経済学部訪問研究員。英国機械技術者協会(IMechE)日本名誉代表。日本工営株式会社環境技術顧問。

【経歴】北海道大学工学部資源開発工学科卒,同大学院工学研究科資源開発工学専攻修士課程修了。日揮株式会社,カルテックス石油(CaltexCorp.),テキサコジャパン代表,イーレックス顧問。