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私たちにとって,「火」はとても身近なものです。人類は,サルから進化する過程で火を使ってきました。熱とは,それぐらい長いつきあいです。
火山の噴火や温泉など,熱が関係する自然の現象は,とても多くあります。科学がいくら発達しても,これら自然の力に逆らうことはできません。そのために,自然界を理解する熱の科学がとても重要になってきます。
一方,イギリスで始まった産業革命で,蒸気機関が動力として活躍しました。その後,自動車や飛行機のエンジンが開発されましたが,それも熱エネルギーを利用する熱機関です。そのため,熱の科学は,機械工学とも密接な関係にあるのです。
では,熱ってなんでしょう? 長いつきあいのわりに,この疑問に答えるためには,19世紀にならないとなりません。
最初は,フロギストンという仮想物質が想定されましたが,ラボアジェの定量実験によりその説は否定されました。
次に,カロリックという物質が移動するという説が生まれました。その説を否定したのが,ランフォードです。彼は,大砲の中を削るとき,大量に熱が発生するのことに気が付き,どれだけの熱が発生するのかを測ったのです。そして,熱は物質ではなく,運動であることを示したのです。
熱力学の法則
熱力学は,巨視的な物理量(温度や圧力,体積など)で,ミクロな分子の振る舞いを知ろうとするものです。熱力学には皆さんもご存知のように,以下のような有名な法則があります。
- 第0法則
- 熱平衡状態について。
- 第1法則
- 熱現象に関するエネルギー保存則について。
- 第2法則
- 熱現象の方向について。
- 第3法則
- エントロピーの基準値について。
省エネが叫ばれている昨今,熱エネルギーに関するサイエンスは,日本の将来を左右する技術です。エネルギー分野は,今後ますます重要度を増していくでしょう。そして,この要求に応えるのが「熱工学」です。